SUPER GT

SGT:第2戦富士 SKT EXE SLS、荒れた展開のレースを走りぬいて大きくポジションアップ、惜しくも眼前のポイントを逃すも、500kmレースを11位でフィニッシュ (Arnage)

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 春の富士ラウンドは500kmの長丁場。Arnage Racingは今年も加納、Nanin、安岡の三選手によるドライバー陣で臨むことになった。特に今年Arnage Racingの第二ドライバーとして挑むNanin選手にとって、この富士ラウンドは、昨シーズンSUPER GTに見事なデビューを果たした記念すべきレースであり、好成績を納めて、是非とも次戦の母国タイラウンドにつなげたいところ。とはいえ、Mercedes-Benz SLS で初めて臨む富士のコースでの長距離レースに、チーム一同が期待と不安の入り混じるレースウィーク入りとなった。

May 2nd Qualifying

  • 天候:快晴  路面状況:ドライ  気温:25℃→25℃ / 路面温度:39℃→39℃ 入場者:33,500人

gt-r2-arnage-01.jpg  ゴールデンウィーク後半の五連休初日にあたるこの日、今年も全国から大勢の観客が押し寄せた富士スピードウェイは、汗ばむ陽気。週間天気も晴れマークが続き、からりと晴れた青い空に雪を頂いた富士の山が映える、絶好のレースウィークとなった。

 天候に翻弄された開幕戦はチームもドライバーも初めてのマシンに戸惑うことが多く、手探り状態でのスタートだった。特に、3月の公式テストからずっと抱えているギア抜けのトラブルが、すっきり解決できないまま悩みの種となっていた。レースを前にガレージでは、問題を解決するべく入念にギア周りを調整し、500kmの長丁場に備えてできる限りのメンテナンスを行った。

 この日、8時50分から行われた公式練習は安岡選手からスタート。直線の速さが定評のMercedes-Benz SLS に期待を込めて練習走行を開始した。しかし、スタート後すぐにまたトラブルが再発。加納選手、Nanin選手と交代しながらなんとか38周を走行したが、満足にタイムを出すことができないばかりか、車両の感触を掴むことすらできない。ギア抜けの症状はこれまでよりもさらに深刻なものとなり、ついにはオイル漏れを起こして、SKT EXE SLSはピットに戻された。

gt-r2-arnage-09.jpg  チームは予選までにミッションをおろしてギアボックスの中をチェックすることを決断。AMGカスタマーサポートのエンジニアが見守る中、細部にわたる点検が行われた。緊迫した作業が続いたが、予選まで1時間というところでようやく原因と思われるパーツの損傷を発見。スペアパーツを調達して、Arnage Racingは予選にマシンを間に合わせた。

 14時15分から行われたQ1には安岡選手が臨んだが、アタックというよりは直前に修理したギアのチェックをしながらの走行となった。Q2では1分36秒台をマークするマシンも出る非常にハイレベルな戦いの中、安岡選手は1’39.436のタイムでQ1を敗退し、22位というポジションに甘んじた。しかし、岡山テストからずっと抱えていたトラブルがどうやら解決したらしいことを確認できたチームは、ようやく真正面からレースを戦えるスタートラインにたどり着いた。メカニックたちは500kmを走り抜くべく最終調整に勤しんだ。

gt-r2-arnage-18.jpg  なお、300クラス予選の結果は次の通り。

  • P1 #31 TOYOTA PRIUS apr GT 佐々木 孝太 / 中山 雄一 / 嵯峨 宏紀 (1'36.952)
  • P2 #3 B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹 / 高星 明誠 (1'37.028)
  • P3 #10 GAINER TANAX GT-R アンドレ・クート / 千代 勝正 / 富田 竜一郎(1'37.242)
  • P22 #50 SKT EXE SLS  加納政樹 / 安岡秀徒 / N.インドラ・パユーング (1'39.436)

May 3rd Race Day

  • 天候:晴れ 路面状況:ドライ気温:20℃→22℃ / 路面温度:32℃→34℃ 入場者:57,200人

gt-r2-arnage-21.jpg  予選日に続き、決勝日も気持ちのいい晴天となった。朝早くから大勢の観客が詰めかけた富士スピードウェイは、二日間の入場者数が合計で91,500人となり、過去最高となった。

 9時から始まったフリー走行では、更なるマシンへの習熟が必要なNanin選手からスタート。決勝を見据えたピットストップの練習も含め、三人のドライバーが車両の感触を確かめた。短時間の走行時間ではあったが、昨日の予選に続いてトラブルが解決した確証を十分に得ることができ、セッティングを煮詰めることもできた。フリー走行はNanin選手が1'40.596を出して17位で終わるなど順調で、決勝に向けてのテンションは高まっていった。

 定刻14時15分、静岡県警の白バイ部隊とパトカーが先導するパレードラップのあと、500kmの富士ラウンドの幕が切って落とされた。スタートドライバーを任されたNanin選手は、5万7千人を超える観客が見守る中、期待に応えるように非常にいいスタートを切った。Nanin選手は22番手から、スタート直後の混乱に乗じてポジション4つ上げ18位にジャンプアップ。さらに前方車両のトラブルなどから、6Lap目には16位まで浮上させることに成功した。レースは500km耐久レースの過酷さを見せつけるように、序盤からタイヤがバーストする車両が続出した。8Lap目には88号車のタイヤがバースト、コースアウトして炎上するアクシデントのためSCが出るなど、荒れた展開となった。そんな中、Nanin選手は順調な走行を続けて、25Lap目に今レースのベストラップとなる1’40.791をレコード。自らの手で築いたポジションをキープして、38Lap目で安岡選手と交代するためピットに戻るまで安定した走行を続けた。SKT EXE SLSは、見かけ上の順位を5位まで上げてピットインした。

gt-r2-arnage-27.jpg  クルーの素早いピットワークでタイヤを4輪とも交換、給油とドライバーチェンジを済ませて16位でコースに復帰した。Nanin選手に代わってステアリングを握る安岡選手は順調に走行を開始、タイヤを労わりながらも終始1分41秒台前半をキープし続け、ひとつ、また一つと順位を上げていく。50Lap目には13位までポジションを上げる余裕の走りを見せ、59Lap目にはNanin選手のベストラップに迫る1’40.805を記録した。そして、69Lap、いよいよ最終スティントとなる加納選手に車両を委ねるべくピットにマシンを戻した。

 安岡選手がしっかりとタイヤをキープして走行したおかげで、タイヤ交換なし、給油のみの非常に迅速なピットインを終えて、安岡選手からバトンを渡された加納選手は、13位でコースに戻り走行を開始した。加納選手は安岡選手から引き継いだタイヤながら、安定した走りを見せる。前方の車両のアクシデントに乗じて少しずつ順位を上げ、いよいよポイント圏内のポジションが目前に迫っていた。ラスト15Lapを切ったところで加納選手は一瞬10位に浮上、ピット裏テントの応援団は喝采に沸いた。しかし束の間、すぐに後方に迫っていた86号車のマメロウ選手に順位を奪われ、結局加納選手はそのまま11位でチェッカーを受けた。

gt-r2-arnage-30.jpg  Arnage Racingは、惜しくもポイント獲得には一歩及ばなかった。しかし、シーズン前の公式テスト以来抱えてきたトラブルからようやく脱し、スタート時の22位から大きくジャンプアップして11位でフィニッシュする素晴らしい成績で、500kmの長丁場を走りぬくことができた。

  • P1 #10 GAINER TANAX GT-R  アンドレ・クート / 千代 勝正 / 富田 竜一郎
  • P2 #3 B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹 / 高星 明誠
  • P3 #11 GAINER DIXCEL SLS  平中 克幸 / ビヨン・ビルドハイム
  • P11 #50 SKT EXE SLS 加納政樹 / 安岡秀徒 / N.インドラ・パユーング
チーム代表 伊藤宗治
 ヨコハマタイヤ様のおかげで富士のコースでの500kmレースをなんとか無事に走りきることが出来ました。スポンサーの皆様、ファンの皆様も応援ありがとうございました。結果からみれば、レースとしては悪くなかった。ただエンジニアとしての見解でいけば、まだまだ何かが足りない。全体のタイムが上がっている中で生き残っていくためには、タイムを出すための何かを見つけることが急務です。次戦も応援よろしくお願いします。
ドライバー 加納政樹
gt-r2-arnage-29.jpg  第一戦から第二戦と、またよりアルナージュらしいレースが出来たんじゃないかと思います。チームもちょっとずつクルマの扱い方がわかってきてると思うし、今回ナニンくんも一緒で三人揃っての長丁場のレースのなかで、ベンツとしてのクルマの信頼度があるなか、一番大事なのはうちの一番の武器である(タイヤ)無交換で行けたっていうこと。これは収穫やったと、ほんとに思うんです。各ドライバーのスティントも、各々が自分たちの仕事しっかりこなせたと思うしね。ただ、ポイントを獲りたかった。これは、悔しいですけどね。あそこはもうちょっと自分の判断をしとけば行けたのかなとは思う、正直。とはいえ、ポイント取れるんか、取れへんのか?っていうところで走ってるってことは、岡山のテストから開幕戦ときて、まだもうちょっと煮詰めないとあかんかなと言ってたことが少しずつ形にはなってきてる。
gt-r2-arnage-14.jpg  それはもう伊藤さん含めドライバー、メカニック、チームみんなで作り上げつつあると思います。次のタイは、ナニンくんの母国でもあるし、まあ注目度もあるでしょうから、その中でどういうレースが出来るのかなっていうのが楽しみです。マイナーなトラブルがちょこちょこ出てたんも、だいぶ無くなってきて、ドライバーも不安なく走れる環境になってきてるのは、それはもうチーム力ですよね。これから夏場にさしかかってきて、暑くなればなるほど、周りもタイヤもきつくなってくるし、ウェイトも積んでくると思うんで、中盤以降に向けていいレースが出来るんじゃないかなと期待してます。今回は収穫の多い部分とちょっと悔しさの残る部分がありますが、引きずらず(笑)、次に晴らせるように頑張りたいと思います。
ドライバー Nanin Indra-Payoong
gt-r2-arnage-11.jpg  今日のレースは22番のスタートでしたが、ピットする前は5番まで来ました。クルマも、今週はそんなに乗れてないんですけど、やっぱりセットもとてもよくて、ギアを直したら普通に走れるようになったので、いいレースができました。初めてのセーフティーカーはちょっと緊張しましたですけど、まあ無事に、いいレースを出来ました。次はタイですけど、去年は特にいい結果を出して6番でした。ということは、今年はまあ、5番以上いかないと、もっといい結果を出さないとだめですね。できれば去年よりいい結果がほしいです。よろしくお願いします。
ドライバー 安岡秀徒
gt-r2-arnage-19.jpg  いいレースでした。基本的にはよかったことが多かったと思うので、ポイントも逃して、何が悪かったのか…。考えても難しいんですけど、今の僕たちのパッケージの実力が、ちょっとまだポイントを争うには早いのかなと、争うけど獲るには早いのかなっていう感じなんですかね。ナニンくんもすごいよかったと思いますし、僕も卒なく、で加納さんもよかったと思うんで、ホント11位になれただけに悔しいんですよね、これが12位だったらよく頑張ったとなるんですけど(笑)10位を走ってて11位だから、何かできたんじゃないかと、思うわけで。まあ、これからですね。土曜日の予選でようやく、クルマを受け取った時からあったトラブルが解決できたということで、昨日が初日ですから、今日のレースはまだ2日目っていうことです。言ってみれば(今は5月なんですけど)僕たちにとっては今がシーズン前の2月っていうことですよね。僕は8月までお休みなんで、タイでなんとかポイントを獲らせたい、だから、また二人を遠隔操作したいと(笑)思うわけです。だからちょっと、それに向けて二人としっかり話して、上手い週末が送れるようにしたいと思います。

 応援してくださったスポンサーの方々には深く感謝しますとともに、6月20日~6月21日にタイはチャーン・インターナショナルサーキットで開催される次戦タイラウンドにおきましても、応援のほど宜しくお願いいたします。

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Arnage Racing TEAM RELEASE


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