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ルマン・クラシック・ジャパン in 富士

 ルマン・クラシック・ジャパンが10日、11日の両日、静岡県の富士スピードウェイで行わました。

 フランスでは、ルマン・クラシックとして2002年を第1回として隔年で開催されていますが、昨2006年の第3回大会では出場希望が殺到し、参加台数を400台余りにしぼって開催されるほどの盛大なイベントに成長してきています。

 日本でもこれに習って、2005年に第1回大会がMINEサーキット(現マツダテストコース)で開催され、富士スピードウェイでの今大会は2度目。出場資格は、1923~1979年にルマン24時間に出場した車両、または同一形式のモデルで各国ASN(日本ではJAF)が発行するHTP(ヒストリック・テクニカル・パスポート)を有する車両となっています。ちなみに日本車では童夢Zero RL、マツダS 124A(RX-3)、SIGMA(現SARD)MC74、MC75あたりが該当しますが、80年代から90年代にかけてルマンで活躍した日本車はまだ「歴史」にはなっていません。

 今大会では、ルマンへの出場年によって以下のように4つのカテゴリー分けがされています。

  • クラス1: 1923~1939年
  • クラス2: 1949~1965年
  • クラス3: 1966~1971年
  • クラス4: 1972~1979年

 なお、参考までにクラス2は本国のフランス大会ではさらに1949~1956年、1957~1961年、1962~1965年と細分化され全部で6つのクラス分けで出場区分がされています。

 この日本大会では、クラス1がGrid-1、クラス2がGrid-2、クラス3及びクラス4がGrid-3と出場レース区分が3つとなっていて、土日それぞれ各グリッド別にレースを行い、その合算のタイムに性能差を埋めるために係数を加味して順位が決められます。そして、各クラストップのマシンは来年度2008年のフランス本大会において出場の権利を与えられることになります。

 10日(土)は午後から一時雨がぱらつき、11日(日)の午前中は時おり太陽も顔を出す天候でしたが、概ね曇り空の下でイベントは行われました。さすがに富士の裾野とあって肌寒い両日でしたが、参加した人たちや観客はみな笑顔にあふれ楽しい週末を過ごしたようです。レースも単なるパレードランだと思ってたら大間違い。各クラス、各所でバトルもあり、クラッシュしたマシンもあったようです。

 では、参加したマシンやイベント内容を紹介しましょう。

lm07_shelby_cobra  Shelby AC COBRAです。桧井保孝がドライブして土日ともGrid-2レースでぶっちぎりの優勝を飾りました(でも係数の関係で総合結果は3位)。小さいボディーながら、なんとV型8気筒7リッターエンジンを積むモンスターマシンです。


lm07_porsche962c  ルマン・クラシックとはいえ、近代(といっても80年代以降)ルマンカーのデモランも行われました。ポルシェがミュージアムから持ち込んだのがおなじみロスマンズカラーの962C。1986年、87年とルマンで連勝しています。


lm07_porsche911_gt1  これも、ポルシェがミュージアムから持ち込んだ911 GT1。1998年のルマンで優勝したモデルです。比較的新しいマシンのためか状態はよさそうで荒聖治のドライブで、富士のストレートをかっとんでいました。


lm07_mazda767b  91年のルマンで優勝することになるMAZDA787Bの前作、767Bがデモランをしました。このモデルはJSPCに出場していたトライデントカラーのものをチャージカラーにリペイントしたもののようです。甲高いロータリーエンジンのエグゾーストノートは今でも健在です。


lm07_bugatti51  フランスからやってきたのは、ブガッティT51。戦前を代表するレーシングカーでF1にも出走しています。レーシングスピードで走るT51を見られるのは日本では始めてかも知れません。マシンを持ち込んできたフランス人達が中野信治を囲んで日仏友好の記念撮影をしていました。


lm07_lemans_start  日曜日のGrid-3レースの前にルマン式スタートのセレモニーが行われました。皆さん年配の方が多くて走るのが大変そうです。もちろんセレモニーなのでスタート後は1周回ってピットインしています。


lm07_porshce936  最終のGrid-3レースに出場したPorsche936です。1976年、77年、81年と3度のルマン勝利を飾っている名マシンです。Grid-3の最終レースでは、Lola T70とドッグファイトを演じ観客を沸かせましたが、残念ながらペナルティを受け後退してしまいました。


lm07_lola_t70_mk3b  中野信治と今回の大会スポンサーリシャール・ミル氏が組んでドライブしたのがLola T70 MKⅢB。この最終レースでトップでゴールし、総合優勝も飾りました。ちなみにラップタイムは1分50秒を切るくらいで、これはスーパー耐久、クラス1のタイムに相当します。


lm07_matra_ms_670  今回大注目だったのがこのV12気筒エンジンを搭載するマトラMS670。これは72年にルマンで優勝したときのTカーだったものを優勝マシンと同じカラーリングにしたものだそうです。土曜日は雨のためレインタイヤがなく走れませんでしたが、日曜日にはGrid-3レースに出場しました。マトラのV12気筒といえばF1のリジェに積まれ1976年、77年とここ富士にやってきています。77年にジャック・ラフィーとジャン・ピエール・ジャリェがドライブした2台のリジェJS07以来30年ぶりに素晴らしく官能的な「マトラ・ソプラノ」を富士の裾野に奏でていました。

 このイベントは遇数年はフランスで、奇数年は日本で開催されることが決まっています。次回の日本開催は2009年に行われる予定です。

■関連リンク

Text: Yoshinori OHNISHI / Photo: Motorsports Forum, Yoshinori OHNISHI



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