SUPER GT

SGT:第8戦もてぎ決勝 3位のEPSON HSV-010(道上龍/中山友貴組)が2戦連続の表彰台に上る (HONDA)

  • 2012年10月28日(日)・決勝 会場:ツインリンクもてぎ(4.801km) 天候:雨 気温:14℃(14:00時点) 路面温度:18℃(14:00時点)  コースコンディション:ウエット  観客:2万7000人

 10月28日(日)、栃木県芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎにおいて、2012 オートバックス SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」の決勝レースが行われました。

gt121028001L.jpg  さわやかな秋空に恵まれた昨日とは打って変わり、この日の茂木町周辺は朝から鉛色の雲に覆われ、午前10時過ぎにはポツリポツリと雨が降り始めました。これは、日本列島を寒冷前線が通過しているためで、午後には雨が降り続く天候となりました。

 ドライコンディションのもとで行われた昨日の公式予選では、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)がHonda勢でトップとなる4番グリッドを獲得。以下、#18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム組)は5番グリッド、#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)は10番グリッド、#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志組)は13番グリッド、#32 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴組)は14番グリッドから、Honda陣営はシーズン最終戦での栄冠を目指し、全力を尽くしてこの一戦に臨みました。

 特に、今回同様のウエットコンディションとなった第7戦オートポリス大会で、優勝争いを繰り広げた#32 EPSON HSV-010については、14番グリッドからのスタートながら上位入賞に期待がかかっています。

 午前9時15分から45分間にわたって実施された今朝のフリー走行は、ドライコンディションのもとで行われました。ここで、#17 KEIHIN HSV-010は1分43秒798をマークして3番手となり、Honda勢のトップに立ちます。これに続いたのは6番手タイムを記録した#100 RAYBRIG HSV-010。さらに#18 ウイダー HSV-010は8番手、#8 ARTA HSV-010は10番手、#32 EPSON HSV-010は14番手となりました。

 スターティングドライバーを務めたのは、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、#18 ウイダー HSV-010はヴァン・ダム選手、#17 KEIHIN HSV-010は金石選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手、#32 EPSON HSV-010は道上選手です。

 午後0時55分より、決勝レース前に走行できる最後のチャンスとなる8分間のフリー走行が行われました。このとき、すでにコースはすっかりウエットコンディションとなっていたので、各チームはウエットタイヤを装着して出走し、スタートに向けた最後の調整を実施しました。

 そのあとも雨が降り続けたため、53周の決勝レースはセーフティカーに先導されてスタートが切られることになりました。そして2ラップを走り終えたところでセーフティカーがコースから退去、グリーンランプが点灯して53周の決勝レースが始まりました。各車両が巻き上げる水煙で視界がきかない難しいコンディションのため、ライバル陣営の中にはコントロールを失って順位を落とすマシンもありましたが、5台のHSV-010 GTはいずれも順調で、#100 RAYBRIG HSV-010は3番手、#18 ウイダー HSV-010は4番手、#17 KEIHIN HSV-010は8番手、#8 ARTA HSV-010は12番手、#32 EPSON HSV-010は13番手とそれぞれ順位を上げて3周目を終えました。

 しかし、滑りやすいコンディションの中、#8 ARTA HSV-010と#18 ウイダー HSV-010は4周目から5周目にかけて相次いでコントロールを失い、最後尾近くまで後退してしまいます。一方、ウエットコンディションを得意とする#32 EPSON HSV-010は期待通りの速さを示し、5周目にはライバルの1台をパスして10番手に浮上します。その#32 EPSON HSV-010も、7周目に90度コーナーで軽いオーバーランを喫しましたが、幸い順位を落とすことなく、そのまま走行を続けました。

 #32 EPSON HSV-010は引き続きトップを上回るハイペースで周回を重ね、9周目には9番手、10周目には8番手と着実にポジションを上げます。一方、タイヤとコンディションのマッチングに苦しむ#100 RAYBRIG HSV-010はじわじわと後退。12周目に#32 EPSON HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010はついにポジションを入れ替え、#32 EPSON HSV-010は5番手、#100 RAYBRIG HSV-010は6番手となります。

 そのあとも、#32 EPSON HSV-010はトップを1秒以上もしのぐペースで次第に追い上げていき、16周目にはついに4番手となります。#100 RAYBRIG HSV-010は6番手で踏みとどまる一方、#17 KEIHIN HSV-010は9番手、#18 ウイダー HSV-010は11番手、#8 ARTA HSV-010は13番手となっていました。

 このころになると雨脚がやや弱まり、マシンが巻き上げる水煙の量も減ってきます。その結果、視界がきくようになるとともに、タイヤのグリップ力も向上し、各車のラップタイムはそれまでより1秒以上も向上しました。

 20周目、#17 KEIHIN HSV-010はライバルの1台に追突され、車両後部にダメージを負ってしまいます。#17 KEIHIN HSV-010は幸いにもピットまで戻ることができ、修復作業を行うこととなりましたが、戦線からの脱落を余儀なくされました。

 同じ20周目、GT500クラスのピットストップが始まりました。Honda勢でいち早くピットストップを行ったのは#100 RAYBRIG HSV-010の23周目でした。続く24周目には#18 ウイダー HSV-010がピットストップ。そして#8 ARTA HSV-010は28周目、#32 EPSON HSV-010は32周目にピット作業を行いました。

 全車がピットストップを終えた36周目、中山選手に交代した#32 EPSON HSV-010は引き続き4番手のポジションを守る一方、山本選手が乗る#100 RAYBRIG HSV-010は7番手、小暮選手が乗る#18 ウイダー HSV-010は9番手、小林選手が乗る#8 ARTA HSV-010は11番手につけていました。

 #32 EPSON HSV-010は、36周目にこの日のベストラップとなる1分51秒792を記録するなど、引き続きトップを上回るペースで周回を重ねていきます。40周目には3番手を走るライバルに約0.4秒差まで詰め寄り、ここから43周目にかけて、中山選手はライバルとの差を0.5秒以下にとどめ、プレッシャーを与えながら追走。ついにはライバルチームのドライバーがミスを犯し、#32 EPSON HSV-010は3番手に浮上します。

 これと前後して、#8 ARTA HSV-010はS字コーナーでコースオフを喫し、13番手に後退します。また、ピット作業を終えた#17 KEIHIN HSV-010がコースに復帰。最後尾ながらも走行を続けていきました。

 40周目を過ぎたころからコース上の一部が乾き始め、どのマシンもペースが上がり始めます。なかでも、#18 ウイダー HSV-010に乗る小暮選手のスピードは目覚ましく、46周目には7番手に躍進。さらに6番手を走るライバルとの差を1秒以下としながら周回を重ねていきました。

 一方、#100 RAYBRIG HSV-010は濡れた路面に足をとられてオーバーランを喫し、44周目には9番手に後退しました。

 結局、5台のHSV-010 GTはこのままのポジションでフィニッシュ。3位となった#32 EPSON HSV-010は前戦オートポリス大会での2位に引き続き、2戦連続で表彰台に上りました。続いて#18 ウイダー HSV-010は7位、#100 RAYBRIG HSV-010は9位となってポイントを獲得。#8 ARTA HSV-010も1周遅れながら13位で完走を果たしましたが、周回数が21周にとどまった#17 KEIHIN HSV-010は残念ながら完走とは認められませんでした。

 優勝はポールポジションからスタートした#38 ZENT CERUMO SC430でした。

 この結果、チャンピオン争いのドライバー部門では、合計43点を獲得した#100 RAYBRIG HSV-010がHonda勢で最上位の5位となりました。また、合計40点を獲得した#18 ウイダー HSV-010は6位、合計30点の#17 KEIHIN HSV-010は12位、合計26点の#32 EPSON HSV-010は14位、合計12点を獲得した#8 ARTA HSV-010は16位となりました。

 なお、GT300クラスの#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)は、第7戦オートポリス大会での経験を生かしたウエットセッティングの恩恵もあって、安定したペースで走り続け、11位でフィニッシュしました。惜しくも3戦連続のポイント獲得とはなりませんでしたが、GT3車両が優勢なGT300クラスの中にあって、本大会ではこの11位がJAF-GT車両の最高位となりました。

松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー
 「2戦連続でウエットレースとなり、2戦連続で#32 EPSON HSV-010が表彰台に上りました。シーズン前半は苦戦続きでしたが、雨が降れば優勝が狙えるポテンシャルを持っていることが、これで改めて証明されました。予選をもう少し上位で通過できれば、優勝も期待できたはずです。特に、前回はミスに泣いた中山選手が、力強い戦いを見せてくれたことが、この結果につながったと思います。残る4台は、ウエットコンディションとタイヤがマッチせず、苦戦を強いられました。この点については、今後まだ改善の余地があると考えています。まだ特別戦の富士スプリントカップが残っていますが、シリーズ戦はこれで終了です。来年はタイトルを奪還できるよう、マシンの開発方針を大幅に変更することも視野に入れていますので、引き続きHSV-010 GTに熱いご声援を送っていただくよう、お願い申し上げます」
道上龍(3位 #32 EPSON HSV-010)
 「前戦のオートポリス同様、今日の決勝もウエットレースになったので、このようなチャンスをものにしなければ結果は出ないと思っていました。オートポリスでは勝てそうだったが勝てなかった、という悔しさがありましたが、今日はきっちり走りきっての3位だったので、順位は下がりましたが、Hondaのホームコースでしっかり表彰台に上がれてほっとしています」
中山友貴(3位 #32 EPSON HSV-010)
 「道上選手が追い上げてくれて、自分はそのバトンをつないで最後までいくという役割の中で、マシンのパフォーマンスを最大限に発揮させて、いい走りをし続けて上を目指そうと思っていました。本当は優勝したかったですが、表彰台に上がることにも、とても価値があると思いますので、今日はこの3位を喜びたいと思います。ここまで苦労してやってきましたが、チームの皆さまや協力してくれたすべての皆さまに感謝したいです」
Text & Photo: HONDA


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