
9月14日、インターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)の第4戦として開催された伝統のレース「鈴鹿1000km」に、国内トップドライバーを擁して臨んだ「チーム・ハンドワーク・チャレンジ」は、ゴールまで2時間を残してトラブルが発生。リタイアに終わった。
それでも、今回監督を務めたB-Maxレーシングチームの組田総代表は、参戦による収穫はあったとして、来年以降のGTカーレースへの参戦を示唆した。
参戦目的はGTカーレースを視野に入れたチームの強化
「ハンドワーク・チャレンジ」は、国内フォーミュラシリーズを中心に戦うB-Maxレーシングチームが属する、B-MAXグループの企業名を冠したプロジェクト。本来は、GTカーレースへの参戦を希望するジェントルマンドライバーのために立ち上げたものだ。
ただ、今回の鈴鹿1000kmへの参戦は「プロジェクト継続のための⾞両性能確認」を謳いながらも、国際イベントへの参加によってチームの経験値を上げ、近い将来のGTカーレース参戦を視野に入れている。

国内トップドライバーを揃え、保有するGT-Rで上位進出を狙う
チームの経験値を上げ、リザルトを残すために、ドライバーは強力トリオに白羽の矢を立てた。1人目は、B-Maxと縁のある現役SUPER GT・GT500ドライバーの佐々木大樹。2人目は、佐々木のパートナーであり、スーパーフォーミュラ(SF)にも参戦する三宅淳詞、そして、3人目は、昨シーズンB-MaxからSFに参戦し、今年はSUPER GTなどで活躍する木村偉織だ。
車両は、フェラーリ296など新たな高性能GT3車両が次々と登場するなかで、旧型ともいえるGT-RニスモGT3を使用する。それでも、長丁場のレースなら上位入賞の可能性は十分にあると踏んでの参戦だ。
トラブルから始まったレースウィーク
走行初日の金曜日は、昼間と夜間に練習走行が組まれたが、エンジンが始動しないトラブルに見舞われ、十分に走行することができなかった。
深夜までかかって、原因と思われる配線を交換し、翌日午前中の走行では、総合7位、プロクラス4位のタイムをマーク。ようやく本来の力を発揮してチームスタッフも胸をなでおろした。

予選では国際レースの洗礼を受け、14グリッド降格
3人の平均タイムで決まる予選では、木村、三宅、佐々木がともに、2分1秒から2秒台のタイムをマークし、暫定結果では総合12位と、まずまずの位置で予選を終えた。
しかし、夜になって、佐々木は赤旗提示時の減速が十分ではなかったとして、ベストタイム抹消。これで総合順位は21位にドロップ。さらに、木村も黄旗が提示された際の減速が不十分だったとして、決勝グリッドを5つ降格のペナルティを課せられてしまった。
安全に対して厳格な運営をする国際シリーズの裁定基準を、十分に把握していなかったことによるものだった。国内レースでは見過ごされることも、国際イベントではそうはならず、12番グリッドから一気に26番グリッドスタートになるという代償を払うことになった。

トラブルでレースを終えるも、GTレースへの継続参戦の可能性は高まる
決勝は、予選上位のBMW、メルセデス、ポルシェのワークス勢が逃げる展開になり、ハンドワーク・チャレンジGT-Rは、中団の総合13位あたりで、国内チームの5ZIGEN GT-R、グッドスマイル・メルセデスなどと国内チーム首位の座を争うことになった。
結局、ハンドワークは、2巡目の三宅がドライブ中に、2時間を残してエンジントラブルでリタイアしてしまい、リザルトを残すことはできなかった。
しかし、レース後、組田総代表は、この参戦を足がかりに、GTカーレースに継続参戦し、近い将来、国際基準のシリーズに参戦することを示唆した。
国内ではいまだ人気の高いGT-Rだが、性能調整があるとはいえ、ポテンシャル的にはやや厳しいものがある。B-Maxがレース活動で培ったノウハウでどこまでやることができるのか、その挑戦が楽しみだ。
Text&Photo: Shigeru KITAMICHI