全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦の決勝が、8月10日、宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションからスタートした岩佐歩夢(AUTOBACS MUGEN SF23)が、雨中のレースを制して悲願の優勝を飾った。
2位は、終始岩佐を僅差で追い続けたサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TOM'S SF23)、3位には終盤にポジションを上げた福住仁嶺(Kids com KCMG Elyse SF23)が入った。
岩佐は、SFデビューとなった2024年は2位2回、2025年もここまで2位2回と、シルバーコレクターを返上できない状態が続いていた。しかし、ここSUGOでポールを奪い、しかも決勝はタイヤ交換義務のないウェットコンディションとなった。決勝日朝のフリー走行もトップタイムをマークするなど、誰の目にも初優勝の条件は揃ったことは間違いなかった。
ウェット宣言が出され、セーフティカー(SC)先導でのスタートとなったことも、ポールの岩佐に有利に働いた。
6周のSCランの後、実質のスタートが切られた。SCラン中に若干路面のラインは乾きつつあり、このまま雨が降らなければ、ドライタイヤへの交換がポイントになりそうな気配だ。
岩佐は、フェネストラズを従える形で周回を重ねるが、両者の差は1秒と離れることはなく、緊張したバトルが続いた。3位の坪井翔(VANTELIN TOM'S SF23)も二人に続いた。
10周目に佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING SF23)が2コーナーでスピン。止まってしまいSCが導入された。20周目にも、13位争いを展開していた三宅淳詞(ThreeBond SF23)、大嶋和也(docomo business ROOKIE SF23)が接触し、三宅がフロントウィングを巻き込んでクラッシュしたため、SCランとなり、その度に各車の間隔はリセットされた。
この2回目のSCランで、後方を走っていた小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC SF23)、小出峻(San-Ei Gen with B-Max SF23)、野中誠太(KDDI TGMGP TGR-DC SF23)らは、ピットインして、新しいレインタイヤに交換。終盤の追い上げに備える。
奇策を敢行したのは、10位を走行していた小林可夢偉(Kids com KCMG Cayman SF23)。1ポイントより優勝を目指すと、天候の回復に賭けてスリックタイヤに交換。結局この作戦は不発に終わったが、その勇気に観客は大いに沸いた。
終盤に入っても、岩佐、フェネストラズ、坪井、福住、阪口晴南(SANKI VERTEX CERUMOINGING SF23)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING SF23)というトップ6は変わらず。
悪天候とSCランのため、予定の周回数(51周)は難しくなり、上限時間の75分、48周でチェッカーとなることが確実になるなか、47周目の1コーナーで福住が坪井に仕掛け、ぎりぎりの攻防で表彰台を勝ち取った。
スタートから一度も首位を譲ることなくチェッカーを受けた岩佐は、雄叫びを上げて、その喜びを表現した。勝てそうで勝てなかった岩佐にとっては、参戦から17戦目での待望の勝利だった。
次の大会、第9、10戦は、11月10〜12日に富士スピードウェイで行われる。
Text: Shigeru KITAMICHIPhoto: Kazuhiro NOINE








