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筑波・富士S-FJ選手権

第7戦筑波決勝 切替悠喜が待望の初優勝 ポールシッター津田充輝がオープニングでまさかのスピンも最下位から怒涛の挽回で2位、チャンピオンを確定

初優勝の切替悠喜(ファーストガレージRSD S2)

チャンピオンを決めた津田充輝(ファーストガレージ制動屋S2)

 2025年JAF筑波・富士スーパーFJ選手権シリーズ地方権第7戦決勝が10月26日(日)に筑波サーキットで行われ、ポールポジションからスタートの津田充輝(ファーストガレージ制動屋S2)が1周目にスピンした後をうけてトップに立った切替悠喜(ファーストガレージRSD S2)がポジションを守って18周を走り切りフィニッシュ。S-FJでのキャリア初優勝を飾った。スピンで最下位まで落ちた津田は怒涛のオーバーテイクショーを演じて2位まで挽回。最終戦を待たずに筑波富士シリーズチャンピオンを決めた。

 決勝のスタートは定刻からやや遅れた午前11時33分。予選終了から約2時間30分のインターバルとなった。この間予選でクラッシュしたランキング2位の酒井翔太(ファーストガレージKKS2)を擁するファーストガレージではサーキットに隣接するファクトリーからパーツを取り寄せるなどして大々的な修復作業を実施。当初は間に合わないのではないかとの声もあったが短時間で修復を完了。車両改修を行ったため最後尾からとはなるが決勝への出走が認められた。これによって予選3位以下が繰り上がりとなり、フロントロウには切替がつき、以下3番グリッド相田有羽音(ZAP SPEED 10VED)、4番畠山退三(KKSⅡ)、5番佐藤颯太(ELEVレーシング10VED)、6番内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)と続く。

 朝からの雨はほとんど止んでおり、それまでに行われた予選/決勝でコース上の水もかなりはけたが依然としてウエットコンディション。グリッド上で見たところ15台全てがレインタイヤを装着していたが、予選で使用したユーズドタイヤではなく新品タイヤも何台かあった。気温15.7度、路面温度18.3度。

決勝がスタートした

 全車グリッドに整列してレーススタート。フロントロウの切替の出足が悪く、3番手スタートの相田が並びかけ、サイド・バイ・サイドで第1コーナーへ。インに相田、アウトに切替でターンイン。切替粘るがコーナー後半で大きくアウトにはらんでしまい相田が先行。しかし続くS字で切替がポジションを奪い返して2位で第1ヘアピンへ。後方では8番グリッドからスタートのマスターズクラスの秋山健也(スーパーウインズKKS2)が7番グリッド村上太晟(S-FJ KKS2)、6番グリッドの内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)をかわして6位に浮上、内藤は村上にもオーバーテイクを許して8位までドロップして第1ヘアピンを通過。内藤の背後には最後尾15番手スタートから早くも6台を仕留めた酒井が上がってきている。

 ポールポジションから発進の津田は後方2台のバトルの間に間合いを広げるが、なんと第2ヘアピンで単独スピン。再スタートは切れたものの最下位までドロップしてしまう。これでトップは切替に。津田を回避した相田にやや差をつけて、オープニングラップのコントロールライン上では1.148秒の差。3位には第2ヘアピンの混乱に乗じて畠山をオーバーテイクした佐藤が0.989秒差でつけているが、畠山も0.244秒差に張り付いている。さらに秋山もベテランらしい沈着さで混乱を乗り切り畠山の1.055秒後方の5位に続いている。マスターズクラスの1-2、6位には村上。酒井はトップから4.779秒差の8位、津田は11.104秒差の15位だ。

 2周目に入りトップ切替と2位相田の差は1.735秒。オープニングラップに7台抜いてポジションを上げた酒井だがこの周は内藤を攻めあぐねたか8位で変わらず。一方で津田はさっそくポジションを取り返しにかかり、この周11位まで挽回。3周目には酒井が内藤を料理して7位、津田は池田悠亮(トップランクスーパーウィンズ)を片付けて10位入り。トップ切替は相田に2.223秒の差をつける。4周目、酒井は第1セクターで村上をオーバーテイク、総合5位でマスターズクラストップの畠山を追い上げていた秋山が第2ヘアピンでアウト側にコースアウト、グリーン上で止まってしまう。

 これで酒井5位、村上6位。内藤を挟んで8位に津田が上がってくる。秋山の車両移動の為にセーフティカー(SC)投入が宣言されレースはいったんリセット。4周目終了時点のトップ6は切替~相田~佐藤~畠山(マスターズクラストップ)~酒井~村上という順で津田は8位につけている。酒井とトップ切替の差は10.193秒、津田は13.980秒の差があったが、SCランの間にギャップはそれぞれ約5秒、約10秒まで縮まった。

 SCランは5周目から8周目まで続き、9周目からレース再開。トップ切替はリスタートをうまくこなしてギャップを作って第1コーナーを通過。後方では酒井が早くも畠山に仕掛けるとオーバーテイクに成功。4位に上がるとさらに10周目の第1コーナーで佐藤のインを差してこれも仕留めて3位へ。津田も内藤、村上を抜き去り6位へ上がると、続いて10周目の第1セクターで畠山も片付け5位、チャンピオンを争うファーストガレージの二人の無双状態が続く。中でも津田の勢いはとどまることを知らず、第2ヘアピンで酒井と佐藤の3位争いに追いつくとバックストレートで一気にオーバーテイク。佐藤も酒井からポジションを奪い返す。これで津田3位、佐藤4位、酒井5位となるが、酒井はメインストレートで佐藤に並びかけて再逆転。4位を取り戻す。

 リスタートをうまく決めた切替は11周目に相田に3.266秒の差をつけてトップをひた走る。3位津田は相田と1.340秒差。しかし1秒近く速いペースで走っており相田を喰うのは時間の問題か。4位酒井は津田と1.511秒差。5位佐藤、6位マスターズクラストップの畠山。秋山が離脱したマスターズクラスの2位は総合9位の本間隆史(MATレーシングPJ10V)だ。

 12周目、予想通り津田は相田との間合いを0.529秒に縮めると続く13周目の第3セクターでオーバーテイク。ついにオープニングラップの最後尾から2位まで順位を取り戻した。相田3位に続く酒井は2.801秒差。今回S-FJデビューの鈴木大翔(ZAP ROBINSUE 15)とジュン(アラロッサ・コヤマG10VED)が順位を争っており、鈴木がジュンを仕留めて13位へ。ジュンは14位でマスターズクラス3番手だ。

 ハイペースで2位まで這い上がってきた津田だが、トップ切替も1分4秒台と速いペースで走っており、13周目に4.544秒あったギャップは15周目に1分4秒079と本日のファステストラップで追っても3.737秒差。それでも津田は最後まであきらめず、16周目3.329秒差とコンマ数秒ずつ切替のマージンを削り続ける。3位相田、4位酒井、5位佐藤は変わらずだが、6位を走っていた畠山が16周目の第1コーナーで単独スピン、これで6位は村上。畠山はすぐに走り出すが9位まで順位を落としてしまい、マスターズクラスのトップは総合8位の本間が立つが、続く17周目に畠山が順位を取り戻して8位、本間9位。

 ファイナルラップ。津田はこの周もプッシュを続けたが2.022秒届かず2位でフィニッシュ。切替がキャリア初優勝を飾った。

 切替は今年5月の筑波の第2戦で酒井に次ぐ2位フィニッシュと鮮烈にS-FJレースデビュー、続く筑波の第3戦でも津田に次いで2位と酒井を抑えた。以降も第4戦富士6位、第5戦筑波3位、第6戦筑波4位と上位フィニッシュを重ねていたが、津田と酒井という高い壁の前にレース後はしきりと自分の力不足を悔やんでいた。しかし今回二人がクラッシュやスピンで序盤出遅れたとはいえ後続をしっかり抑え込み、終盤は津田のプレッシャーにも屈せずトップの座を守り切っての初優勝となった。

 3位相田、昨年の筑波最終戦でレースデビュー。今年は開幕戦6位をはじめ筑波ではコンスタントに入賞してきて期待されていて、待望の初表彰台を獲得した。4位酒井、予選でのクラッシュから短いインターバルで復活、最後尾スタートから這い上がってきた。5位佐藤も切替同様第2戦でデビュー4位。その後もスポット参戦ではあったが今回再び5位。6位村上、9月の第6戦でデビューしたばかりだが早くも入賞。今後が期待される。

 マスターズクラスはスピンで順位を落としたもののすぐにリカバーした畠山が総合8位でクラス優勝、クラス2位本間、そしてデビュー戦のジュンがクラス3位となった。

 今回のリザルトによって津田のポイントは120点、酒井87点となり逆転の目がなくなり最終戦を待たずに津田のチャンピオンが確定した。

 2025年S-FJ筑波・富士シリーズ最終戦は11月9日、舞台を富士スピードウェイに移して開催される。今年は12月のS-FJ日本一決定戦が富士で行われるため、その前哨戦として多くのエントリーが期待される。

優勝は切替悠喜(ファーストガレージRSD S2)

決勝2位は津田充輝(ファーストガレージ制動屋S2)

決勝3位は相田有羽音(ZAP SPEED 10V ED)

決勝4位は酒井翔太(ファーストガレージKK-S2)

決勝5位は佐藤颯太(ELEVレーシング10V ED)

決勝6位は村上太晟(S-FJ KKS2)

決勝8位、マスタークラス優勝は畠山泰三(KKSII)

決勝9位、マスタークラス2位は本間隆史(MATレーシングPJ 10V)

決勝12位、マスタークラス3位はジュン(アラロッサ・コヤマG 10V ED)

トップでゴールする切替悠喜(ファーストガレージRSD S2)

マスタークラスの表彰式

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE

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