全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の決勝が、8月25日、栃木県・モビリティリゾートもてぎで行われ、5番グリッドスタートの牧野任祐(DOCOMO DANDELION M5S SF23)が、チームメイトの太田格之進(DOCOMO DANDELION M6Y SF23)との激しい攻防を制して、今季2勝目を飾った。
当初、雨予報が出ていた決勝日の天候だが、スタート時刻が近づくにつれてその可能性は低くなった。それでも降雨の可能性は消えたわけではなく、各チームは空を睨みながらスタートを迎えた。
スタートを制したのは、PPスタートの山下健太(REALIZE Corporation KONDO SF23)。トップで1コーナーに飛び込むと、太田格之進(DOCOMO DANDELION M6Y SF23)をきっちり抑えたまま1周を終える。その後も2位太田を少しずつ引き離していき、序盤は山下が逃げる展開かと思われた。
しかし、2位太田も食い下がり、5周目以降は逆にトップ山下との差を詰め始める。
10周を終えると、上位陣では、2位太田、4位大湯都史樹(VERTEX CERUMO・INGING SF23)らが、また11周目には6位小高一斗(REALIZE Corporation KONDO SF23)、10位阪口晴南(VERTEX CERUMO・INGING SF23)らがピットに滑り込んでくる。
2台態勢のチームは、1台ずつ序盤と後半でピットインを分けるチームが多かったが、これでトップ山下の1秒後方に牧野任祐(DOCOMO DANDELION M5S SF23)、さらにその4秒後方に野尻智紀(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)という順位になった。
ピットインを終えた車両のなかでは、太田のペースが良く、14、15周目に、まだピットに入っていない笹原右京(VANTELIN TOM'S SF23)、大津弘樹(TGM Grand Prix SF23)を立て続けにパスし、ピットイン組では抜き出た速さを見せる。
17周目、阪口がトラブルでクルマをコースサイドに停め、これによりセーフティカーが入るかと思われ、ピットインの準備をするチームもあったが、安全上問題はなく、そのままレースは続行された。
そして、迎えた22周目、まず2位の牧野がピットイン。続く23周目にはトップ山下、3位野尻がピットに入る。
これで、全車がピット作業を終えることになり、序盤にタイヤ交換をした太田が11秒という大きなマージンを築き、2位に大湯、3位に太田のチームメイト牧野という順位になる。ただ、大湯はペースが上がらず、牧野、山下に抜かれ、順位を落としてしまう。
終盤の見どころは、逃げる太田と追う牧野の攻防。ペースが上がらず苦しい走行を強いられる太田に、牧野がみるみるうちに迫り、25周目に10秒あった差は、30周目には3.6秒、34周目には背後に迫るまでに縮まった。
ここから二人の手に汗握るバトルが繰り広げられた。一旦牧野が前に出る場面もあったが、太田が巧みに抑えきって迎えた36周目の90度コーナー。太田がバランスを崩してスピン。エンジンを止めてしまい万事休す。どうやらスロットルトラブルのようだが、ゴール目前で2勝目を逃してしまった。
これで、牧野が悠々逃げ切って、今季2勝目のチェッカーを受けた。
2位には山下、3位には野尻が入り、以下、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING SF23)、坪井翔(VANTELIN TOM'S SF23)、大湯と、ランキング上位者が順当に上位でチェッカーを受けた。
注目のニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)はしぶとく追い上げ、13位でフィニッシュした。
この結果、シリーズランキングは、野尻がポイントリーダーを守り(58p)、優勝した牧野(53p)、坪井(43.5p)、山下(39.5p)が追う形となった。(ポイントは暫定集計です)
Text: Shigeru KITAMICHIPhoto: Atsushi BESSHO