第5戦決勝は37周で争われた。序盤にタイヤ交換を行った太田格之進と、中盤過ぎの牧野任祐のチームダンディライアンコンビが終盤1-2態勢を形成。トップを走る太田に、フレッシュタイヤの牧野が徐々に迫る展開となった。チームの村岡潔監督はこの模様を次のように語る。
「残り10周、5秒を切ったところで、無線で『クリーンファイトで』という指示を両方に出しました。今シーズンはチャンピオンを取りに行こうと言っていて、必ずそういうシーンがあるから、そのときはクリーンファイトでと伝えてありました」
35周目のヘアピンコーナーでは太田のインを差した牧野が太田の前に出るも、クロスラインを取った太田が立ち上がりで抜き返すという、激しいバトルを展開。36周目には太田が牧野を若干引き離しと思われたが、90度コーナーで太田のマシンにスロットルトラブルが発生。太田はスピンを喫し、これをかろうじて避けた牧野が太田をパスしてトップに立った。残り1周余りでのトラブルで太田は涙をのんだ。
「人間は欲深いのでできれば1-2は取りたかったです。これはチームとか誰かがコントロールできるものではなくて、その結果お客さんがあれだけ楽しんでいただけたので、それ以上の収穫は何もないです。監督冥利に尽きます。こんな経験をさせてもらってドライバー2人にありがとうといいたいです」
村岡監督は、太田に特別な言葉をかけることはないという。
「声をかけてモチベーションをどうとかとはないですね。この結果で、だめになるようなドライバーなら、ここまで上がってこられないと思っているので、自分でいろいろ考えてもらえばいいです。プロのドライバーとして接するので、あえて特別な言葉をかけることはないです」
残り2大会4戦。特に次の富士の2戦は重要だという。
「ラスト2大会、4戦が勝負ですね。まずは富士の2戦をまとめたいと思います。ここで勝たないとチャンピンは見えてこないので、一つ勝って一つ表彰台とかで前に出られるので、ここからしっかりやりたいと思います」
このレースの結果、3位に入った野尻智紀がポイントを58まで伸ばしリーダーを堅守。2位牧野は53ポイントで5ポイント差まで迫った。もてぎのレースを見る限り、主導権はチームダディライアンに移ったかに見える。富士大会での牧野と太田に注目だ。
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI