TCR JAPAN SUNDAY

第4戦富士決勝 スタート直前の降雨にも関わらずスリックタイヤでスタートのTAKESHI SUEHIROがレインタイヤ勢を抑えて優勝を飾る

優勝はTAKESHI SUEHIRO(バースレーシングプロジェクト【BRP】)

 TCRJサンデーシリーズ第4戦は10月8日、富士スピードウェイで決勝を行い、予選3番手からスタートのTAKESHI SUEHIRO(バースレーシングプロジェクト【BRP】)が小雨が降る中をスリックタイヤで快走、ライバルを振り切って優勝した。

 朝の予選の段階ではまだドライコンディションだった富士スピードウェイだが、昼前あたりから僅かながら雨が落ちはじめ、午後1時10分の決勝コースイン時刻にはどんよりとした雲から小雨が降り出す。しかしながらストレートの路面は僅かに湿った程度の状態で、多くのチームはコースイン直前までマシンをジャッキアップして、空模様をにらんでいる。中でも動きが慌ただしかったのが韓国から遠征のチェ・ジョンウォン(KMSA MOTORSPORT N)のチーム。選手もチームも雨の富士スピードウェイ未体験ということで、いち早くレインタイヤを装着していたが、いったんスリックタイヤに変更、さらにコースイン間際に再度レインタイヤへ戻すという大忙しであった。

各チームドライタイヤとウエットタイヤで戦略が分かれた

 コースインの時点では、このジョンウォンを始めとして、玉田誠二(TAMADA Racing)、加藤正将(Audi Team Mars)、MOTOTINO(55MOTO RACING)の4台がレインタイヤ装着が確認され、さらにポールシッターの猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)もダミーグリッド上で決断してレインタイヤを装着した。一方で2番グリッドの久保田英夫(J'S RACING CIVIC TCR FL5)、3番手のSUEHIRO、4番手の梅本淳一(J'S RACING CIVIC TCR FK7)、7番手の鈴木建自(バースレーシングプロジェクト【BRP】)はスリックタイヤを選択。この判断がどう別れるかが注目された。

決勝がスタートした

 午後1時25分フォーメーションラップ開始。各車は足元を確かめるようにマシンを振ってコースを1周するとグリッドに整列、レースがスタートした。

 蹴り出しがよかったのは2番グリッドから発進の久保田、前日の決勝ではローンチシステムの理解が不十分でエンジンストールさせてしまったが、今回はクリーンスタートを切ると一気に猪爪をかわしてホールショットを奪って先頭でTGRコーナーへとアプローチ。一方出遅れた猪爪はブレーキングで止まり切れずにTGRコーナーを直進、アウト側のエスケープゾーンからコースに戻るが大きく順位を落としてしまう。猪爪は玉田の前、8番手でコースに復帰。

 トップに立った久保田の後方はSUEHIRO、さらに加藤が6番グリッドから3番手にポジションアップしている。続くコカ・コーラコーナー出口で鈴木がスピン、アウト側に飛び出してしまう。鈴木は最後尾からレースに復帰。アドバンコーナーでは加藤がSUEHIROのアウトから並びかけてオーバーテイク、2位へ浮上する。さらに13コーナー手前でジョンウォンもSUEHIROを仕留めて3位に浮上、現時点ではレインタイヤがやや有利な状況か。そして13コーナーでは梅本がスピン、最下位まで順位を落とす。

 オープニングラップを終えてトップは久保田、0.262秒の差で加藤、0.976秒差でジョンウォンが続き、SUEHIROはジョンウォンから1.360秒とやや離される。SUEHIROの背後には0.624秒差でMOTOTINOでここまでトップから3秒以内でグループを形成。TGRコーナーでコースアウトした猪爪は6位まで順位を戻したがトップからは5秒以上遅れている。

 2周目、TGRコーナーでレインタイヤの加藤がスリックの久保田をオーバーテイクしてトップへ立つとこの周だけで1.277秒までギャップを拡げる。3位ジョンウォンは久保田に追いつけず1.274秒の差。4位SUEHIROはそこから1.290秒差と4台が等間隔。猪爪はMOTOTINOを仕留めて5位に浮上する。

 3周目のコカ・コーラコーナーで久保田がコースアウトしかけてジョンウォンが接近するが、第2、第3セクターと久保田が速くギャップを1.344秒に戻す。SUEHIROもジョンウォンより1秒速いタイムで0.247秒差と接近、レインタイヤのジョンウォンに対してスリックタイヤの久保田とSUEHIROが優位になってきたか?

 4周目のTGRコーナーでSUEHIROがジョンウォンのインを突くが、ここはジョンウォンが守り切る。しかしSUEHIROの攻勢は続きコカ・コーラコーナー立ち上がりでジョンウォンに並びかけると100Rでアウトから豪快にオーバーテイク、3位に浮上する。4位に落ちたジョンウォンに対して猪爪が0.655秒まで接近している。猪爪の勢いはとどまらず5周目のTGRコーナーでジョンウォンに対してテール・ツー・ノーズ状態に持ち込むと、コカ・コーラコーナーで一気に仕留めて4位へとポジションアップ。

1コーナーで接触する加藤正将と久保田英夫

 一方でトップを走る加藤はややペースダウン、2.4秒あったマージンを第2、第3セクターで一気に吐き出してしまうとパナソニックコーナーからの立ち上がり加速で久保田のノーズが僅かに前に出て、両車並んでコントロールラインを通過したところでは0.061秒差で久保田がトップ。2台はサイド・バイ・サイドで6周目のTGRコーナーへ進入。久保田がイン側右サイド、加藤がアウト側左サイドでターンインするが、久保田がアウト側にはらん第2コーナーで両車接触、加藤が姿勢を崩して久保田にもたれかかるように再度接触し今度は久保田がハーフスピン、立ち直った所で加藤と3回目の接触、両車そのままアウト側のグリーンにコースアウトしてしまう。久保田はその場でストップ。加藤はスロー走行で走り続けるが、結局ダンロップコーナー出口でエスケープゾーンにマシンを止めた。ただちにセーフティカー(SC)がコースイン。

 この2台の脇をすり抜けてSUEHIROがトップに立ち、2位には猪爪が浮上する。3位ジョンウォン、4位MOTOTINO、5位梅本、6位鈴木、7位玉田までがSC先導で走行。

 SCランは9周目まで続き10周目からレース再開、リセットされた各車のトップからのギャップは

  • トップ SUEHIRO
  • 2位 猪爪 +0.634秒
  • 3位 ジョンウォン +1.337秒(+0.703)
  • 4位 MOTONINO +1.846秒(+0.509)
  • 5位 梅本 +2.194秒(+0.348)
  • 6位 鈴木 +2.338秒(+0.144)
  • 7位 玉田 +4.224秒(+1.886)

 この時点で残り時間1分17秒、誰が勝ってもおかしくない超スプリントがあと2周だ。

 リスタートで、まずMOTONINOがTGRコーナーでジョンウォンのインを突いて3位にポジションアップ。続いて5位の梅本がコカ・コーラコーナーでコースアウト~スピン、すぐに走り出すが7位に落ちる。ジョンウォンは表彰台を取り戻すべく仕掛け、2台はテール・ツー・ノーズ状態で100R~ダンロップコーナーを抜けてつづら折りの登りセクションへ。ジョンウォンはGR SupraコーナーでMOTOTINOのインを差すと、最終パナソニックコーナーはアウト側からサイド・バイ・サイドでコーナリング。両車は並んでストレートを加速すると、コントロールライン上ではMOTONINOが0.011秒だけ前に出てファイナルラップに突入。トップはSUEHIRO、2位猪爪は2.168秒と差をつけられている。

 ファイナルラップ、表彰台を争うMOTOTINOとジョンウォンはサイド・バイ・サイドでTGRコーナーへのブレーキング勝負、インを取ったMOTONINOが3位のポジションを死守する。前を行く猪爪のペースが上がらずこの3台が微妙な位置関係になる。ジョンウォンはアドバンコーナー進入でインを窺うが、SUEHIROがここはブロック。第3セクターに入るとジョンウォンは右に左にとプレッシャーをかけるとGR SupraコーナーでMOTOTINOのインに切れ込み一気に前に出て3位の座を奪回して最終パナソニックコーナーへ。MOTOTINOはやや小回りにラインを取ってジョンウォンのスリップストリームを貰うと、フィニッシュライン間際で左サイドに出て加速競争を挑むが0.141秒及ばす、ジョンウォンが3位でチェッカードフラッグを受けた。

 2台の前でSUEHIROがトップチェッカー、スリックタイヤでレインタイヤ勢の攻勢をしのぎ切って優勝を飾った。オープニングラップで順位を落とした猪爪が2位まで這い上がり、3位ジョンウォン、4位MOTOTINOに続いて5位玉田、6位梅本、7位鈴木の順でゴールした。

 TCRJサンデーシリーズ第5戦は11月26日にスポーツランドSUGOで行われる。

決勝2位は猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)

決勝3位はチェ・ジョンウォン(KMSA MOTORSPORT N)

決勝4位はMOTOTINO(55MOTO RACING )

決勝5位は玉田誠二(TAMADA Racing)

決勝6位は梅本淳一(J\'S RACING CIVIC TCR FK7)

3位に入ったチェ・ジョンウォン(KMSA MOTORSPORT N)

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA


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