TCR JAPAN SATURDAY

第4戦富士決勝 ポールスタートの猪爪杏奈が優勝、シリーズチャンピオンを決める

チャンピオンを獲得した猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)

 TCRJサタデーシリーズ第4戦は10月7日、富士スピードウェイで決勝を行い、ポールポジションからスタートの猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)がTAKESHI SUEHIRO(バースレーシングプロジェクト【BRP】)の追撃を振り切って優勝した。

 決勝は、午後0時25分コースイン、朝からすっきりと晴れた富士スピードウェイは気温22度、路面温度も低めで絶好のドライコンディションだ。各車ダミーグリッドに着くと前後タイヤの入れ替えを行う。少しでも前後のタイヤ温度を揃えようという作業だ。しかし予選7番手の加藤正将(Audi Team Mars)はコースインできずピットでボンネットを開けて作業を行っている。クルーの話ではエンジンが始動せず原因を調査中とのことで決勝をスタートできずに終わった。

決勝がスタートした

 午後0時40分定刻通りのフォーメーションラップ開始。加藤を除く8台がグリッドに着いてスタート、23分間+1周のレースが開始された。

 ポールポジションから発進の猪爪の加速がよくホールショットを奪ったのに対して、フロントロウに並んでいた久保田英夫(J'S RACING CIVIC TCR FL5)の新型シビックはエンジンストールか動き出しが遅れ、さらに8番手スタートのチェ・ジョンウォン(KMSA MOTORSPORT N)も大きく出遅れ、2台は最後尾からスタートを切る。反対にスタートがよかったのはセカンドロウからスタートのSUEHIROと梅本淳一(J'S RACING CIVIC TCR FK7)でそれぞれ3位→2位、4位→3位とポジションを上げて猪爪を追う。

鈴木建自とMOTOTINOが接触してコースアウト

 そしてTGRコーナーへのターンインで5番手スタートの鈴木建自(バースレーシングプロジェクト【BRP】)と6番手スタートのMOTOTINO(55MOTO RACING)が接触。両車アウト側へコースアウトしてしまう。MOTOTINOはコースに復帰したが鈴木がコースサイドに止まったため、ただちにセーフティカー(SC)投入が宣言される。

 鈴木も再スタートを切り、SCを追い越して隊列の最後尾に戻り、3周目に態勢が整ったとしてSCイン、4周目からレースは再開される。SCランによって、久保田とジョンウォンのスタートミスはほぼ帳消しになり、それぞれ5位と6位、トップからの差も3秒程度のポジションに戻ることができた。

 4周目からレースはリスタート、再開時点での順位はトップ猪爪、2位SUEHIRO、3位梅本、4位玉田誠二(TAMADA Racing)と続く。玉田はトラブルを回避して好位置につけている。以下久保田~ジョンウォン、コース復帰したMOTOTINO、鈴木の順。

 猪爪はリスタートでSUEHIROにつけ入るスキを与えずにTGRコーナーへアプローチ、後方では久保田が玉田の右サイドからオーバーテイクにかかりTGRコーナー手前で4位に進出。さらにジョンウォンもTGRコーナーで玉田のインを差すとサイド・バイ・サイドで第2コーナーをクリア、コカ・コーラコーナーでアウト側から玉田を仕留めて5位にポジションを上げる。さらにMOTONINOもアドバンコーナーで玉田をオーバーテイクして6位へ。

 4周目を終えてトップ猪爪と2位SUEHIROのギャップは0.9秒。3位梅本はそこから1.5秒の差。猪爪はさらにプッシュして5周目に1分47秒098のファステストラップを叩き出してSUEHIROとの差を一気に1.8秒までひろげる。そこから2.5秒遅れた3位梅本に久保田が0.59秒まで接近。二人は同じJ'S RACINGの所属で梅本がチームオーナーという関係で、実況放送では久保田が梅本に忖度するか注目する。

 しかし久保田は新型マシンの性能を見せつけて次の6周目の第1セクターで梅本のテールにへばりつくと、GR Supraコーナーでインを差してオーバーテイク。3位にポジションを上げると前を行くSUEHIRO追撃にとりかかる。

 猪爪はSUEHIROとの差をじわじわと拡大、7周目2.227秒、8周目2.485秒までその差を拡げると安全圏とみたかややペースダウン。一方SUEHIROには久保田がじわじわと接近、3秒あった差は10周目に1.889秒まで接近する。

 猪爪が12周目に入ったところでスタートから23分が経過、次の13周目がファイナルラップであると宣言される。猪爪はややペースを落としながらファイナルラップを走り切りチェッカードフラッグの下を通過、SUEHIROに0.756秒の差で優勝を飾った。3位久保田は0.806秒差までSUEHIROを追い上げたが3位。新型シビックを初舞台で表彰台に導いた。以下4位梅本、5位フィニッシュはジョンウォンだったがジョンウォンはSC中の走路外走行でレースタイムに5秒加算のペナルティが課されて7位まで降着。MOTOTINOが5位、鈴木5位となった。玉田も無事完走、8位フィニシュとなった。

 ポディウムに戻って来た猪爪はマシンを降りるとヘルメットを脱ぐ前から涙が止まらず、クシャクシャの笑顔でぎこちなくガッツポーズをとってみせた。これで最終戦を待たずしてTCRジャパン、サタデーシリーズのチャンピオンを獲得となった。

 TCRJサタデーシリーズ第5戦は11月25日にスポーツランドSUGOで行われる。

優勝は猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)

決勝2位は末廣武士(バースレーシングプロジェクト【BRP】)

決勝3位は久保田英夫(J\'S RACING CIVIC TCR FL5)

決勝4位は梅本淳一(J\'S RACING CIVIC TCR FK7)

決勝5位はMOTOTINO(55MOTO RACING )

優勝した猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)

優勝した猪爪杏奈(羽衣6 DOME RACING)

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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