SUPER GT

第7戦オートポリス決勝 36号車au TOM'S GR Supraが驚異の11台抜きで今季2勝目を挙げる

GT500クラス優勝はau TOM\'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)

GT300クラス優勝は埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰/野中誠太)

 2023オートバックス スーパーGT第7戦「オートポリスGT450kmレース」の決勝が10月15日、大分県日田市のオートポリスで行われた。レースはGT500、GT300ともに終盤までドライバーの意地がぶつかり合う激しいバトルの連続となり、GT500クラスは予選12番手からスタートした36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が11台抜きを披露して第2戦富士以来の今季2勝目挙げた。GT300クラスは予選4番手からスタートした52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰/野中誠太)が第6戦SUGOに続いて2連勝を達成している。

(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選日6,500人/決勝日13,500人/大会総入場者数20,000人)

航空自衛隊新田原基地所属のF-15戦闘機によるウェルカムフライト

 航空自衛隊新田原基地所属のF-15戦闘機によるウェルカムフライトに続いて、第7戦決勝は午後1時30分より97周で行われた。スタート時の気温は17℃、路面温度は27℃だ。

GT500クラスのスタートシーン

GT300クラスのスタートシーン

 スタートでトップに立ったのは福住仁嶺(ARTA MUGEN NSX-GT)、関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)が2位に上がり、国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)は3位に後退。タイヤが作動領域に入らないのか、ペースを上げられないでいる。

 1周を終えて2位と3位の差は3.349秒。19号車の後方には17号車Astemo NSX-GT、14号車ENEOS X PRIME GR Supra、37号車Deloitte TOM'S GR Supra、38号車ZENT CERUMO GR Supra、3号車Niterra MOTUL Zが僅差で連なる。

 16号車は2周目に1秒672。3周目には2秒772、5周目には5.382秒と着実にリードを広げていく。

 その後ろでは松下信治(Astemo NSX-GT)が6周目の第2ヘアピンで大外から19号車を抜いて3位に浮上すると、山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)、笹原右京(Deloitte TOM'S GR Supra)も7周目の1コーナーで19号車を次々に抜き去っていった。その後も19号車はどんどん順位を落としていき、7周目に最初のピット作業を行った。

 立川祐路(ZENT CERUMO GR Supra)は9周目に37号車と14号車を次々に捉えて4位、続いて37号車も10周目に14号車を捉えて5位に浮上する。

 こうした中、トップの16福住は13周終わりで18.803の大量リードを築き上げる。

 14周目に入ると立川が17号車と39号車を次々に捉えて一気に2位に浮上。松下もこの周の第2ヘアピンで39号車を攻略。笹原もそれに続き、39号車はこの周だけで一気に5位に後退した。その最中に18号車UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が1コーナーで96号車K-tunes RC F GT3に追突されてコースオフしたことによりこの日最初のフルコースイエローが宣言され、15周目に解除となった。

 すかさず17号車を攻め立てる笹原。15周目には39号車と100号車が最初のピット作業を行うと、トップの16号車も19周目にピットイン。

 21周目には38号車と17号車、23号車が相次いでピット作業を行った。この間に千代勝正(Niterra MOTUL Z)が第2ヘアピンで14号車を捉えたことにより、22周目には37号車がトップ浮上、3号車は2位。3位には14号車が続き、以下36号車、16号車、23号車、1号車の順となる。

 27周目に14山下がピットイン。コース上では27号車Yogibo NSX GT3(岩澤優吾/伊東黎明)のタイヤ脱落により2回目のフルコースイエローが宣言された。27号車は自走でピットに戻り、修復作業を行ったが、ピットアウトしたところで再びコースを飛び出してストップしてしまったため、トップが29周目に入ったところで3回目のフルコースイエローが宣言された。

 この間にまだ最初の給油を行っていなかった3号車がピットイン。続いて37号車が30周目にピットインしたことにより、36号車がここで暫定トップに浮上する。

 その36号車は34周目にピットインし、坪井翔から宮田莉朋に交代。これで再び16号車がトップに返り咲く。2位は最初のピット作業を短めに終わらせた23号車。17号車が3位に続き、38号車が4位だ。

 35周目には3号車が1号車を捉えて5位に。36周目には37号車が39号車を捉えて7位に浮上する。

 3回のフルコースイエローが影響してか、一時は18秒以上のリードを築いた16号車のリードは39周終了時点で7秒428秒にまで縮まった。2位に浮上していた23号車は40周目にピットイン。結局3度のピット作業を行うことになり、下位に沈むこととなる。

 16号車は57周目に周回遅れのイゴール・オオムラ・フラガ(ANEST IWATA Racing RC F GT3)に追突されるハプニングがあったものの、その後もトップを維持して周回を重ね、59周目に福住仁嶺から大津弘樹に交代。

 大津は50周目にドライバー交代を済ませていた石浦宏明(ZENT CERUMO GR Supra)の後ろでコースに復帰するが、63周目の1コーナーでこれを捉えて実質トップに浮上する。この周で3号車が2度目のピット作業を行ったことにより、この時点で給油義務を果たしていないのは36号車だけだった。

 その36号車が65周目に2度目のピット作業を行ったことで16号車がトップに。36号車は3号車の後ろでコースインした。

 その3号車を駆る高星は67周目に38号車を抜いて2位に浮上する。

 68周終わって16号車と3号車の差は5秒885に縮まった。ここから2度目のピット作業を遅らせた3号車、36号車の快進撃が始まった。

 70周目に宮田が38号車を捉えて3位に浮上、高星も72周目には16号車との差を3秒918とする。そして高星の0秒521秒後方には宮田が迫ってきた。

宮田莉朋(au TOM\'S GR Supra)と高星明誠(Niterra MOTUL Z)の2位争い

 その後は高星と宮田がコースの各所でドッグファイトを展開し、77周目の第1ヘアピンでついにインから宮田が3号車を抜き去った。次なるターゲットは16号車の大津だ。

 79周終了時点で16号車と36号車の差は2秒460。80周目には0秒838と一気に縮まった。そして82周目にはその差が0秒390となる。

 大津の背後で隙を窺いながら周回を重ねる宮田が行動を起こしたのは87周目の第2ヘアピン。ここで宮田は大津のインに飛び込みついにトップに浮上する。

 高星もこのバトルの間にトップ2台との差を縮めてきており、87周終了時点で16号車との差を0秒484とした。

 その後は着実にリードを広げる36号車の後ろで16号車と3号車が激しいバトルを繰り広げることとなったが、大津は最後まで高星の先行を許さなかった。

 この結果36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が後続に5秒474の差をつけて第2戦富士以来の今季2勝目を達成。

 2位には16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)が入り、3号車Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が3位でフィニッシュした。

 GT300クラスはスタートでポールポジションの平良響(muta Racing GR86 GT)がトップに立ち、山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)が2位、小高一斗(apr LC500h GT)が3位につけ、川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が僅差の4位につける展開で始まった。

 川合は31号車がブルテンで定められた最低限の周回数である5周目に最初の給油を行う作戦をとったことで3位に浮上すると、8周目のさよりんブリッジ手前で61号車を捉えて2位に浮上する。

 一方、トップの2号車は7周を過ぎたあたりからペースが落ち始め、築き上げたリードを徐々に失っていく。すると川合は18周目の第2ヘアピンで2号車のインをついてトップに浮上、31周目に行った最初のピット作業をタイヤ無交換で済ませてタイムを稼ぐ。

 52号車は45周目に2度目のピット作業を行い、ここで吉田に交代したことで一旦は2号車の先行を許すが、2号車が57周目に2度目のピットインを行ったことで再びトップに浮上する。

 続いて52号車と同じ45周目にドライバー交代を行った根本悠生(apr LC500h GT)が58周目の第2ヘアピンで2号車のインをついて2位に浮上するが、59周目には堤優威(muta Racing GR86 GT)が31号車を抜き返して2位を奪い返す。GTワールドチャレンジへの参戦を優先する根本は、シーズン当初は今大会を欠場する予定でいたが、金曽裕人のたっての願いを受け、ワールドチャレンジで所属するランボルギーニの了解を取り付けて急遽第7戦に参加することとなったのだった。

 レースはその後、堤が吉田を追い上げる展開となったが、吉田は最後まで堤の先行を許さず、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰/野中誠太)が第6戦SUGOに続いて2連勝を飾った。

 2号車muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)は惜しくも2位。
31号車apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗/根本悠生)が3位で今季初の表彰台を獲得した。

 次戦はいよいよシーズン最終戦となるモビリティリゾートもてぎ。果たしてチャンピオン争いの行方はいかに。11月5日決勝だ。

GT500クラス決勝2位はARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)

GT500クラス決勝3位はNiterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)

GT300クラス決勝2位はmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)

GT300クラス決勝3位はapr(嵯峨宏紀/小高一斗/根本悠生)

GT500クラストップでゴールする宮田莉朋(au TOM\'S GR Supra)

GT300クラストップでゴールする吉田広樹(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)

GT500クラスの表彰式

GT300クラスの表彰式

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI


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