筑波・富士S-FJ選手権

第2戦公式予選 タイムアップ7秒前、田上蒼竜が狙いすましたタイムアタックでポールポジション獲得

 2022年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第2戦公式予選が5月5日(木・祝)に筑波サーキットで開催され、今年コンスタントに予選トップ争いを展開している田上蒼竜(AsカンパニーZAP10VED)が安田航(Fガレージ&Sウィンズ Sll)との争いを制してポールポジションを獲得した。

鯉のぼり

 子供の日らしく爽やかな晴天に恵まれた予選は8時50分開始。前回優勝の稲葉摩人(ZAP SPEED 10VED)を先頭に18台がコースインして20分間の予選が開始。

 まずはウォームアップを終えた計測2周目、稲葉が59秒093のトップタイム。安田が59秒200で2番手、白崎稜(ZAPスタッフリソースED)が59秒207で続いた。

 この白崎は前日のスポーツ走行の際に筑波で最もスピードが乗る最終コーナーの進入で他車と接触してクラッシュ。フロント周りを大破しフレームまでダメージがあったとの事だが、筑波サーキットのすぐ近所にファクトリーを構えるZAP SPEEDの強みで朝までに修復を終えて来た。練習走行がほぼ出来ていない白崎だが、影響を感じさせない走りで次の周回で58秒640と真っ先に58秒台に入れてトップに立つ。稲葉は58秒702で2番手、3番手は田上が58秒761。この田上も前日の最後のスポーツ走行の終了間際に最終コーナーへアプローチ開始する地点でバランスを崩してコースアウト。フロントからスポンジバリアに刺さった状態になるもダメージはほぼ無かった模様。とはいえ点検やグラベル掃除が必要な状態で、白崎に続いてZAP SPEEDのメカニックは大忙しのレース前日になっていた。

 4番手に武者利仁(ゼンカイレーシング遊技闘速ED)が59秒014と続くが、武者も前日はトラブル続きで、1回目のスポーツ走行開始直後に電気系のトラブルでストップ。さらに2回目の走行でも途中から燃料系が不調でエンジンが息をつくような症状を見せて本格的なタイムアタックができずに終わっていた。いずれも対処を行ったとの事だがテスト不足は否めない中での予選となっている。

 5分経過時点で稲葉が58秒572でトップに立つも田上すぐに58秒449を出してトップに立ち、白崎は58秒571で2番手、稲葉3番手へ後退。安田が58秒654で4番手へ浮上。安田のチームメイト岩本瞬(ファーストガレージ小倉学園S2)が5番手、内藤大輝(RCIT RaiseUP MT)が6番手で続く。安田はさらにタイムを詰めて58秒490と田上から0.041秒差の2番手へ。白崎、稲葉の後ろには58秒693で武者。

 8分経過、田上は58秒262とベストタイムを削りトップを堅持。白崎が58秒452で2番手へ浮上。安田3番手、稲葉4番手。気温、路面温度が上昇する本日のコンディションに対してダンロップタイヤのグリップダウンが懸念されているだけに、各車いったんタイムを出すとややペースを落としてタイヤの温度を下げようとしているように見うけられる。

 その中で順位を上げてきたのが下村剛司(SウインズKENS2ED)で、58秒629で5番手へ。折り返しの10分経過時点で岩本が58秒621で一度は下村の前に出るが下村もすかさず58秒564で5番手を取り返す。二人のすぐ後ろには本田千啓(オートルック☆モダン☆10V)がつける。

 岩本は負けじと58秒505をマークし下村と稲葉を押しやり4番手へ。安田は58秒319をマークして2番手へ、田上とは0.057秒の差と詰め寄る。

 ここで田上はピットイン、タイヤをチェックすると再びコースインする。

 13分が経過し、稲葉が58秒333で3番手へ浮上。続いて白崎が58秒308で安田をかわして2番手へ。安田はインターバルを置いて再度タイムアタックに入り、16分経過時点でついに田上を上回る58秒228をマークしてトップに立つ。3月の開幕戦ではまだニューマシンに馴染みきれていないと話していて、予選/決勝とも不本意な5位だった安田だが、前日のスポーツ走行でも走り込んだユーズドタイヤで58秒台に入れており復調を感じさせている。

 18分経過、白崎が58秒274で3番手、稲葉も自己ベストとなる58秒292をマークするも4番手変わらず。

 20分が経過しチェッカードフラッグが掲示される直前に田上がコントロールラインを通過すると表示されたラップタイムは58秒203。安田を0.025秒上回りポールポジションを獲得した。白崎、稲葉はタイムを更新できずセカンドロウに並ぶ。5番手に岩本。6番手下村と続き、武者は最後に下村に0.016秒差まで詰め寄ったが届かなかった。

 3台が出場のマスターズクラスは秋山健也(スーパーウインズKKS・ED)が58秒918の全体15番手でトップ、以下全体17番手本間隆史(MATレーシングPJ10VED)、同18番手竹沢茂(スーパーウィンズ☆KKS☆ED)という順になった。

ポールポジションは田上蒼竜(AsカンパニーZAP ED)

予選2位は安田航(Fガレージ&SウィンズSll)

予選3位は白崎稜(ZAPスタッフリソースED)

予選4位は稲葉摩人(ZAP SPEED 10V ED)

予選5位は岩本瞬(ファーストガレージ小倉学園S2)

予選6位は下村剛司(SウィンズKENS2 ED)

■予選後のコメント

ポールポジション 13号車・田上蒼竜(AsカンパニーZAP10VED)58秒203

ポールポジションを獲得した田上蒼竜(AsカンパニーZAP ED)

 「なかなか(周回を)全部まとめ切れなくて苦戦していたが、最後100点ではないが及第点の感じで回ってこられてトップタイムだったのでよかった。(前日のスポーツ走行でのコースアウトのダメージは?)まったく無かった。決勝に向けては、前がいないクリーンな状態で走り続けて行きたいと思う」

2位 53号車・安田航(Fガレージ&Sウィンズ Sll)58秒228 トップと0.025秒差

 「最後に田上選手にやられてしまった。ペースは良かったがタイヤがきつくて途中クールダウンさせながらタイムアタックしたが届かなかった。タイムは接近しているので決勝ではZAP勢に割って入って、前回のような表彰台独占は阻止したい」

3位 26号車・白崎稜(ZAPスタッフリソースED)58秒274 トップと0.071秒差

 「昨日は(クラッシュで)練習できなかったので、今日直してもらったマシンで臨んだ予選だったので(調子を)確かめながら踏んでいって、意外と大丈夫そうだったので、タイヤのクールダウンも含めて空気圧チェックしてから2回目(の走行)で全力で行ったのだが第1ヘアピンがうまくまとめきれなくて、こんな結果になった。僅差だったので前回に続いて悔しい。決勝はスタートで前に出るつもりで行く」

4位 14号車・稲葉摩人(ZAP SPEED 10VED)58秒292 トップと0.089秒差

 「(4番手だが?)やっちまいました(笑)。昨日の練習走行でのタイヤが想像以上にボロい状態で、そちらにセッティングとドライビングの感覚を合わせ過ぎていた。そのためこの20分間の予選で路面の温度とか感じ取って合わせ切ることができなかった。完全にドライバーの問題だ。他のドライバーがうまくまとめていたのに(自分は)バラつきがあった。走っていても自覚があったので、いろいろ試しながら、どこまで行けるか(確かめながら)で出したタイムがたまたま4番手だった、という事だ。決勝では1位を狙いたいが、(狭い)筑波であまりリスクは取る気がないので、安全に行く。上位のドライバーは皆信用できる選手なので、そこはうまいレース運びをしていけば、勝つべき人が勝つ、というレースにしたい」

5位 52号車・岩本瞬(ファーストガレージ小倉学園S2)58秒505 トップと0.302秒差

 「思ったより(タイムが)離れてしまった、もうちょっと行けるかと思っていたのだが。ただ(自分の)遅い所が明確なので、決勝はそこを改善して行けば(勝負して)行けるかなというイメージだ。前戦はZAPさんにやられてしまったので、今回こそは逆転したい」

6位 73号車・下村剛司(SウインズKENS2ED)58秒564 トップと0.361秒差

 「自分としてはまわりのタイムは気にせずに、自分の走りをした。昨日の練習でもミスをしていたし、その前にニュータイヤの使い方とか自分の課題が見えて来た。それだけに自分と向き合って、今までは一番いい走りだったと思う。(決勝に向けては?)前は速いドライバーばかりなので、まずはしっかりスタート決めて、ついて行って、チャンスがあれば狙ってしっかり順位上げていきたい」

 決勝は12時05分スタート予定。ポールスタートの田上が有利とはいえ、上位4台のタイム差は0.089秒という僅差でスピードにそん色はない。

 天気予報はこのまま晴れで気温はかなり上昇すると見込まれ、この暑さでダンロップタイヤのグリップダウンがどう出るかも未知数だ。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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