自身もJAF-F4のトップコンテンダーである「ハンマー伊澤」氏が中心となる新しいレースシリーズ「HIX-Formula」の発足がアナウンスされ、8月1日の「筑波チャンレンジクラブマンレース第3ラウンド」においてレースが実施される。
「HIX-Formula」はJAF公式戦への参加準備が整わず死蔵されているフォーミュラ・マシン、公式戦参加の前にお試しにレースを体験したいドライバーなどに広く門戸を開く目的で設立された(発足資料より)。
車両規則はほぼJAF-F4に準じており、JAF-F4適合車両(Hクラス、Sクラス)の他、2001年から2017年に製造の「Formula Renault2.0」車両、国内のFCJシリーズに参戦していた「FC-106」、Formula New Zealandに参戦していた「FT40」が現時点では規定されており、その他のマシンについても、参戦希望があれば性能を揃える必要はあるが考慮されるとの事だ。
クラス分けは上記5種のうち、HパターントランスミッションのJAF-F4(Hクラス)を2クラスとし、その他が1クラスに分類され、賞典はクラスごとに与えられる。
ドライバーの参加資格は「2021 筑波シリーズ 4輪一般競技規則書」に順じ、過去2年間にJAF戦のレースで3位以内、もしくはシリーズランキング3位以内の入賞経験者、及び協会の判断でプロドライバーと認められた選手は賞典外の扱いとなる。
しかし他の参加者のレベルアップの助けやレースにおけるベンチマークとなるこれらのドライバーが参加する事を協会は希望しており、今回のレースでも3人の現役JAF-F4参戦ドライバーが参加した。
(詳細はhttp://www.hammer-izawa.com/hix-formula-regulation.pdf)
レースはまずスタンディングスタートで8周を戦い、8周終了時点でいったんセーフティカーが入り隊列を整えなおし、そこからローリングスタートでレース再開後8周でフィニッシュという形式で行われる。
「HIX-Formula」設立の理由などについて、会長であるハンマー伊澤氏にうかがった。
今回10台のエントリーが集まった、思った以上の反響か?
「ほとんど身内が集まったようなもので、まだ他には認知されいない印象だ。JAF-F4選手権よりは出場しやすいということで(未経験者から)「それなら出てみるよ」という反応があったのだが、いざエントリーの段になると「ちょっと今回は時期尚早かな」と尻込みされた方がいた。その辺りが難しいところだ」
「HIX-Formula」創設のきっかけは?
「筑波ではJAF-F4が少々やりづらい状況にある。それは(シリーズの)スケジュールの関係や、予選と決勝のインターバルに関するJAFの規則だったりで、それを守るとレースイベントを主催するのが難しい部分がある。ならばもう少し規則にとらわれない形でレースができれば、という思いがあった」
「出場できる車両についても、例えば古いアルミモノコックの車両は燃料タンクを車両規則に合わせないとJAF-F4は出られないが、燃料タンクを新品にするには特注品みたいな扱いでかなり費用がかかる。それがネックでJAF-F4に出られないという話がいっぱいあって、そういう車両で参加しやすいようにしたかった」
(インタビューはレース前日の練習走行終了後に実施)タイム的に経験者と未経験者の間でまだバラツキが大きい印象だが、中には16号車の石川選手のように経験者とそん色ないタイムを出しているドライバーもいた、その辺りはどう考える?
「今回半分くらいはレース初心者だ。一方石川選手は次からJAF-F4参戦予定のドライバーだが今回がフォーミュラでの初レースになる。(彼のような選手には)JAF-F4参戦の前の練習という意味で、このレースの意義があると思う。そういうエントラントがもっと出てくるといいな、という期待はある」
「後は逆に「JAF-F4参戦まではちょっと・・」という選手にも出てきてほしい。もう少しホビー色を強めたレースがあればな、と思っている方があれば、たぶんこのレースは受け入れやすい。これでも結構競技色が強いと思っていて、ホビー色がありつつも競技に比重をおいたイベントにしたいと考えている」
今回レースの形式が「スタンディングスタートから8周+SCラン後にローリングで再スタート後8周でフィニッシュして順位確定」という変則的なスタイルだが、この狙いは?
「普通とは違ったレースにしたかった。従来と同じようにやっていたのではつまらないし(途中でリセットというのは)スタートが2回見られるので面白いことになると思う」
「マシンをメンテナンスする側としては2回スタートがあるのは大変だが、(リセットされる事で)接近戦が見られて見ている側と(レースを)やっている側は面白いと思う」
今後の開催予定は?
「今シーズンはこの1戦のみ、まずお試しということで開催。レースオーガナイザーとの調整にもよるが、可能であれば来年は年間3戦ほど開催したいと思っている。今回10台集まらなかったら先は無さそうだったが、何とか二けた集まったので、よかった」
今回ハンマーレーシングからは4台出場しているが、マシンはレンタル?
「今回チームのマシンをレンタルしたのは22号車1台だけ。その他はドライバーが準備したもので、ウチがサポートしている」
来年に向けてスーパーFJからHIX-Formulaへ移行、といったケースも出てくるかもしれない?
「スーパーFJから比べればJAF-F4でも(ステップアップは)高いハードルで、憧れのように見ている人もいる。スーパーFJはハイレベルだが、JAF-F4はまたまったく違ってパワーがあって速いので、ステップアップ前にJAF-F4がどんなものか体験する為のレースにできるかもしれない」
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA