JAF-F4地方選手権シリーズ第7戦は9月5日(日)にツインリンクもてぎで12周の決勝が行われ、19号車・ハンマー伊澤(令和雪合戦ハンマーR☆ハヤテ)が総合とジェントルマンクラスのダブルウインを遂げた。
午前中の予選からドライコンディションが続くツインリンクもてぎは時折陽が差すがこの季節にしては気温、路面温度とも低めでレースには絶好のコンディション。
午後2時30分からコースオープンとなり15台のマシンがスリックタイヤでコースインした。各車ダミーグリッドに着くが、ポールポジションの47号車・徳升広平(フジタ薬局アポロ電工高山短大)がグリッドの手前で止まってしまう。駆動系からガラガラと異音が出ておりメカニックがマシンに取りつき異常個所を調べるも、ドライブシャフトが折れているということで何とスタートできない事態に。
ポールシッターの徳升がコースサイドに押し出されて空席のままでフォーメーションラップが開始され、2番グリッドのハンマー伊澤を先頭に残る14台がスタートラインに着くとレッドライトが消灯されてレース開始。
各車きれいにスタートしハンマー伊澤がホールショットを奪うと、その後方で予選5番手だった72号車・金井亮忠(チームNATS・正義・001)の蹴り出しがよく、1コーナーで4番手スタートの92号車・黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)のアウト側から仕掛けるが、ここは黒沼がインを守る。続く5コーナーの進入では2番手スタートの20号車・三井優介(ecobest☆ハンマーR疾風)を挟んで金井がイン、黒沼がアウトのスリーワイドになるが、金井がブレーキをロックさせて前に出られず。更にダウンヒルストレートで黒沼が三井の左サイドにマシンを振ると90度コーナーのアウト側から並びかけるがここもオーバーテイクできず。ルーキー同士のバトルはまずは三井が抑えた。
後方のバトルの間にトップのハンマー伊澤は0.981秒のギャップを稼ぎだして1周目のコントロールラインを通過。三井、黒沼、金井はそれそれ0.216秒、0.433秒と僅かな間隔で連なっている。その後方ではKAMIKAZEのマンシをレンタルして参戦の9号車・大竹将光(スーパーウインズ&ISP)が前を行く55号車・河野靖喜(CMS★RN2000)を仕留めて5位に浮上。2018年スーパーFJ日本一決定戦2位の実力を見せつける。
2周目も順位は変わらないものの、三井と黒沼の接近戦は変わらず0.276秒差。しかし三井がペースを上げて3周目、4周目とファステストラップを出して黒沼とのギャップを0.458秒に拡げる一方で、ハンマー伊澤に0.293秒差と迫る。
5周目もハンマー伊澤、三井、黒沼がほぼ等間隔で走るが、ここで金井が1分56秒671のファステストラップを出して黒沼に接近。4台によるトップ争いの様相を呈してくる。しかしここでハンマー伊澤が踏ん張りセクター1、セクター2とベストタイムで走り、三井以下を突き放しにかかり、6周目は1分56秒602のファステストラップで再び0.922秒までギャップを拡げる。三井対黒沼のマッチアップは、ここに金井が絡んできたことでやや間隔がひらいた。
ジェントルマンクラスの2番手は全体6位の河野、そしてHパターンクラスの首位は7位の86号車・川原悠生(ファーストガレージ&Sウインズ)。
8周目、三井と黒沼はたて続けにファステストラップを出してハンマー伊澤を追うがギャップは僅かしか縮まらない。
しかし9周目、それまでハンマーレーシングの1-2体勢を守り続けて来た三井が3コーナーでコースオフ、グラベルへ出て止まってしまう。コーナー進入手前からすでに姿勢が乱れていたので、何かのトラブルか?(後でサスペンションのトラブルと判明) チームメイトを失ったハンマー伊澤だが、2位黒沼に1.376秒のギャップを築き、更に11周目に本日のファステストラップ、1分56秒400を叩き出してさらに突き放す。
その後ハンマー伊澤を脅かす者はなく、そのままの順位でフィニッシュ。チーム1-2フィニッシュはならなかったものの、ツインリンクもてぎでの初優勝を完勝で飾った。
2位は黒沼、第2戦もてぎ以来の表彰台。そして3位は金井、4位に大竹、5位ジェントルマンクラス2位の河野、6位Hパターンミッションクラスの1位川原、という結果になった。
■決勝後のコメント
- 優勝 19号車・ハンマー伊澤(令和雪合戦ハンマーR☆ハヤテ)
- 「いつも課題のスタートはそこそこうまくいって、先頭で出られた。後ろにチームメイトの三井君がいてくれたので少し安心して走ることができたが、途中からかなり接近された。後で三井君に聞いてみたら『いけたら行ってました』と言われた(笑)。(20号車は)アップライトが破損していた。三井君がいなくなってしまってからは後ろをかなり気にしながら走ったが、少しだけど突き放すことができたので、よかった。本当は1-2フィニッシュしたかったが、それはまたの機会ということで」
- 2位 92号車・黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)
- 「(もてぎは相性がいい?)相性というより、菅生、岡山とトラブルが出ていて、今回それを一新して、クルマがとても調子よくて、また上位に戻って来られた。(菅生に比べて落ち着いたレースぶりに見えたが?)菅生ではクラッチにトラブルがあって、クラッチ切ってもマシンが進んでしまうトラブルが2レースとも出ていて、とっちらかってしまった。今回そこも直して貰って、安心してレースができた。今回はクルマに助けられたレースだった」
- 3位 72号車・金井亮忠(チームNATS・正義・001)
- 「今日はちょっと厳しいレースだった。予選はミッショントラブルがあったが、それは解消した。(このマシンが)夏あまり戦闘力が上がらないという問題があって、ずっと課題になっている。もっと細かい所を煮詰めていければもう少し戦えるかな、と思っている」
- DNS 47号車・徳升広平(フジタ薬局アポロ電工高山短大)
- 「(ドライブシャフトのトラブル?)ダミーグリッドに着こうとストレートを走っている時に、10番グリッドの辺りで壊れた。特に負荷をかけた意識はなくて、ちょっとブレーキの感触は確かめたが、それほど強いトルクはかかっていないと思う。運が悪かったが、次こういうトラブルが出ないようにしたい。めげずに頑張る」
- リタイヤ 20号車・三井優介(ecobest☆ハンマーR疾風)
- 「(いい感じで前を追い回していたが?)行けると思ったのだが、メインストレートでフロントのアライメントが、何か踏んだような感じになってハンドルを取られた。何だろうと思いながら1コーナーに向けてブレーキングしたら、右フロント(タイヤ)が浮いた状態になっていて、そこはなんとかしたが3コーナー進入のフルブレーキングでロックしてしまって、そのまま曲がりきれずにコースアウトした。原因としてはサスペンションアームのネジが折れて、それがホイールの内側に刺さってホイールが割れて、タイヤがパンクした状態になってしまったことだった。それまで調子がよくて2位は見えていて、後半伊澤さんと勝負できたらいいなと思っていたところで止まってしまったので悔しい」
JAF-F4地方選手権シリーズ、次の第8戦、第9戦は10月9日~10日にオートポリスで行われる。ランキング首位のハンマー伊澤(89P)と2位徳升(72P)の差は17ポイント。しかし10戦中8戦の有効ポイントで争われるため、ここまで全戦で得点している伊澤はここからポイントを積むのが大変になる。一方開幕戦をスキップして今回リタイヤだった徳升は残り3戦全て加算されるので予断を許さない状況だ。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA