SUPER GT

SGT:第8戦もてぎ決勝 ゴール目前でまさかの大どんでん返し!! 優勝とタイトルは#100レイブリックNSXのものに

最後の最後にまさかの大逆転。これがスーパーGTだ!

2020年オートバックス スーパーGT第8戦「たかのこのホテル富士GT300kmレース」の決勝が11月28日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、GT500クラスは#100山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)が逆転勝利でドライバーズチャンピオン、チームチャンピオンを獲得。GT300クラスは#52吉田広樹/川合孝汰組(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が今季2勝目を挙げ、ドライバーズ、チームの両チャンピオンを#56藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(KONDO RACING)が獲得した。(天候:晴れ コース:ドライ)

最終戦の決勝がスタートした GT500クラス優勝は山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT) GT500クラス決勝2位は平川亮/山下健太組(KeePer TOM\'S GR Supra) GT500クラス決勝3位は関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(au TOM\'S GR Supra) GT300クラス優勝は吉田広樹/川合孝汰組(埼玉トヨペットGB GR Supra GT) GT300クラス決勝2位は藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(リアライズ 日産自動車大学校GT-R) GT300クラス決勝3位は阪口良平/小高一斗組(ADVICS muta MC86) GT500クラスウイナーの山本尚貴/牧野任祐組(TEAM KUNIMITSU) GT500クラスの表彰式 GT300クラスウィナーの吉田広樹/川合孝汰組(埼玉トヨペット Green Brave) GT300クラスの表彰式 GT500クラスシリーズチャンピオンの山本尚貴/牧野任祐組(TEAM KUNIMITSU) GT500クラスシリーズ表彰式 GT300クラスシリーズチャンピオンの藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(KONDO RACING) GT300クラスシリーズ表彰式

9チーム16名がチャンピオン獲得の可能性を持って決勝日を迎えた2020シーズンの最終戦。ノーウェイトハンディキャップの戦いはスタートからゴールまで波乱が続く激しいものとなった。

決勝レースは午後1時にフォーメーションラップを開始。当初は2周のフォーメーションラップを行ってからレースをスタートさせる予定であったが、スタート時の気温8℃、路面温度は13℃という状況を考慮し、急遽もう1周が追加されることになる。これにより周回数は1周減算の65とされた。

スタート直後の1コーナーにトップで飛び込んだのはポールポジションの#37山下健太(KeePer TOM'S GR Supra)だったが、#39ヘイッキ・コバライネン(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)、#36サッシャ・フェネストラズ(au TOM'S GR Supra)らも離されずに37号車を追走する。

さらには6番手スタートの#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)も1周目のコカコーラコーナーで#38立川祐路(ZENT GR Supra)をパスして4位に浮上すると、トップ3台との差を一気に縮めてきた。

トップ4台は団子状態のままヘアピンを立ち上がり、300Rを並走状態で駆け抜けていく。そして迎えたダンロップコーナーの進入。大外から一気に3台を抜き去ってトップに浮上したのは#23クインタレッリだった。

しかし#37山下は23号車のテールに僅差で食らい付き、6周目の最終コーナーでインに並びかけると、そのままホームストレート上で抜き去ってトップを奪い返す。

23号車はその6周目に入ったあたりから次第にペースを落としており、11周目のコカコーラコーナーで#36 au TOM'S GR Supraにパスされると、14周目のGR SUPRAコーナーでは予選7番手から着実に順位を上げてきていた#100牧野任祐(RAYBRIG NSX-GT)にも抜かれ、その後もジリジリと順位を落としていった。

3位に浮上した#100牧野は20周目の最終コーナーで周回遅れに詰まった#36フェネストラズを一旦は抜いたものの、ホームストレートではスープラの車速の伸びにアドバンテージがあり、再び36号車が2位を奪い返す。それでも牧野は21周目のダンロップコーナーで再びフェネストラズのインに飛び込んで2位に浮上すると、規定周回数の1/3を消化した直後の22周終わりでピットイン、山本尚貴にステアリングを託す。

同じ周に#17 KEIHIN NSX-GT、#14 WAKO'S 4CR GR Supra、#23 MOTUL AUTECH GT-R、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTもピット作業を行なったが、この中で#14 WAKO'S 4CR GRが何とタイヤ無交換作戦を敢行、100号車の前でピットアウトすることに成功する。

一方、トップを快走していた#37山下は23周目にピットイン。後半を担当した平川亮は14号車の前でピットアウト。25周目のコカコーラコーナーでは一旦14号車の先行を許したものの、27周目のアドバンコーナーでインをついてトップを奪い返すと、そこから徐々に後続を引き離しにかかった。

ピットアウトで14号車の先行を許した#100山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)も30周目のGR SUPRAコーナーでクロスラインを撮って14号車を攻略。続くホームストレートで順位を挽回しようとした#14坪井翔(WAKO'S 4CR GR Supra)だったが、そのさらに後方から接近してきた#36関口雄飛(au TOM'S GR Supra)と31周目の1コーナーで接触してしまい、この間に100号車が再び2位に躍り出た。

この接触によりフロントボンネットにダメージを負った14号車の坪井は予定外のピットインを余儀なくされる。一旦はレースに復帰するも、ダメージはボンネットにとどまらず電装系にも及んでいたため、34周目にガレージに戻ってレースを終えてしまった。

一方、トップの#37平川亮(KeePer TOM'S GR Supra)は2位の#100山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)に対して33周終了時点で13秒728のリードを築き上げると、40周終了時点では16秒117までその差を広げ、ここまではまさに独走状態だった。

ところが46周め。それまで1分29〜31秒のペースで周回していた37号車のラップタイムが1分33秒415まで落ちる。47周目には1分31秒856までペースを戻したものの、その後は1分32〜33秒台後半のペースで周回を重ねることに。37号車はGT300車両をかわすたびに拾ってしまうタイヤカスの影響でペースダウンを余儀なくされていたのだ。

これに対し100号車は1分31秒台前半から1分32秒台前半のペースで追走。これにより両者の差はわずかづつ縮まっていき、53周目には10秒883差、58周目には4秒619差にまで近づいてきた。

すると#37平川は62周目に1分31秒862にペースアップ。この時点で2秒079差まで迫っていた#100山本を再び引き離し始める。

63周目には1分30秒852、64周目には1分30秒547を叩き出した平川は、山本に対して2秒717のリードを築いてファイナルラップを迎える。

ところが第3セクターに入ったところで37号車はガス欠症状に見舞われて突如ペースダウン。最終コーナーを立ち上がったところでスロー走行に陥った#37平川を#100山本は難なく抜き去り、今季初優勝をもぎ取るとともに、ドライバーズポイントでも#100山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)がトータル69ポイントを獲得、見事大逆転で2020シーズンのチャンピオンを獲得した。

クルマを降りた山本はテレビインタビューで「最後まで何があるかわからないのがレースですね。本当に最後まで諦めないでよかったです」と語った。まさにその最後まで諦めない心が引き寄せた優勝、そしてドライバーズタイトルだったといえよう。またチームメイトの牧野任祐にとっては待望のスーパーGT初優勝、初タイトルとなった。

#37平川亮/山下健太組(KeePer TOM'S GR Supra)はなんとか2位でコントロールラインまでは辿り着いたものの、そのままホームストレート上にストップしてしまった。クルマを降りた平川は悔しさを露わにした。

3位には#36関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(au TOM'S GR Supra)が入り、予選12番手から順位を上げてきた#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)が4位でフィニッシュした。

これにより今シーズンのドライバーズランキングは#100山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)が1位、#37平川亮(KeePer TOM'S GR Supra)が2位、そして#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)が3位となった。

GT300クラスも序盤から激しいトップ争いが展開された。

1周目をトップで戻ってきたのは予選2番手の#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)。2コーナー立ち上がりでがインからポールポジションの#52川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)を抜いてきた。

これに対し8周目の1コーナーで#61山内のインに飛び込んだ#52川合だったが、曲がりきれずに膨らんだところを山内に刺されてこのアタックは失敗に終わる。しかし9周め、同じく1コーナーで山内に挑んだ川合はうまく立ち上がりをまとめて山内を押さえ込み、トップを奪い返すことに成功すると、そのままリードを広げていく。

この2台を追っていたのは予選3番手の#6阪口良平(ADVICS muta MC86)。さらにその後方ではチャンピオンを争う#11安田裕信(GAINER TANAX GT-R)、#56藤波清斗(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)、#65菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)らが激しいドッグファイトを展開していた。

17周目の1コーナーで#56藤波が#11安田をアウトから抜いて4位に浮上すると、#65菅波も最終コーナーで#11安田を捉えて5位に上がった。

さらに65号車は19周目に行ったピットストップで得意のタイヤ無交換作戦を敢行、24周目にタイヤ交換を行った56号車を抜いて4位に浮上した。

トップの#52埼玉トヨペットGB GR Supra GTは28周目にピットイン。こちらもタイヤ無交換で吉田広樹をコースへ送り出した。2位の#61SUBARU BRZ R&D SPORTは29周目にピットイン。こちらもタイヤ4本交換を行った。

この結果、#52吉田が依然としてトップに。2位#65蒲生尚弥(LEON PYRAMID AMG)とは38周終了時点で35.916もの大差をつけた。#6小高一斗(ADVICS muta MC86)が3位につけ、#56ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)は4位という状況になった。

このままではドライバーズポイントで蒲生/菅波組がトップに立つことになる。#56オリベイラはなんとしてももう一つ順位を上げる必要があった。周回を重ねるごとに#6小高との差を縮めてきた#56オリベイラは52周目の13コーナーで遂に小高を捉えて3位に浮上、54周目の1コーナーでは#65蒲生をアウトから抜いて2位を奪い取り、タイトル獲得を確実なものとした。

結局#52吉田広樹/川合孝汰組(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)はその後も独走状態のままフィニッシュ。今季2勝目を挙げたが、藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)が2位でフィニッシュしたためにドライバーズチャンピオンは藤波/オリべイラ組が獲得、吉田/川合組はランキング2位でシーズンを終えた。

スーパーGTの2021年シーズンは4月10-11日に岡山国際サーキットで開幕する予定だ。

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum


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