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SGT:第7戦もてぎ決勝 #8福住涙の初優勝! ホンダNSX-GTがトップ5度苦戦の快挙を達成

‍2020オートバックス スーパーGT第7戦「藤巻グループもてぎGT300kmレース」の決勝が11月8日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、GT500クラスは今季初優勝の#8野尻智紀/福住仁嶺組(ARTA NSX-GT)をはじめ、ホンダNSX-GT全5台が上位を独占するという快挙を成し遂げた。またGT300クラスは#56藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)が第5戦富士に続いて今季2勝目を挙げ、ドライバーズランキングでもトップに躍り出た。 (天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選9,300人/決勝15,600人)

GT500クラスのスタートシーン GT300クラスのスタートシーン GT500クラス優勝は野尻智紀/福住仁嶺組(ARTA NSX-GT) GT500クラス決勝2位は伊沢拓也/大津弘樹組(Modulo NSX-GT) GT500クラス決勝3位は山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT) GT300クラス優勝は藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(リアライズ 日産自動車大学校GT-R) GT300クラス決勝2位は谷口信輝/片岡龍也組(グッドスマイル初音ミクAMG) GT300クラス決勝3位は青木孝行/大滝拓也組(RUNUP RIVAUX GT-R)

第7戦決勝は午後1時にフォーメーションラップを開始。気温22℃と例年にない暖かい気候の中、63周、300kmの戦いがスタートした。

ポールポジションからスタートした#64大津弘樹(Modulo NSX-GT)は序盤から後続を突き放しにかかり、4周目には2位の野尻智紀(ARTA NSX-GT)とのギャップを4.635秒に広げたが、そこまででタイヤを使い切ったのか次第にペースを落とし、5周目に3.277、6周目に2.938、7周目に2.414と次第に#8 ARTA NSX-GTの接近を許してしまい、9周目にはテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込まれてしまった。

そして10周目。#8野尻は1コーナーで#64大津のインをついてトップに浮上すると、そこから一気に後続を突き放し、14周終了時点で9.055秒、20周終了時点では10.304秒ものリードを築き上げた。

苦しい走りの続く#64大津はその後#100牧野任祐(RAYBRIG NSX-GT)にも追い上げられ、12周目の90度コーナーでインをつかれて3位に後退。その後は#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)の追撃を受けることになる。

しかし#23クインタレッリは17周目に周回遅れに詰まったところを#38立川祐路(ZENT GR Supra)に突かれ、18周めの1コーナー手前で5位に後退してしまった。

これで4位に浮上した#38立川はすぐさま#64大津との差を縮めにかかり、21周目の90度コーナーで64号車にアウトから並びかけて3位に浮上した。

しかしその直後、スタート前のウォームアップ走行からミッショントラブルに悩まされていた#5平木湧也(マッハ車検GTNET MC86マッハ号)がS字コーナーでストップ。これを見てトップの8号車と64号車は直ちにピットに飛び込んだ。

停止した5号車に対処するために23周目からセーフティーカーが導入されることになり、ピットレーンが27周目まで閉鎖されてしまったが、#8福住仁嶺と#64伊沢拓也はレーンが閉鎖される前にピットアウトしていった。これにより8号車のリードは盤石なものとなり、64号車には挽回のチャンスが生まれることになった。

この時点での順位はトップが#100 RAYBRIG NSX-GT。2位が#38 ZENT GR Supra。以下#23 MOTUL AUTECH GT-R、#17 KEIHIN NSX-GT、#37 KeePer TOM'S GR Supra、#36 au TOM'S GR Supraと続いて、すでにピット作業を済ませた#8 ARTA NSX-GTは10位、#64 Modulo NSX-GTは11位で隊列に加わった。

セーフティーカーは28周目にピットイン、29周目からレースが再開されると、即座に#38立川、#23クインタレッリ、#17バゲット、#37山下らが28周目に相次いでピットイン。#100牧野は29周目に山本尚貴に交代した。

これにより#8 ARTA NSX-GTは再びトップに浮上、#64 Modulo NSX-GTも2位に繰り上がった。3位の#100 RAYBRIG NSX-GTはこの時点で1分以上後方を走っていた。

その後も#8 ARTA NSX-GTは福住の攻めの走りで後続との差を広げ、35周目に5.469秒、45周目には17.420秒と、2位の#64伊沢拓也(Modulo NSX-GT)との差を着実に広げていき、最後は46秒238もの大差をつけて63周を走り切り、待ちに待った今季初優勝をものにした。福住にとってはこれがGT500初優勝。野尻にとっては昨年の第1戦岡山以来の通算5勝目となった。

#64伊沢も最後まで2位を守り切り、#64 Modulo NSX-GTは今季初表彰台を獲得。3位には#100 RAYBRIG NSX-GTが入り、2007年の第5戦以来13年ぶりにホンダNSXが表彰台を独占した。それだけでなく4位には#16武藤英紀/笹原右京組(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)が入り、#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)も5位と、ホンダ勢は参加全5台でトップ5を独占するというかつてない快挙を成し遂げた。

また#37 KeePer TOM'S GR Supraが6位、#23 MOTUL AUTECH GT-Rも7位に入賞してポイントを獲得したため、ドライバーズランキングでは#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)が51ポイントで1位に浮上、#37 平川亮(KeePer TOM'S GR Supra)も同じく51ポイントで2位につけ、松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)が49ポイントで3位、山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)もまた同じ49ポイントで4位につけるという事態に。今回優勝の#8野尻智紀/福住仁嶺組(ARTA NSX-GT)は48ポイントでランキング5位に浮上したほか、上位9チーム16名にタイトル獲得の可能性があるという大混戦のまま、最終戦富士大会を迎えることとなった。

GT300クラスは、ポールポジションからスタートした#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)が序盤トップを快走していたものの、ピット作業前に導入されたセーフティーカーの影響で順位を落とすことに。

代わってレース中盤からトップに立ったのは今季苦戦の続いていた#4谷口信輝/片岡龍也組(グッドスマイル初音ミクAMG)。

予選10番手からスタートした4号車は19周目と早めのピット作業でタイヤ4本を交換して谷口を送り出し、見事ジャンプアップに成功したが、予選7番手スタートの56号車もピットレーンが閉鎖となる前の21周目にピットイン、藤波からオリベイラに後退して#4谷口のすぐ後ろでコースに復帰していた。

レースが再開されると#56オリベイラは30周目の90度コーナーで#4谷口のインに飛び込む。抜かれまいと踏ん張る#4谷口だったが、#56オリベイラは4号車をアウト側に押しやりながら最終コーナーを立ち上がり、1コーナー手前でトップに躍り出た。

さらにその後方では#52吉田広樹(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)、#61井口卓人(R&D SPORT)、#11平中克幸(GAINER TANAX GT-R)、#360青木孝行(RUNUP RIVAUX GT-R)らが抜きつ抜かれつのバトルを展開していたが、55周目の5コーナー進入で#11平中が#61井口のリヤバンパーにヒット、堪らず61号車はスピンアウトしてしまう。このアクシデントにより、11号車に対してはレース後に40秒加算のペナルティが課せられることとなった。

この隙に#360青木は2台を抜いて4位に浮上すると、58周目の3コーナーでは3位の#52吉田をも攻略して3位に浮上し、#360青木孝行/大滝拓也組(RUNUP RIVAUX GT-R)が今季初の表彰台を獲得した。

トップに立った#56オリベイラはその後もタイヤを労りながら#4谷口の追撃を退け、第5戦富士に続いて今季2勝目を挙げた。

これによりドライバーズランキングでは#56藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)が56ポイントとなり、このレースを19位ノーポイントで終えた#65蒲生尚弥/菅波冬悟組(LEON PYRAMID AMG)の51ポイントを抜いてトップに浮上。ペナルティの影響で9位に終わった#11平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)は43ポイントと、やや厳しい状況となった。

GT500クラスで優勝した野尻智紀/福住仁嶺組(ARTA) GT300クラスで優勝した藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組(KONDO RACING) GT500クラスの表彰式 GT300クラスの表彰式

次戦の舞台は今季4度目の富士スピードウェイ。11月29日の決勝はノーウェイトハンデのガチンコ勝負で2020シーズンのチャンピオンが決まる。

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI


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