全日本F3000選手権第6戦 富士 決勝 取材メモから 優勝 20 アンドリュー・ギルバートスコット(予選:1位) 予選の1回目は、燃料系のトラブルでまったく走れなかったが、 2回目はそんなハンデも感じさせずに、終始1,2番手のタイム。 そして、ラスト2分にトップタイムを出してポールに。 決勝は一度もトップを譲ることもなく、まったく危なげもなかった。 「スタートは、とても上手くいった。いいレースができたよ。 ミカがAコーナーでオイルを播いたために、そこが滑りやすかったのが ちょっと恐かったくらい。 勝てて本当に嬉しいし、いいレースだった。いいマシンを作ってくれた チームのみんなに感謝したい」 「いいレースだった」が何度も出てくるほど、アンドリューにとっては 絶好調なレースだったようだ。英国紳士らしい、はしゃぐでもない 、さめているでもない、さわやかな笑顔が印象的だった。 2位 9 マウロ・マルティニ(予選:4位) 予選1回目ではエンジンの調子が悪く、 2回目には急遽載せ替えたエンジンで挑み4位。 レースは2列目からスタートダッシュを決めて、 服部、チーバーを征して、7周目には2位に上がるものの トップのアンドリューを脅かすことは、まったくない状態だった。 「予選2回目の載せ替えたエンジンは、前の以上にフィーリングが 良くなかった。それに、タイヤを温めてる間に、コースが混んできて アタックのタイミングが悪かった。でも、富士で2列目は悪くないから 決勝では行けると思っていた。 で、本当にチームのみんなが頑張って、マシンを一晩でいい状態にしてくれた。 午前のプラクティスでトップタイムが出せたし、自信が戻ったんだ。 スタートも良かったし、序盤でうまく前に出れた。 マシンも良かったけど、僕以上にアンドリューは良かった。 決して悪いレースではなかった。彼が良かったんだよ」 表情はちょっと堅め。言葉と裏腹に明らかに2位では満足でない という印象を受けた。 記者からの「HONDAのエンジンはどう?」という問いには、 明らかに言葉を濁していた。 「鈴鹿での勝算は?」と聞かれると、 服部に向かって「エンジンを取り替えようか」とポロッと一言。 3位 24服部 尚貴(予選:2位) 予選ではアンダーステアに悩まされた。そのため1回目はセッティング出しに 終始。2回目の終盤に果敢にアタック。終了4分前にトップに立ったが、 直後の1コーナーでスピン。結局、アンドリューに逆転を許した。 決勝の朝のフリーでもアンダーに悩み、決勝直前にデフを一気に 弱くするというギャンブルを。結局、これが当たった格好に。 しかし、ラップタイムは安定しおらず、苦労のドライブがうかがえた。 記者会見で、2人の外国人の英語でのインタビューに続いての開口一番、 「あー、とでぃ、いず、なんたらかんたら・・・」 とひらがな英語を発し、ギャグで会場の笑いをしっかり取る役者ぶり。 「アンダーが強くて、マシンのセッティングに悩みました。 一発の速さはあるんですけど、バランスが良くないんです。 テストでも予選でも、全然ダメでもう諦めてたんです。 で、決勝前にデフを替えるという賭けをしました。 ぶっつけ本番のわりには、上手くいったわけです。 まあ、でも本当に上手くいったほどではなかったんですが」 スタート後の1コーナーでアウトから来た 黒澤を押し出す格好になったことに関しての質問には 「スタートで琢弥さんが来てるのは、分かってたんですけど、 インからだとばっかり思ってたんで、右のミラーばっか見てたんです。 『あれ来ないな?』と思ったら左(外側)にいた(笑)。 後であやまんなきゃいけないかなぁ」 鈴鹿での勝算はと聞かれると 「隣の2人が休むことです」ときっぱり 番外 5位 1 星野一義(予選:6位) チャンプ星野にとっては何と今季初入賞。 しかし、この2ポイントは本当に価値あるモノだろう。 21日の筑波でのツーリングカーでのクラッシュは、骨折こそ免れたものの 決してレースの出来る状態とはいえなかったようだ。 特にF3000の強烈なGは、星野のあばら骨、脇腹に痛烈な痛みを プレゼントしているようだ。チーム関係者は、 「(レースに)出なくても誰も文句は言わない」と言う。 しかし、星野は記者達の体に対する質問を一切拒否。 「マシンは、今期最高のできだよ。足回りを93タイプから92のにしたら良くなった。 からだ? 大丈夫。前の美祢の時よりいいさ」の一点張り。 レース後、 「マシンは本当に良かった。4位は間違いなかったはず。なのに5位なのは ドライバーがいけないんだ。マシンは煮詰まってきたよ」と星野。 「脇腹にきつく締めた包帯で、レース途中から息が苦しくなったので、 ストレートではヘルメットのバイザー上げて、少しでも呼吸を楽にしよう としていたらしい」と関係者は語った。 このコメントは、トップ3記者会見の会話を中心に、 チームリリースと古屋が拾った話を加え、再編したものです。 9月4日 富士スピードウェイにて取材 古屋 知幸 = MGG01235 =