Japanese F3

全日本F3選手権 レースレポート

●レース名: 1998年全日本F3選手権第3戦MINE
●サーキット:セントラルパークMINEサーキット/3.3308km×28Laps=93.26km
●開催日:  5月16日~17日
●天候:   16日(予選日)/雨    観客1万2300人
       17日(決勝日)/晴れ   観客4万4700人

#64 松田次生選手、課題を克服し6位入賞。2戦連続でポイント獲得に成功


 SRS-F(鈴鹿レーシングスクール)のスカラシップを受賞、中嶋悟率いる「N
AKAJIMA HONDA」のマネージメントによって、本年度の全日本F3選手
権に参戦することとなった松田次生選手(18歳)、3月21日に行われた鈴鹿サー
キットでの開幕戦、松田選手は4輪初レースながらも5位に入賞するなど健闘を見せ
ており、このセントラルパークMINEサーキットでの第3戦でもポイント獲得を狙
い、チームはレースウィークに備えて5月7~8日と2日間のテスト走行を実施。2
日間ともに午前が雨で午後に晴れるという難しいコンディションとはなったが、初
コースとなるMINEのコースレイアウトの習熟に集中した。
 そして迎えたレースウィークでは、決勝に向けた大事な練習走行となる木曜日、金
曜日と、テスト時のデータを基に順調にセットアップを進めた松田選手は、金曜日の
午後にニュータイヤを装着。ライバルとなる各選手もニュータイヤでセッティングを
煮詰める中、開幕戦の覇者であるチームトムスのピーター・ダンブレック選手に0.
2秒及ばずトップは譲ったものの、1分22秒831という好タイムをマークして2
番手に着けた。ちなみにこの松田選手のタイムは、これまでのMINEのF3コース
レコードを0.5秒も上まわるもので、翌日に控えた予選、決勝に向けチーム、ドラ
イバーともに好感触を掴んで土曜日を迎えることとなった。
 ところが翌日はあいにくの雨。午前中に予定されていたF3の公式練習の段階では、
かなりの強い雨が降っており、路面はヘビーウエットとなったためにチームは公式練
習の出走を見合わせ、午後の予選に臨むこととなった。
 そして始まった公式予選。その頃には雨は止んでいたものの、路面は相変わらず濡
れており、各車レインタイヤでのアタックとなった。松田選手は、公式練習をパスし
たこともあって真っ先にコースイン。序盤からタイミングモニターの上位に着けてい
たが、ある程度のタイムを出したところでいったんピットインし、タイヤを交換して
再度アタックへ向かった。この時履いたタイヤはニュータイヤではなく、中古のレイ
ンタイヤ。テスト走行の時に同様のコンディションの際、速かったというデータに基
づき、あえて溝のすり減った〝浅溝〟をチョイスした。予選も残り8分という状況な
がら、松田選手は早速タイムを縮めて1分40秒241で6番手に着けると、予選終
了間際には1分39秒596へとさらにタイムアップを果たす。しかし、どんどん乾
いて好転していく路面コンディションの中で他のドライバーもタイムアップしたため、
公式予選を6位で終えることとなった。ポールポジションは筑波に続いて好調の#2
加藤寛規選手(DALLARA F398/無限HONDA)が獲得、予選2位に#
1ダンブレック選手(DALLARA F398/TOYOTA)、予選3位に#55
金石年弘選手(DALLARA F398/無限HONDA)、予選4位は#5高木
真一選手(DALLARA F397/TOYOTA)、予選5位は#9谷川達也選手
(DALLARA F397/TOYOTA)で、これに#64松田選手が続く形とな
った。
 翌日の決勝レース当日は一転して快晴に恵まれた。前日がウエットでの走行であっ
たため急遽決勝前に設けられた10分間のフリー走行では、金曜日に好タイムをマー
クしたセッティングを基に、当日の路面コンディションへの対応を図り決勝に備えた
松田選手だったが、今回、チームからは『集団の中でレースを戦うこと』という課題
が与えられていた。開幕戦ではエンジンストールから終盤見事な追い上げで5位に入
賞して見せた松田選手だが、そこで追い上げるレースができることは証明済みという
ことで、今度は最初から最後まで集団と集中力を切らさずにレースを戦ってフィニッ
シュしようという、新たなテーマが与えられたわけだ。
 迎えた決勝は午前11時33分にスタート。今回は無事にスタートを切った#64松
田選手だったが、1コーナーでイン側のラインを通ったためにアウト側の大外から回
ってきた#7舘信吾選手(DALLARA F398/TOYOTA)、#4リスト・
ヴィルタネン選手(DALLARA F397/TOYOTA)の2台に2コーナー
でかわされ、1周目は8番手でホームストレートに戻ってきた。3周目に先行してい
た#9谷川選手のリタイアで7番手に上がっていた#64松田選手は、#5高木選手、#7舘
選手、#4ヴィルタネン選手らと4~5台が数珠つなぎとなった集団の中でバトルを展
開。10周目には#4ヴィルタネン選手をかわしてポイント圏内である6位にポジシ
ョンアップを果たす。しかし、今回の舞台、ストップ&ゴーのテクニカルコースであ
るMINEは、抜きどころのないコースとしても有名。しかも前を行くのはここを
ホームコースとしている#5高木選手ということで、#64松田選手になかなかチャンス
は訪れず4位グループのまま走行を続けることに。結局さらなる上位進出はならず、
#64松田選手は28周を走りきり6位でフィニッシュ。激戦の続く全日本F3選手権シ
リーズにおいて、開幕戦の鈴鹿に続いて2戦連続ポイントとなる1ポイントを獲得し
た。
 課題であった『集団の中での戦い』を無事にクリアした松田選手。順位的には6位
で開幕戦の5位には及ばなかったものの、レース中のベストラップ1分25秒571
は優勝した#1ダンブレック選手に次ぐ2位の素晴らしいタイムだった。集団の中で
の戦いは、とかく自分のペースで走れずに、前車のペースに巻き込まれてしまうケー
スが少なくはないが、初めての集団戦であったことを考え合わせれば、松田選手のベ
ストラップは非常に高く評価されるものだった。次戦はわずか2週間後の5月31日
の富士スピードウェイ。ここでは例年、スリップストリームを使った集団でのバトル
が毎戦のように展開されている超高速コース。松田選手にとっては今回の課題をクリ
アしたことによって、次戦に向けて何事にも替えがたい自信がついたことだろう。
 なお、レースはポールポジションから#2加藤選手が好スタートを決めたものの、#
1ダンブレック選手がこれをかわして優勝。#2加藤選手は2位に。3位には#7舘選
手という結果となった。


●チーム総監督 中嶋悟のコメント
「レースウィーク中、気負わずに順調にメニューをこなし、少しずつ結果を出してい
く姿勢は評価できます。次戦以降の更なる活躍を期待したくなります。」

※次戦は、5月30日~31日富士スピードウェイで開催されます。


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