3位表彰台に上ったPETRONAS TOM'S SC430 36号車の
中嶋一貴(左)とジェームス・ロシター(右)
SUPER GT第5戦「第42回 インターナショナル・ポッカサッポロ1000km」が8月17日(土)、18日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
シリーズ唯一かつ最長の1000kmレースとして行われる伝統の「鈴鹿1000km」。真夏の酷暑の中、約6時間という長時間にわたって、文字通りの熱戦が繰り広げられた。
暑さとレース距離の長さによるタイヤ、ブレーキ等を含めた車両と、ドライバーへの負担も大きいレースだが、ポイントも通常のレースよりも多く与えられることもあり(5~1ポイントのボーナスポイント)、シリーズのチャンピオンシップ争いにも重要な一戦となった。
また、レース予選日前日の8月16日(金)には、来季2014年からの新レギュレーションに沿って開発中の、LEXUS LF-CCをベースとした新型レース車両が発表され、注目を集めた。
◆予選◆
17日(土)は好天に恵まれ、予選日ながら多くのモータースポーツファンが集まった。気温は朝から30度を超え、路面温度は50度に達する猛烈な暑さの中で、午後2時より予選Q1がスタート。GT500はQ2へ進出出来る上位8台の座を巡りタイムアタックを繰り広げた。
15分間のセッションの前半は各車動きがなく、残り7分ほどになって各車コースイン。終盤、どんどんタイムが塗り替えられ、めまぐるしく順位が入れ替わる中、68kgと重いウェイトハンデを積むDENSO KOBELCO SC430 39号車は最後に逆転を許し、惜しくも10番手で敗退。WedsSport ADVAN SC430 19号車も12番手でQ2進出はならなかった。
一方で、国本雄資がQ1を担当したENEOS SUSTINA SC430 6号車が、素晴らしい走りを見せ2番手。平手晃平のZENT CERUMO SC430 38号車が3番手、PETRONAS TOM'S SC430 36号車、KeePer TOM'S SC430 37号車のトムス勢が5,6番手でQ2進出を決めた。
12分間のセッションで争われた予選Q2でも、序盤コースに出る車両はなく、3分ほどが過ぎてから徐々にコースイン。中嶋一貴がアタックを担当した36号車がLEXUS SC430勢最上位となる3番手。立川祐路の38号車が4番手、大嶋和也の6号車が5番手で続き、LEXUS SC430は3,4,5番手グリッドを確保。アンドレア・カルダレッリの37号車は7番手となった。
GT300クラスでは、Panasonic apr PRIUS GT 31号車が午前中の公式練習走行でトラブルに見舞われたために、予選でのセッティングを詰め切れず、19番手からのスタートとなった。
◆決勝◆
18日(日)も予選日同様の暑さの中で、午後12時30分に、173周、1000kmという長丁場で争われる決勝レースのスタートが切られた。
上位は大きな波乱もなく、順当なスタートを切ったが、3番手グリッドの36号車を駆る中嶋一貴が1周目から前走車を攻め、シケインでこれをパスし2位に浮上。食い下がるライバルと激しい2位争いを展開し、その後方に38号車、6号車が続く序盤戦となった。
38号車の平手晃平も果敢な走りで28周目に3位に浮上。LEXUS SC430は2位、3位で30周目過ぎから始まったピット作業を迎え、36号車はジェームス・ロシターへ、38号車は立川祐路へと交代。なおも首位を追った。
まもなく2回目のピット作業が始まるかというタイミングの67周目に、バックストレートでタイヤバーストに見舞われた車両から出火。散らばった車体の破片と、撒かれたオイルの処理のためにセーフティカーが導入された。
予定のピット作業タイミングが近かったこともあり、燃料の厳しかった38号車を含む数台がセーフティカー導入後まもなくピットへ。これがピットロードオープン前だったために、ピットでの90秒停止ペナルティを科されることとなり、ピット出口でもタイムをロスした38号車は、2周遅れの最後尾まで順位を落とすこととなってしまった。
セーフティカー導入のタイミングとその後のピット作業により順位が大きく入れ替わり、再スタート後、該当車両が全車ペナルティを終えた時点で、19号車がLEXUS SC430勢の最上位となる4位に浮上。36号車と37号車が6位を争い、これに6号車、39号車が続いてレースは折り返しを迎えた。
101周目、序盤接触やトラブルなどで予期せぬピットを強いられ、一度は最後尾に落ちながら追い上げを見せた、6号車の大嶋和也が37号車をパス。7位へと順位を上げたが、その直後のピットイン時に駆動系のトラブルが発覚し、6号車は無念のリタイア。
全車が3度目のピット作業を終えた後、19号車を先頭に、36号車、37号車、39号車と4台のLEXUS SC430がトップ3を追う形となり、19号車の荒聖治は3位の車両に追い着いたが、132周目にGT300車両を避けようとしてコースアウト。36号車と37号車がこれをかわして4位、5位へと浮上した。
140周目から、最後のピットのために上位勢が次々にピットイン。ここで、前を行くカルソニックIMPUL GT-R 12号車と僅差の3位争いを繰り広げていた36号車は、12号車と同時にピットへと向かったが、中嶋一貴へとドライバー交代したピット作業で、エンジンがかからずタイムロス。3位の12号車とは10秒近い大差がついてしまった。
しかし諦めない中嶋一貴は、日が傾き、気温が下がってきた終盤戦、残り10周を切ったところで猛スパートを開始。その差をじりじりと詰めていき、残り5周でその差はついに1秒以内に。
中嶋一貴の36号車はテール・トゥ・ノーズでの激しいプッシュでプレッシャーを与え続け、残り2周となったスプーンコーナーで、12号車がコースオフ。1000kmもの長いレースの、チェッカーを目前にしてのバトルの末に、36号車は3位に浮上した。
その後12号車を引き離した36号車は、夕闇の迫る中で3位でのチェッカーを受け、今季2度目となる表彰台を獲得。37号車が5位、19号車が6位、終盤7位走行中にGT300車両と接触し、コースオフを喫した39号車は9位でフィニッシュした。 GT300クラスでは、19番手スタートの31号車プリウスが、長いレースならではのトラブルに見舞われながらも、15位完走を果たした。
2日間で6万人以上のモータースポーツファンが集まった真夏の祭典「鈴鹿1000km」は、熱狂の表彰式を経て、長く、熱いレースを恒例の花火で締めくくった。
- PETRONAS TOM'S SC430 36号車 ドライバー 中嶋一貴:
- 今日はクルマの調子も良く、タイヤマネージメントも上手く行き、問題なくレースを戦えた。セーフティカーが入ったタイミングでポジションを落としてしまった状況については、よく把握出来なかったが、その後、なかなか前に出られず、挽回にとても苦労した。毎ラップ予選アタックのつもりで追い上げ、ラストスティントまでになんとか4位まで順位を上げられた。最後のピットストップでは、一瞬エンジンがかからず驚く場面もあったが、最終的にライバル車のミスもあり、3位にポジションアップ出来た。少しフラストレーションのたまるレースだったが、思いがけず表彰台を獲得出来て良かった。
- PETRONAS TOM'S SC430 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
- 最初のスティントは、(中嶋)一貴も自分もとても好調だった。ただセーフティカーが入った時に、自分のポジションが全くわからなくなってしまった。コースに戻ってからは、一貴と同じように予選アタックのような気持ちでハードにプッシュし、とても楽しいレースだった。ライバル車のミスに助けられたところもあるが、表彰台を獲得することが出来た。一貴のレースマネージメントは、素晴らしかった。