SPEEDMASTER SKILLSPEED INFORMATION TESTING REPORT 15th APRIL 1999 TSUKUBA CIRCUIT 早くも予選を想定したアタックを遂行。 ますは幸先よくトップタイムをマーク。 快晴に恵まれた筑波サーキット(茨城県)において、全日本F3選手権第2 戦に向けての合同テストが行なわれた。開幕戦がリズムに乗り切れないまま終 わってしまっただけに、このレースではなんとしてもシリーズの出遅れを取り 戻しておきたいところだ。典型的なミッキーマウス・サーキットであるツイス ティな筑波サーキットにおいて予選順位は決勝結果に大きく影響するため、各 チームとも本日の木曜日のセッションから予選を想定したアタックを繰り広げ た。 1回目の走行は午後12時からとなったが、実は開幕戦で新しいシャシーが デリバリーされた時点からギヤボックスにクラックが入っていたことが発覚し ていた。時間的な問題から、それを交換することができずに開幕戦を戦ったわ けだが、今回の約1ヶ月のインターバルの間に新しいギヤボックスに交換し た。つまりリヤセクションをすべて組み直したと同じであるため、この1回目 の走行は新しいギヤボックスとリヤセクションを中心としたマシンの確認が主 なメニューとなった。 ドライバーの伊藤大輔は、アタックしたい気持ちを抑えて慎重にラップを重 ねた。数回のピットイン/アウトを含めながら、伊藤は41周もの距離を走り マシンの熟成に集中した。タイムは52秒861とトップの金石選手からコン マ9秒離されていたが、使用したタイヤがマシンチェック用のオールドタイヤ だったことを考えると気落ちするほどの差ではなく、むしろ、充分ではないに しろ射程距離内にトップは見えているといえた。 午後の走行は3時からの1時間。このセッションはまるで本番の予選のよう な展開となった。各チームとも積極的にニュータイヤを投入し、タイム争いは ますますヒートアップした。我々としてはまわりのペースに飲まれることなく マシンの熟成に徹していたが、そのセットアップ・メニューが予想していたよ りも順調に進んだこともあって、ラスト15分というところでニュータイヤで アタックしてみることになった。また、開幕戦のレースウイークでは路面コン ディションや雨のおかげでとうとうニュータイヤでアタックすることなく終わ り、伊藤大輔にとっては欲求不満がたまっていたところだった。チームとして は今年もタイヤをけちっていると思われるのもシャクだし、伊藤に欲求不満の まま帰らせるのも夜の素行において管理する側にとってはやや心配だったの で、ここは景気づけの意味を含めて一発アタックさせてみようと考えたのが本 当のところ、でもある。それは半分冗談として、新しいタイヤを履いた結果、 それまでのマシンバランスが崩れてしまうことが多々あることや、自分たちが 周囲と同じ条件で実際にどのレベルにいるかを確認しておく必要があったの だ。 今年初めてのニュータイヤを履いての伊藤大輔は、まるで水を得た魚のよう な走りを見せた。狭いコースで渋滞にはまらないように間合いをはかりながら のアタックで、51秒369というタイムをマーク、僅差ながらトップで2回 目のセッションを終えた。筑波特有の接近戦が予想されるがこのままのペース を保ってこの週末を終えたいものだ。 まずは仕上がり良好、と報告しておこう。 ■テスト結果/1回目(トップ10) 1:金石 年弘 51秒943 F399/M DOME CO LTD 2:谷川 達也 52秒208 F399/T PAL SPORT 3:D・マニング 52秒268 F399/T TOM'S 4:S・フィリップ 52秒552 F399/T INGING 5:黒澤 治樹 52秒620 F399/M LIAN RACING TEAM 6:M・メディアーニ 52秒682 F399/MI HKS CO LTD 7:R・ビルタネン 52秒720 F399/T TEAM 5 ZIGEN 8:五味 康隆 52秒803 F399/T TEAM TMS 9:富澤 勝 52秒839 F397/T RACINGTEAM MAEJIMA 10:伊藤 大輔 52秒861 F399/M SPEEDMASTER SKILLSPEED ■テスト結果/2回目(トップ10) 1:伊藤 大輔 51秒369 F399/M SPEEDMASTER SKILLSPEED 2:金石 年弘 51秒406 F399/M DOME CO LTD 3:松田 次生 51秒448 F399/M NAKAJIMA HONDA 4:D・マニング 51秒462 F399/T TOM'S 5:W・エブラヒム 51秒713 F399/M TODA RACING 6:M・メディアーニ 51秒882 F399/MI HKS CO LTD 7:谷川 達也 51秒900 F399/T PAL SPORT 8:S・フィリップ 51秒908 F399/T INGING 9:黒澤 治樹 51秒914 F399/M LIAN RACING TEAM 10:R・ビルタネン 52秒017 F399/T TEAM 5 ZIGEN 伊藤大輔: 「マシンの仕上がりはすごくいい。ユーズドでもニューでもタイヤの状況変化 によるマシンのフィーリングは変わらなかった。それにしても久しぶりのニュ ータイヤでのアタックで、気持ち良かった。タイム差はなくて誰がトップをと ってもおかしくない状況ですけど、やはりトップは気持ちいい。このまま日曜 日までこのポジションをキープしていきたい」 百田義弘チーム監督: 「勝負の世界においては仕方がないのかもしれませんが、ニュータイヤをどん どん投入する今年の傾向は個人的にはいいとは思っていません。ニュータイヤ を履けばタイムが自然に上がるのは当然、それに若いドライバーが甘えてしま い、本来のセッティングという大事なことを忘れてしまいがちになってしまう からです。今回も、ニュータイヤの投入は明日にしようと考えていたのです が、伊藤に自信をつけさせる意味でも履いておこうと考えアタックしてみまし た。なんとかトップタイムを取れましたが、差はないに等しいので少しも楽観 できない状況です」 深尾栄一チームマネージャー: 「予選順位が他のサーキットと比べると大きく結果を左右するので、今日から 予選を想定したアタックをできたのは結果としていい方向にいくと思っていま す。相変わらずタイトな戦いになっていますが、気を緩めずに週末を乗り切り たいと考えています。今回鈴鹿においてはフォーミュラニッポンの開幕戦が開 催されますが、スピードマスター号も出場していますので、お互い刺激しあい ながら頑張って行きたいと思います」 SKILL SPEED 深尾栄一