SUPER GT

SGT:第1戦岡山決勝 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)が最終ラップまでトップ争いを繰り広げて2位 (HONDA)

  • 2012年4月1日(日)・決勝 会場:岡山国際サーキット(3.703km) 周回数:82周 天候:曇りときどき晴れ 気温:11℃(14:00現在) 路面温度:17℃(14:00現在) コースコンディション:決勝/ドライ 観客:1万6000人(主催者発表)

 4月1日(日)、岡山県美作市にある岡山国際サーキットにおいて2012 オートバックス SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300KM RACE」の決勝レースが行われました。

 昨日行われた予選では#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)が2番手となり、フロントローを獲得しました。SUPER GTでは、予選で使用したタイヤで決勝のスタートを切ることが義務づけられていますが、#100 RAYBRIG HSV-010は決勝レースの展開を有利に導ける硬めのタイヤで予選を戦っており、このため決勝でも好成績を収めることが期待できます。

 美作市周辺は昨日から不安定な天候が続き、決勝日の朝も晴れ間が見えたかと思えば雨が降り始める変わりやすい空模様となりました。ただし、午前8時 20分から45分間にわたって行われた今朝のフリー走行は、時折り晴れ間がのぞくドライコンディションのもとで実施されました。このセッションで は、#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)が1分24秒421でHonda勢の最上位の5番手となりました。これに続いたのは1分24秒674で7番手と なった#100 RAYBRIG HSV-010。さらに#18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム組)は1分24秒703で8番手、#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志組)は1分24秒758で9番手、#32 EPSON HSV-010(道上 龍/中山友貴)は1分25秒167で10番手となり、HSV-010 GTは5台そろってトップ10に名を連ねました。

 フリー走行後には一時、大粒の雨が降りましたが、その後はやや風が強いものの空には晴れ間が広がり、午後0時55分に決勝に向け各車がコースインした際のコンディションは完全なドライとなりました。

 決勝はローリングスタート方式で、午後2時3分にグリーンライトが点灯。300kmのレースは幕を開けました。硬めのタイヤを履いてスタートし た#100 RAYBRIG HSV-010の伊沢選手は、タイヤがグリップを発揮する温度まで上がるのに時間がかかり、5番手となってオープニングラップを終えます。一方、柔らかめ のタイヤでスタートした#18 ウイダー HSV-010のヴァン・ダム選手は予選順位と同じ6番手を守って1周目を走りきりました。以下、#8 ARTA HSV-010のファーマン選手は7番手、#32 EPSON HSV-010の道上選手は12番手、#17 KEIHIN HSV-010の金石選手は13番手となって周回を重ねていきます。

 5周目を迎える頃には、#100 RAYBRIG HSV-010、#8 ARTA HSV-010、#17 KEIHIN HSV-010の3台が装着していた硬めのタイヤはウオームアップが完了し、じわじわとペースを上げていきます。これを生かし、5周目に#8 ARTA HSV-010のファーマン選手は#18 ウイダー HSV-010のヴァン・ダム選手を追い越して6番手に浮上しました。#17 KEIHIN HSV-010の金石選手も5周目には12番手、8周目には11番手と着実に順位を上げていきます。同じ頃、#100 RAYBRIG HSV-010に乗る伊沢選手は前を走るライバルを猛追。攻略のチャンスをうかがいます。それから10周以上にわたりテール・トゥ・ノーズのデッドヒート を繰り広げた伊沢選手は、23周目にこのライバルの攻略に成功、4番手にポジションを上げました。

 一方、#18 ウイダー HSV-010のヴァン・ダム選手と#32 EPSON HSV-010の道上選手はペースが伸び悩み、2台のポジションは徐々に後退。25周目までに#18 ウイダー HSV-010は13番手、#32 EPSON HSV-010は15番手となり、これにともなって#17 KEIHIN HSV-010は10番手へと駒を進めました。

 予選からマシンの仕上がりのよさを見せて、決勝でも勢いに乗る#100 RAYBRIG HSV-010は28周目にも別のライバルを追い越して3番手に浮上、表彰台圏内に入ります。これと前後して#17 KEIHIN HSV-010もライバルをオーバーテイクして9番手となり、#100 RAYBRIG HSV-010とともに追撃を続けていきます。

 30周目、柔らかめのタイヤが摩耗したことにともない、#18 ウイダー HSV-010はピットイン。タイヤ4本の交換と給油、それに小暮選手へのドライバー交代を済ませると、再びコースに復帰していきました。これをきっかけ にして、GT500クラス車両が続々とピットストップを行います。このうち、36周目に素早いピット作業を行った#100 RAYBRIG HSV-010は、それまで先行していた2台の前でコースに復帰することに成功。この時点で実質的なトップに浮上します。

 44周目に全車がピットストップを終えると、#100 RAYBRIG HSV-010の山本選手がトップ、塚越選手が乗る#17 KEIHIN HSV-010は6番手、小林選手が乗る#8 ARTA HSV-010は7番手、小暮選手が乗る#18 ウイダー HSV-010は10番手となって後半の追い上げを期していましたが、一方、中山選手が乗る#32 EPSON HSV-010は他車と接触してマシンにダメージを負った影響により、残念ながらリタイアを喫しました。

 この直後、#100 RAYBRIG HSV-010は裏ストレートで後続のライバルに並びかけられましたが、山本選手の鮮やかなドライビングによりこれを退け、トップの座を守りきります。山 本選手はここでさらに奮起し、一時は0.5秒まで縮まった後続との差を徐々に広げていき、56周目には4秒差としてトップの座を確固たるものにします。

 レースが終盤に入っても#17 KEIHIN HSV-010と#18 ウイダー HSV-010の2台は好調なペースを維持、次第に順位を上げていきます。なかでも#17 KEIHIN HSV-010は56周目に5番手、69周目には4番手に浮上したのに続き、3番手を走行するライバルの直後につけ、表彰台に上るチャンスをうかがいま す。一方の#18 ウイダー HSV-010は53周目に9番手、69周目には8番手となり、上位入賞を目指して周回を重ねます。

 レースは終盤に入り、首位を走る#100 RAYBRIG HSV-010は、周回遅れを処理していく過程でタイムをロスしたことにより、一度は引き離した2番手のライバルに追いつかれてしまいます。そして69周 目にはいったん2番手となったものの、その後もあきらめることなくライバルを追い続け、フィニッシュまで残り1周となった81周目にはトップの座を奪還す ることに成功します。同じ周回、#17 KEIHIN HSV-010は3番手、#8 ARTA HSV-010は6番手、#18 ウイダー HSV-010は7番手へとそれぞれ浮上。後半になってもペースが落ちることのないHSV-010 GTの安定感を見るものに印象づけました。

 しかし、優勝を目前にした#100 RAYBRIG HSV-010は、ファイナルラップでの激しいバトルの末に2番手へ後退。その後もフィニッシュラインまで首位奪回を目指して果敢なアタックを続けました が、わずか0.588秒の差で2位となりました。#17 KEIHIN HSV-010は3位でフィニッシュ。Honda勢は開幕戦で2台のHSV-010 GTが表彰台に上る活躍を示しました。さらに#8 ARTA HSV-010は6番手、#18 ウイダー HSV-010は7番手でチェッカーフラッグを受け、4台のHSV-010 GTが入賞圏内でフィニッシュを果たしました。優勝は#38 ZENT CERUMO SC430でした。

 この結果、タイトル争いで#100 RAYBRIG HSV-010は15点、#17 KEIHIN HSV-010は11点、#8 ARTA HSV-010は5点、#18 ウイダー HSV-010は4点を獲得。Honda勢にとっては好調なシーズンの滑り出しとなりました。

 第2戦は5月3、4日に富士スピードウェイで開催されます。

コメント
松本雅彦|Honda GTプロジェクトリーダー
 「今日のレースは、昨日の予選での つまずきが尾を引く結果となってしまいました。レースに“タラ・レバ”は禁物ですが、それでも、予選さえしっかり戦えていたら、もう少し楽に勝利に手が届 いたと思います。結果として優勝できなかったことは残念ですが、中身は非常に濃いレースでした。とくに、事前の作戦通り冷静に前半戦を戦った伊沢選手、そ して一度抜かれながらもあきらめることなくチャレンジを続けた山本選手の奮闘には拍手を送りたいと思います。13番手スタートから表彰台を勝ち取った金石 選手と塚越選手の手腕も高く評価できます。また、チャンピオンシップを考えれば上々の滑り出しだったといえますし、開幕までの開発が間違っていなかったこ とも確認できました。次戦の富士大会にも優勝を目標として挑みますので、よろしくご声援のほど、お願い申し上げます」
伊沢拓也(2位 #100 RAYBRIG HSV-010)
 「昨日も僅差でポール ポジションを逃したので、今日は絶対優勝したいと思って臨みました。スタート直後は路面温度が低く、タイヤがグリップを発揮するのに時間がかかったために 順位を下げてしまいましたが、その後しっかりと巻き返せました。さらに、ピットワークも完ぺきで、山本選手を一気にトップへと押し上げてくれました。最終 周で抜かれてしまったのは、今回はライバルが自分たちより少し強かった、というだけです。2位という結果は残念ですが、Hondaマシンの強さを見せつけ るレースになったかと思いますし、次のレースではさらに自分たちが強くなって、絶対に勝ちます」
山本尚貴(2位 #100 RAYBRIG HSV-010)
 「今日のレース展開 は、自分のアウトラップがカギになると思っていたので、ピットロードから全開でアタックしました。その結果一気にライバルを抜き、トップへと立ちました が、その後にGT300のマシンの集団につかまったり、タイヤカスを拾ってしまうなどのトラブルがあり、なかなか差を広げられず、再度ライバルに抜かれて しまいました。ただ、絶対に負けたくない気持ちで最後まであきらめずに戦いました。残り2周で抜き返し、1度目にアウト側から抜かれたことを頭に入れて対 応したのですが、ツメが甘かったです。悔しい気持ちでいっぱいですが、過去の自分だったら冷静になれずにバタバタしていたところで、興奮しつつもバトルを 楽しむことができたので、この経験が次につながると信じています。初戦での2位獲得はシーズンを通して考えると大きいですし、ポジティブに捉えています。 開幕に合わせマシンを仕立ててくれたチームやHondaスタッフに感謝しています。今大会でマシンのポテンシャルの高さを確認できたと共に、更なる進化の 余地も感じましたので、2戦目以降に全体のボトムアップを図り、次こそは勝てるようにがんばります」
金石年弘(3位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「昨日の予選はトラブルやアタックのタイミングが悪かった影響で、結果が振るわなかったですが、今日はマシンの状態もとてもよく、自分も塚越選手もライバルを次々と追い抜くことができました。3位入賞という結果にとても満足しています」
塚越広大(3位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「マシンのポテンシャルの 高さを発揮できたレースでした。金石選手がいい流れを作り、その流れをうまくつなぐことができました。予選は悔しい結果でしたが、どんなスターティング・ グリッドでも上位に入ることのできる強さを感じました。次戦は予選からしっかり結果を残して、優勝を目指します」
Text: HONDA


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