1997全日本選手権フォーミュラ・ニッポンレースレポート
シリーズ名:全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
大会名: 第6戦 富士スピードウェイ
距離: 4.470km×45周
予選: 8月30日 晴れ時々曇り 観衆: 7400人(主催者発表)
決勝: 8月31日 晴れ 観衆:4万1300人(主催者発表)
●後半戦へのターニングポイント第6戦富士。高木虎之介選手は、ライバル黒澤琢弥
選手との壮絶なバトルを演じるが、1コーナーで接触、コースアウト!
●抜群のスタートを決めた山西選手。しかし、コーナー出口でバランスを崩しグラベ
ルに捕まる!!
全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、今回の第6戦富士で後半戦を迎えること
となった。ベルギーGPでのポルシェ・スーパー・カップ、イタリアはモンツァでの
ティレルF1テストを終えて帰国したばかりの高木虎之介選手は、時差調整を行う間
もなく富士入りし、今大会に臨んだ。
恒例で行われる1時間の公式練習において、64号車の高木虎之介選手はセッショ
ンが開始されると同時にコースイン。丁寧に走り込みながらセッティングを重ね、最
終的には3番手のタイムをマークし、順調な滑り出しに成功する一方、65号車の山
西康司選手は、新しいセティングを試みたこともひびいてか、車のバランスがうまく
決まらず20番手に留まってしまう。そして、8月下旬とはいえまだまだ残暑が厳し
い午後1時30分、いよいよ公式予選が開始された。まずは公式練習で使用したタイ
ヤを使い64号車、65号車共にコースイン。セッション開始5分早々に、1コー
ナーの入り口の停止車両を回収するため、赤旗中断する場面もあったが、高木、山西
両選手は、午前中に判明した問題点の解消に務める作業を続ける。高木虎之介選手は
数回のピットインをくり返し、予選残り10分の時点で、いよいよ新品タイヤを投入。
周回を重ねタイヤを温め、中嶋悟総監督の指示を無線で仰ぎながらクリヤラップを取
るとその時点でのトップタイム1'16.819を叩きだすことに成功する。がしかしこちら
もニュータイヤを投入したペドロ・デ・ラ・ロサ選手が高木選手を上回る1'16.342の
タイムを出し、公式予選のトップタイムメーカーとなった。結局、ペドロ・デ・ラ・
ロサ選手/高木選手/光貞選手/ノルベルト・フォンタナ選手/黒澤選手/影山正彦
選手の順で上位6名が決定、スペシャル・ステージ(S・S)へ進出を果たすことに
なる。一方、山西康司選手は午前中の問題も徐々に解決の方向に向かい、最終的には
13番手ポジションの予選順位を獲得する。
予選セッションこそ真夏を思わせるコンディションだったものの、S・Sが始まる
時間になると気温、路面とも一気に下がりはじめ、さらには夕立が来そうな雲行きの
中、S・Sが開始される。S・Sに進出した各選手の走りを見つめていた5番目コー
スインの高木選手は、この時点まででトップタイムをマークしている、黒澤琢弥選手
のタイムを上回るべく走行開始。タイヤが最もグリップ力を発揮する計測4周目1'17.
802を叩き出すが、黒澤選手のタイムを上回ることはできずに2番手に留まることに。
そして最後の走者である、ペドロ・デ・ラ・ロサ選手は黒澤選手のタイムをも上回る
ことに成功、見事ポールポジションを獲得することになる。こうして、高木選手は3
番手からのスタートが確定、翌日の決勝を迎えることとなる。
そして決勝当日、午前中に行われたフリー走行においての決勝状態であるフルタン
クでの走行は、高木選手は、まずまずの仕上がりを見せることに成功するも、山西選
手は、セッション序盤にクラッチトラブルに見舞われ、思うように走りこめず、午後
の決勝に不安を残す内容となってしまった。
気温28℃、路面35℃のコンディションの中、予定通り14:00丁度、グリーンフラッ
グがふられ、1周のフォーメーションラップを経てレーススタート。このスタートで、
抜群のスタートダッシュを決めたのが山西康司選手だった。13番手から一気にシン
グルポジションに入るパフォーマンスを見せ、1コーナーに進入するとさらにポジシ
ョンアップを狙って、サントリーコーナーで予選6番手スタートの光貞選手の前に出
る。しかしブレーキングでバランスを崩しコースアウト、リタイヤを喫してしまう。
一方2列目、3番手からスタートを切った高木選手は、ノルベルト・フォンタナ選手
に先行されてしまうものの4番手のポジションで混乱の1周目を終了。そのまま追撃
態勢に入る。まずは、3周目、明らかにストレートスピードでは上回る前走車を操る
黒澤選手のスリップストリームに入り、第1コーナーのブレーキングで前に出ると3
番手にポジションアップ。そして、2番手を走るノルベルト・フォンタナ選手を追走
する。しかし、今度は後方から激しく追い上げてくる黒澤選手との駆け引きになる1
0周目、メインストレート中盤で、黒澤選手に一度追い抜かれた高木選手は、すかさ
ず黒澤選手のスリップストリームに飛び込み、さらに鋭く1コーナーでインを差し返
す。しかし、高木、黒澤両選手ともに接触してコースアウト。高木選手は、左フロン
トサスペンションにダメージを受け、再スタートできずに残念ながらリタイヤとなっ
てしまう。
なお、レースはポールポジションからスタート、終始安定したレース運びを見せた、
ペドロ・デ・ラ・ロサ選手が今期4勝目を上げた。
■中嶋総監督のコメント
「高木については、後半戦の流れをこちらに引き寄せるため、チームスタッフと力を
合わせ頑張ったのですが、残念な結果になりました。次戦以降も全力を尽くします。
山西については、まだまだ若さの出たレースとなってしまいました。」
●次戦は9月13日~14日山口県MINEサーキットで開催されます。
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