Formula Nippon

FN:第5戦鈴鹿決勝 両ドライバーともトラブルに泣く (INGING)

 雨に少なからず影響を受けた土曜の予選セッションから一夜明け、迎えた日曜はまずまずの天候に。このためドライで行われた決勝を占う朝のフリー走行では、横溝が1分46秒919と好タイムをたたき出して3番手、クインタレッリも多目の燃料を積んでいながら1分47秒895をマークして10番手と、チームでは決勝に向け充分な手応えを感じてのセッション終了となった。

第5戦決勝

 曇天で迎えた午後2時34分。いよいよ43周で争われる第5戦決勝がスタートを迎えた。クインタレッリは、シグナルへの反応も良く、最高のスタート。しかし、1コーナーへのアプローチではやや加速が鈍ったか、4番手のポジションキープという状況に。一方15番グリッドからのスタートとなった横溝は、好スタートを決めて何台かのマシンをパスすることに成功する。1周目、トップグループが西コースに差し掛かると、4番手を行くクインタレッリに異変が。スプーンカーブへの進入のころには、既にまったく加速をしている様子がない。なんとクインタレッリは予想外のクラッチトラブルに見舞われていたのだ。スローダウンするクインタレッリの横を、横溝が駆け抜けていく。

 こうして横溝は1周目を11番手で通過するが、クインタレッリは惰性でピットへ。念のためタイヤ交換などの用意をして待ち構えたピットクルーだったが、クインタレッリはマシンを降りることに。ここで33号車は無念のリタイヤとなってしまった。

 クインタレッリを失ったINGINGだったが、頼みの綱の横溝は2周目に井出有治をパスし10番手に浮上。好調な滑り出しに期待がかかったが、その後横溝はスローカーに行く手を阻まれてしまう。そうして迎えた20周目。4位を走行中のブノワ・トレルイエ選手のマシンが、スプーン立ち上がりの裏ストレートで大きなクラッシュに見舞われ、レースは赤旗中断に。このとき、赤旗ラインで停止中にタイヤを交換した横溝は、9番手にまで浮上を果たしていたものの、1ピット作戦だったためやむなくリスタート直後にピットに入って給油を行うことに。コースに復帰した横溝は、18番手で復帰するが、残念ながらこの時点で上位進出の望みは絶たれてしまった。

 それでもベストタイムをマークするなど、果敢に攻めた横溝だったが、なんと給油の際に給油リグのパーツの一部が脱落し、マシン側の給油口に挟まってしまいきちんと密閉されず、横Gの掛かり方によってガソリンを吹きながらの走行になってしまう。それでも走行を続けるも、39周目の裏ストレートでマシンに異変を感じた横溝は、40周目に突入もガス欠症状がひどくなり、ダンロップコーナー先のグリーンにマシンを止めることとなり、19位での完走扱いとはなったものの、残念ながらチェッカーを受けることなくINGINGのレースは終わってしまった。

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ロニー・クインタレッリ
「スタート自体はものすごく良かったのですが、シフトアップしていく過程で、3速にアップしたところで既にトラクションがあまりなく、クラッチに違和感がありました。ただ、2コーナーを立ち上がるあたりでは、また少しフィーリングが戻ったので、走り続けようと思ったのですが、結局西コースへ行くころにはクラッチのトラブルがひどくなり、レースをあきらめるしかありませんでしたね。残念ですが、変わらず速さを維持できているので、次のレースで頑張ります。今日はトレルイエ選手が大きなクラッシュに見舞われながらも、たいした怪我もなかったということで、安心しましたね」
横溝直輝
「スタートがいつものように決まって、さらに序盤はマシンのバランスがすごく良かったので、すぐに10番手に浮上することができたのですが、その後前の遅いビルドハイム選手に引っ掛かってしまいましたね。ラップタイムは僕のほうが速かったのですが、立ち上がりで向こうに分があり、どうしてもスリップにつけなかったのです。彼の前に出られていたら、違う展開になっていたでしょう。トレルイエ選手のクラッシュによって赤旗が出されたことで、1ストップ作戦を採っていた僕は事実上の上位進出のチャンスを失ったのですが、終盤タイムも上がらなかったので、決勝のセットアップに関してもう少し詰めるべき部分があったかもしれません。最後はガス欠で止まってしまいましたが、今週末は予選での速さを見せることができ、自信にもつながったので、また次回頑張ります」
由良拓也監督
「今日は本当にタラレバレースでしたね。ロニーはクラッチがバラバラになってしまったのですが、結果的にロニーと同じノンストップの本山哲選手が優勝していますし、トラブルが出なければ彼とロニーが確実に優勝争いを演じていたでしょう。ストレスのたまる結果ですが、速さもある、戦略も正しかったとなれば、また次につなげていくことができると思います。また、直輝に関しては15番手からのスタートということで、1ストップにするしかなかったのですが、結果的に1ストップのマシンに今日は勝機はありませんでしたね。しかも最後はガソリンの給油口にゴム製のOリングが挟まり、そこからガソリンが漏れてしまうというトラブルから、ガス欠を起こしてしまって直輝には申し訳なかったですね。しかし、チーム全体としていい状況にあるのは間違いないので、次戦に期待しましょう」

Text: INGING MOTORSPORT / Photo; Motorsports Forum



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