Formula Nippon

FN:第7戦鈴鹿決勝 レース1で伊沢拓也が2連勝を達成、ダンディライアンがチームチャンピオン! (HONDA)

  • 2012年11月4日(日)・決勝  会場:鈴鹿サーキット(5.807km)  天候:晴れ  気温:17℃(10:20時点)/17℃(14:30時点) 路面温度:23℃(10:20時点)/20℃(14:30時点)  コースコンディション:ドライ  観客:1万4000人(主催者発表)

 11月4日(日)、三重県・鈴鹿サーキットにおいて、2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第7戦の決勝レースが開催されました。

fn121104006L.jpg  前日の予選時とは打って変わって、この日の三重県はさわやかな秋晴れに恵まれました。風も穏やかで、絶好のレース観戦日和となりました。

 フォーミュラ・ニッポン最終戦となるこの大会では、2レース制が採用されました。2つのレースはいずれも4日(日)に開催され、レース1は約116km(20周)のスプリントレースでピットストップの義務づけなし、レース2は約162km(28周)でタイヤ4本を交換するピットストップが義務づけられます。

 土曜日の予選はノックアウト方式で行われ、レース1のスターティンググリッドはQ1の順位、レース2のスターティンググリッドはQ1-Q3の順位に基づいて決められました。この結果、レース1では#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番グリッド、#41 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番グリッド、#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)が6番グリッド、#16 山本尚貴選手(TEAM 無限)が7番グリッド、前戦に続いてスポット参戦した#15 佐藤琢磨選手(TEAM 無限)が9番グリッド、#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)が12番グリッド、#10 金石年弘選手(HP REAL RACING)は16番グリッドからスタートすることが決まりました。

 一方のレース2では、#41 塚越選手が2番グリッド、#16 山本選手が4番グリッド、#32 小暮選手が5番グリッド、#40 伊沢選手が6番グリッド、#15 佐藤選手が11番グリッド、#31 中嶋選手が12番グリッド、#10 金石選手が16番グリッドから出走します。

 チャンピオン争いに目を移すと、前戦が終わった段階で計算上は7人のドライバーにタイトル獲得の可能性が残されていました。このうち、Hondaドライバーの中では、ポイントリーダーと1点差でランキング2番手につけている#41 塚越選手と、同じく6点差でランキング4番手につけている#40 伊沢選手にタイトル獲得の可能性が残されていました。前戦の第6戦SUGO大会では、#40 伊沢選手が優勝し、#41 塚越選手が2位入賞を果たすなど、Hondaエンジン並びにDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは好調で、最終戦での逆転チャンピオンに大きな期待がかかっています。

 1大会2レース制で開催される最終戦では、レース1とレース2のポールシッターに1ポイントが与えられるほか、各レースのウイナーには特別に3ポイントが追加で与えられます。このため、ポイントの配分はレース1、レース2ともに1位8点、2位4点、3位3点、4位2.5点、5位2点、6位1.5点、7位1点、8位0.5点となります。

 午前10持20分のスタートが予定されていたレース1では、フォーメーションラップで波乱が起きました。#15 佐藤選手がエンジンをストールさせてしまったため、最後尾からフォーメーションラップに参加することになったのです。このため、#15 佐藤選手は予選で決まっていた9番グリッドではなく、最後尾の18番グリッドからスタートすることになりました。

 全車がスターティンググリッドに整列したのに続いて、5個のレッドシグナルが消灯し、20周のレースが始まりました。ここで抜群のスタートを決めたのが2番グリッドの#40 伊沢選手。ポールポジションスタートのライバルをストレート上で追い抜くと、トップで1コーナーに進入していきました。一方、#41 塚越選手もこのライバルを攻略すべく、ほぼ横並びとなりながら1コーナーに進入していきましたが、わずかにライバルが先行し、#41 塚越選手は3番手のポジションを保ってレースを続けていきます。

 フォーメーションラップ前にエンジンをストールさせて最後尾スタートとなった#15 佐藤選手は、レース1のスタートでも再びエンジンがストール。このため、大きなビハインドを背負った状態から20周のレースに挑むことになりました。

 オープニングラップが終わった段階で、トップは#40 伊沢選手。#41 塚越選手は3番手で、以下、#32 小暮選手は6番手、#16 山本選手は7番手、#31 中嶋選手は11番手、#10 金石選手は15番手、#15 佐藤選手は18番手となりました。

 トップを走る#40 伊沢選手は快調で、2番手とのギャップを5周目に2.5秒、10周目には4秒と徐々に広げていきます。3番手の#41 塚越選手も懸命の追走を試みますが、前を走るドライバーとの差を詰めるまでには至らず、10周目には3.2秒の差をつけられていました。

 一方、エンジンストールにより大きく遅れてスタートした#15 佐藤選手は、トップグループに匹敵する1分43秒台のペースで猛追。目の前を走る17番手との差を次第に詰めていきます。そして11周目にはついに攻略し、17番手に浮上します。

 このあと、7人のHondaドライバーは懸命の力走を続けましたが、結果的に順位を上げるまでには至らず、レースはこう着状態に陥りました。

 レースが残り1周となった20周目に、7番手を走行していた#16 山本選手のマシンにギアボックスのトラブルが発生します。このため、#16 山本選手はギアチェンジができなくなり、15番手まで順位を落としました。

 #16 山本選手を除く6人のHondaドライバーはこのまま最後まで走りきり、#40 伊沢選手は前戦に続く2連勝を果たしました。また、#41 塚越選手も3位でフィニッシュし、2人のHondaドライバーが表彰台に上ることになりました。さらに、#32 小暮選手は6位入賞を果たし、1.5点を獲得しました。

 この結果、ドライバーズチャンピオンをかけたポイント争いでは、#40 伊沢選手と#41 塚越選手が40点で並びましたが、優勝回数の多い#40 伊沢選手がこの時点での首位、そして#41 塚越選手は2番手となりました。

 タイトルの行方を決めるレース2は、午後2時30分にスタートが切られました。2番グリッドの#41 塚越選手はこのポジションを守って1コーナーに進入。一方、5番グリッドの#32 小暮選手はロケットスタートを決め、一気に3番手に浮上します。11番グリッドからスタートした#15 佐藤選手も9番手へとポジションを上げましたが、4番グリッドの#16 山本選手と6番グリッドの#40 伊沢選手はやや出遅れ、それぞれ5番手と10番手に後退してしまいました。さらに、#31 中嶋選手も1つポジションを落として13番手。スタートでエンジンをストールさせた#10 金石選手は18番手となってオープニングラップを終えました。

 レース2で義務づけられたタイヤ4本の交換を行うため、1周目を終えたところで計7台のマシンがピットストップを行いました。Hondaドライバーでは、#40 伊沢選手と#31 中嶋選手の2人がこのタイミングでタイヤ交換を実施しました。ピット作業後、#40 伊沢選手はピットロード上でチャンピオン争いを繰り広げるライバルとほぼ横並びとなりましたが、コースに復帰する際にライバルがわずかに先行し、これを#40 伊沢選手が追走する形となります。続いて2周目の終わりにライバル陣営の1台がピットインした結果、コース上は義務づけられたタイヤ交換を行ったドライバーと、まだ行っていないドライバーが入り交じった状態となります。

 4周目、#16 山本選手が突如としてスロー走行となります。レース1で問題が起きたギアボックスを交換してレース2に臨んだ#16 山本選手でしたが、再びギアボックスにトラブルが発生したため、4周目を走り終えたところでピットに入り、そのままリタイアを余儀なくされました。

 2番手を走行していた#41 塚越選手は7周目を走り終えたところでピットイン。この時点ではまだタイヤ交換を実施していないドライバーもいたため、9番手となってコースに戻りました。

 10周目には、この時点で4番手までポジションを上げていた#15 佐藤選手もピットストップを行います。そして、この時点で30秒近く後続を離してトップを走っていた#32 小暮選手が14周目を走り終えてからピットイン。小暮選手は燃料が少ない状態でスタートして後続を突き放し、タイヤ交換とともにフィニッシュまでに必要な燃料を補給することで追い上げを図る作戦を選択したため、タイヤ交換に加え、義務づけられていない給油も行いました。さらに17周目を終えたところで#10 金石選手がピットイン。これで6人のHondaドライバーはそろってタイヤ交換を消化する形となりました。

 21周目を終えたところでトップを走っていたライバル陣営のドライバーがピットに入り、ようやく各ドライバーのポジションが明らかになります。この時点でHonda陣営のトップは3番手の#41 塚越選手。続いて#32 小暮選手が4番手、#40 伊沢選手は6番手、#15 佐藤選手は10番手、#31 中嶋選手は11番手、#10 金石選手は14番手につけています。

 ここからフィニッシュまで、#41 塚越選手と#32 小暮選手は1秒以内のギャップを保ちながら緊迫したバトルを演じましたが、最終的に#41 塚越選手は自分のポジションを守りきり、3位でチェッカーフラッグを受けました。#32 小暮選手は4位、#40 伊沢選手は6位、#15 佐藤選手は10位、#31 中嶋選手は11位、#10 金石選手は14位でそれぞれ完走を果たしました。

 この結果、レース2で優勝して8ポイントを獲得した#2 中嶋一貴選手(トヨタ)が計46点となり、43点の#41 塚越選手、41.5点の#40 伊沢選手を上回り、ドライバーズチャンピオンとなりました。一方、チームを対象としたチャンピオン争いでは、#40 伊沢選手と#41 塚越選手が所属するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが計81.5点を獲得。ライバルチームを2点しのいでタイトルを勝ち取りました。

坂井典次(Tenji Sakai)|「HR12E」開発責任者
 「結果的にドライバーズタイトルを獲得できなかったのは残念でした。レース2では、ピットストップのタイミングが勝敗のカギを握ることが分かっていましたので、チームとともにさまざまな作戦を検討しましたが、結果的にライバルの先行を許すことになりました。これは大誤算でした。最終的にドライバーズタイトルには手が届きませんでしたが、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームタイトルを勝ち取ったことはとてもうれしく思っています。チームの皆さんには心より『おめでとうございます』と申し上げます。また、第3戦オートポリス大会、第6戦SUGO大会、そして今回と、Hondaエンジンを搭載するマシンが速さを示して栄冠を勝ち取ったことにも深い達成感を覚えています。来年からはシリーズ名がスーパーフォーミュラシリーズに改められますが、ここでもHondaとして新たな気持ちで挑戦していくつもりです。引き続き、国内トップフォーミュラを戦うHondaにご声援をよろしくお願い申し上げます」
伊沢拓也選手(レース1/優勝、レース2/6位 #40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 「レース1では、チャンピオンシップを獲得するためには絶対に勝たないといけないと思って臨みました。スタートもレース展開も完ぺきで、これ以上ないくらいのレースができました。前大会に引き続いて2連勝が達成できたことは自分にとって自信になりました。ただ、レース2では、レース1であれだけ速く走れたのに、マシンとドライビングを合わせることができず、難しいレースとなりました。チームタイトルを獲得できたことは、僕たちがシーズンを通じて強く戦えたということですが、チームタイトルを獲得できるマシンがありながら、ドライバーがチャンピオンを獲得できなかったということは、ドライバーとしてはとても悔しいことですので、来シーズンに必ず取り返したいと思います」
塚越広大選手(レース1/3位、レース2/3位 #41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 「レース1では、スタートでポジションを上げたかったのですが、それができず、トップ2台になかなかついていけないレースとなりました。レース2ではとにかく前でゴールすることだけを考えていましたが、ペースを上げられませんでした。必死にプッシュして全力を尽くしましたが、力が及びませんでした。今大会では2レースともにポールポジションも取れませんでしたし、優勝もできなかったので、悔しい思いでいっぱいです。今年はシーズンを通じてランキング上位でチャンピオン争いを繰り広げられて、いい経験になりました。チームも一生懸命がんばっていましたので、チームタイトル獲得に貢献できたことはよかったです。しかし、ドライバーズランキング2位という結果については本当に悔しい思いしかないです。今後、この悔しさを自分の走りにしっかりとつなげられるようがんばります」
Text & Photo: HONDA


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