全日本GT選手権

JGTC第2戦 ALL JAPAN FUJI GT RACE 決勝


両クラスの優勝クルー(Photo:Ms@nifty)


          セーフティカー導入6回と荒れたレースで
             auセルモスープラ、R&Dマーヴィックが優勝

 JGTC第2戦は毎年ゴールデンウィークの恒例行事で、今年も富士スピードウェイで
開催された。昨年同様500kmのロングディスタンスで、通常の車両はピットイン2回
でドライバーのどちらかが長めのドライブを担当する。ピットの回数も多く、セー
フティカー(SC)ランをたくみに利用してピットインのタイミングを取るタクティ
クスやピットワークの迅速さなど、さまざまな要素が組み合わされる予測の難しい
レースとなる。

 今回注目されたのはHKSの製作したメルセデス・ベンツCLKと、東京R&Dが投入す
るヴィーマック320Rの2台。しかしメルセデスが富士に到着したのは予選前日の夕
方で予選は走らずじまいとなった。一方ヴィーマックは流麗なスタイリングでセッ
ションごとにタイムアップを果たしていた。

 5月2日に行われた公式予選で、コースレコードでポールポジションを獲得したの
は脇阪寿一/飯田章の#6エッソウルトラフロースープラ。ディフェンディングチャ
ンピオンである竹内浩典/立川祐路の#1auセルモスープラがフロントロウに。そし
て服部尚貴/田嶋栄一の#76イエローコーンマクラーレンGTR、土屋武士/ワイン
・ガードナーの#36トクホントムススープラ、岡田秀樹/黒澤治樹の#30綜警McLaren
の順と最高速の伸びるスープラとマクラーレンがトップ5を独占した。

 またGT300では、柴原眞介/蜜山祥吾の#62Vemac R&Dダンロップ320Rが何とデビュー
レースでポールポジションを獲得。今回は性能引き上げ措置を受けた車両が多く、
#2BOSSベルノ東海NSXが2位、#19ウェッズスポーツMR-Sが3位、#15AMPREX BMW M3GT
が4位と、いつもとは上位の顔ぶれが変わった新鮮なグリッドとなった。

 決勝は朝から雲が多くいつ雨が落ちてきてもおかしくない空模様。それでも5万
3000人ものファンが詰め掛けた。13時40分過ぎ、114周の決勝レースがきれいにス
タートした。しかし2周目の1コーナーで#37ZENTスープラ、#16無限NSX、#64Mobil
1 NSXが接触。#64NSXはグラベルで身動きが取れなくなりSCランとなった。

再スタート後、7周目の1コーナーで#1スープラがトップに立ち、トップ3台が逃げ
るようなレースを展開する。20周終了時で4番手は#39デンソーサードスープラ、5
番手は#36スープラとスープラ勢が好調。しかし31周目に#39スープラがタイヤにト
ラブルを抱えいったん停止。再び走り出したがBコーナーでタイヤのトレッド面が
剥離脱落して、ここで2度目SC導入。この時点で各車両が一気にピット作業に入り、
ピットは大混乱。リスタート時の順位は#1スープラ、#76マクラーレン、#6スープ
ラ、#36スープラ、#8 ARTA NSX、#16NSXで、直後から#76マクラーレンが激しく#1
スープラをチャージ! 49周目にはBコーナーで#39スープラがストップして3度目
のSCラン。

 そしてその再スタート直後のAコーナーで服部の#76マクラーレンがとうとうトッ
プに。しかし飛ばしすぎたのか60周目の1コーナーでグリップを失ってオーバーラン
し3番手にドロップしてさらにタイヤ交換のためにピットへ。ここで2番手の#6スー
プラは、ピットアウト時に他車両と接触したため危険走行とみなされ30秒のペナル
ティを受け脱落。70周終了時の順位は#1スープラ、#36スープラ、#8NSX、#16NSX、
#22ザナヴィピットワークGT-R、#64NSXに。そして2回目のピットワークのタイミン
グに。

 75周目、ピットアウトしたばかりの#64NSXが1コーナー先にコースアウトして4回
目のSCランに。再スタート時は#8NSX、#16NSX、#1スープラ、#36スープラ、#22GT-R
の順だったが、81周目に#16NSXがトップを奪い、トップ3台の差は5秒以内に縮まっ
た。ここから#1スープラが追い上げを始めた86周目には最終コーナーで#88ディア
ブロがクラッシュして5度目のSCランに。ここから最後のスプリントレースが展開
されるかと思われた。

 ところがヘアピンで4番手の#36スープラと#30マクラーレンが接触して#36スープ
ラはポジションダウン。1.4秒内にひしめいていたトップの3台は、92周目のAコー
ナーで#1スープラがトップを奪って、#1す-ぷら、#16NSX、#6スープラの順序でこ
れで勝負ありかと思われた。ところが100周目のBコーナーで#55バイパーがスピン、
逆走して#36スープラと衝突。これで6回目のSCランとなった。最後の10周はスーパー
スプリントレースになるかと思われたが、#1スープラは余力を残しており悠々トッ
プを守りチェッカー。最終周で#6スープラが#16NSXを逆転して2位、スープラの1-2
フィニッシュとなった。

 GT300は、序盤#62ヴィーマック、#31ARTAアペックスSMR-、#2NSX、#24エンドレ
スポルシェ、#86プロジェクトμMR-S、#71シグマMR-S、#910ナインテンロデオドラ
イブポルシェの順で走行していたが、#24ポルシェはミッションオイルクーラーの
破損でリタイア。#86MR-SはBコーナーでGT500の車両に追突されスピン、#2NSXはス
ターターのトラブルで順位を落とす。順位が決定したと思われたのは2度目のピッ
トイン時。トップを走行していた#19MR-Sのピット作業とSC導入のタイミングが良
く、他のGT300車両に対し約1周得したことになったのだった。

 ところが終盤、優勝間違いなしと思われた#19MR-Sがタービントラブルのために
スローダウン。脇を#62ヴィーマック、#71MR-S、#910ポルシェ、#26PLUSeタイサン
ポルシェが追い抜いていった。そして#62ヴィーマックがデビューレースでポール
toフィニッシュを飾るという快挙を成し遂げた。ファイナルラップ、その前にGT500
マシンと接触してペースの上がらない#910ポルシェを#26ポルシェがかわして表彰
台へ。波乱のレースはようやく終了した。

(観客:53,000人)

Report:K.Minakoshi



2002年5月4日 富士スピードウェイ(静岡県) 決勝 天候:曇り/コース:ドライ

-P.-No.Cls-Car----------------------------Drivers-----------Lap-GoalTime---(WH)
 1   1 500 auセルモスープラ               竹内/立川         114 3:14'42.322
 2*  6 500 エッソウルトラフロースープラ   脇阪/飯田         114 -     5.311
 3  16 500 無限NSX                        伊藤/シュワガー   114 -     6.174(10)
 4   8 500 ARTA NSX                       土屋/金石         114 -    14.557
 5 100 500 RAYBRIG NSX                    光貞/金石         114 -    16.093
 6* 23 500 カストロールピットワークGT-R   影山/コマス       114 -    25.572
 7  22 500 ザナヴィニスモGT-R             本山/クルム       114 -    28.587
 8* 76 500 イエローコーンマクラーレンGTR  服部/田嶋         114 -  1'17.315
 9  30 500 綜警McLaren                    岡田/黒澤         113 -    1 Lap
10  35 500 プロジェクトμエスペリアSUPRA   影山/脇阪         113 -    1 Lap
11  64 500 Mobil 1 NSX                    松田/ファーマン   112 -    2 Laps(70)
12* 37 500 ZENT トムス スープラ           黒澤/モンティン   111 -    3 Laps
13  25 500 FK/マッシモADVANスープラ       山路/リース       111 -    3 Laps
14  62 300 Vemac R&Dダンロップ320R        柴原/密山         108 -    6 Laps
15  71 300 シグマMR-S                     城内/澤           108 -    6 Laps
18  26 300 PLUS e タイサンアドバンGT3R    木下/西澤         108 -    6 Laps
16 910 300 910ロデオドライブアドバンGT3R  松田/ウィルコック 107 -    7 Laps
17  19 300 ウェッズスポーツMR-S           田中/後藤         107 -    7 Laps
19  77 300 クスコスバルインプレッサ       小林/谷川         106 -    8 Laps
20  28 300 MY&CタイサンADVAN GT3R         砂子/山岸         106 -    8 Laps
21  21 300 ダンロップ BMW M3              一ツ山/菊地       104 -   10 Laps
22   5 300 BANPRESTO CAR倶楽部マッハ号MT  玉中/桧井         104 -   10 Laps
23  61 300 Asports R&DダンロップGT3R      須賀/宮川         103 -   11 Laps
24  17 300 Kosei SPIRIT MR-S              松永/滑川         102 -   12 Laps
25  36 500 トクホン トムス スープラ       土屋/ガードナー   100 -   14 Laps
26   7 300 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7  松本/谷口          99 -   15 Laps
27*360 300 ダンテール・フェラーリ         西澤/佐々木        95 -   19 Laps
28   2 300 BOSSベルノ東海AR・NSX          高橋/渡辺          95 -   19 Laps
29  70 300 外車の外国屋ダンロップポルシェ 石橋/バンスクート  94 -   20 Laps
30* 55 300 イクリプスタイサンADバイパー   山田/清水          93 -   21 Laps
31  86 300 プロジェクトμ・クリスタルMRS   長島/松田          90 -   24 Laps
32  18 500 TAKATA童夢NSX                  フィリップ/ライアン89 -   25 Laps(50)
33   9 300 ARCいじけむしぽるしぇ          下島/日置          88 -   26 Laps
34  15 300 AMPREX BMW M3GT                橋本/クワン        87 -   27 Laps
-----------以上完走------------------------------------------------------------
  *  3 300 ユニシアジェックスシルビア     山野/柳田          65 -   49 Laps(10)
    81 300 ダイシンADVANシルビア          大八木/青木        62 -   52 Laps(20)
    88 500 ノマド ディアブロ JGT-1        アピチェラ/和田    58 -   56 Laps
    39 500 デンソーサードスープラGT       デュフォア/織戸    45 -   69 Laps(30)
    31 300 ARTAアペックスMR-S             新田/高木          35 -   79 Laps(50)
    63 300 レイジュンR&DダンロップGT3R    OSAMU/中川         27 -   87 Laps
    12 500 カルソニックスカイライン       星野/田中          18 -   96 Laps
    24 300 EndlassタイサンアドバンGT3R    福山/木下          14 -  100 Laps(40)
■ 911 300 PCJケルンテンBORO GT3R         平川/芳賀          失格
-------------------------------------------------------------------------------
Fastest Lap GT500 #1  auセルモスープラ(立川)       1'25.942  9/114 184.310km/h
            GT300 #62 Vemac R&Dダンロップ320R(柴原)1'32.872  8/108 170.557km/h
*WH:ウェイトハンデ(kg)

* #3(Aドライバー)はH項違反(黄旗区間での危険走行)によりペナルティストップ10秒
 のペナルティを課された。
* #37(Aドライバー)はピットレーン出口の信号無視によりペナルティストップ10秒
 のペナルティを課された。
* #6(Bドライバー)は走行中の危険行為によりペナルティストップ30秒のペナルティ
  を課された。
* #23は給油中のエンジン不停止によりペナルティストップ10秒のペナルティを課され
 た。
* #360はタイヤ交換時のタイヤ平置き違反によりペナルティストップ10秒のペナル
 ティを課された。
* #76(Bドライバー)は、再スタート時の追越し違反により、ペナルティストップ10秒
 のペナルティを課された。
* #55は給油中のジャッキ使用違反によりペナルティストップ10秒のペナルティを課さ
 れたが、リタイアにより実施できなかったので罰金3万円を課した。
■#911は黒旗無視違反により失格とした。



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