2020年スーパーFJもてぎシリーズ開幕戦が3月8日(日)にツインリンクもてぎフルコースで開催された。
昨年までもてぎシリーズの顔であったル・ボーセモータースポーツの活動停止を受けてエントリー状況が心配されたが、同じく大看板のZAP SPEED勢を筆頭に8台が出場した。
その中には、昨年もてぎシリーズランキング3位の18号車新倉涼介(ZAP LUCK 10V ED)、4位の72号車前田大道(ELEVレーシングドリーム.WRS)、5位の10号車鈴木千勝(ZAP SPEED 10V ED)という顔ぶれに加えて筑波シリーズ3位の37号車小谷諭司(NILZZぐんま東庄10V ED)といった経験者が参戦し激戦が期待される。
■予選
午前8時30分から開始された予選では前夜からの雨が少ないながらも降り続き、ウェット路面のコースに全車コースイン、まずは新倉がトップタイムで予選をリードする。その後鈴木が3周目にトップタイムを出すが次の周に新倉が逆転。再逆転を狙う鈴木はセクターベストを刻んで新倉に迫るが7周目のS字でコースアウト。更にこの周、今回初レースの81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)が2番手タイムを出し鈴木は3位にドロップ。
しかしチェカー後の計測最終周に鈴木が渾身のアタックで再逆転、 2位新倉に0.56秒の大差をつけてポールポジションを獲得した。3位は松澤、4位も今回がもてぎS-FJデビュー戦の8号車杉本涼(ZAP SPEED 10V ED)とルーキーがセカンドロウを占めた。
■予選後のコメント
- ポールポジション 10号車鈴木千勝(ZAP SPEED 10V ED)
- 「ポールポジションは取れたが2番手がチームメイトでお互い得意不得意がわかっている。セクターによっては相手が速い区間もあるのでタイム差ほどの優位は無い。決勝はミスをせず自分のペースを守って走りたい」
- 2位 18号車新倉涼介(ZAP LUCK 10V ED)
- 「昨年はシリーズ3位、レースで表彰台に上がったのも全て3位だった。今年は1位2位がいないのだからトップを狙わないといけない。予選はベストタイムで鈴木に負けたがコンスタントに良いタイムが出ているので勝負権はある。スタートを決めてトップを取り、そのまま突き放す展開に持ち込みたい」
- 3位 81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)
- 「昨年まではカートレースに出ており今回がスーパーFJでの初レースになる。チームも新しく設立されたものでマシンも新車だが昨日の練習走行でいいタイムが出ておりマシンの習熟やセッティングは十分出来ている。今年はシリーズ全戦参加と日本一決定戦出場が目標だが、まずは難しいコンディションとなったデビュー戦を落ち着いて戦いたい」
■決勝
10周の決勝レースは正午開始。雨はほとんど止んでいるが路面は依然としてウェットで全車がレインタイヤでコースイン。奇数側路面がやや有利にも見えたが全車クリーンスタートし1周目から上位4台が5位以下を突き放しトップグループを形成する。鈴木対新倉の接近戦の後ろで、4位杉本が松澤にプレッシャーをかけ続け3周目4コーナーで松澤のミスに乗じてオーバーテイクに成功、ZAP SPEED勢の1-2-3体勢が出来上がる。
新倉が鈴木を攻めあぐねている間に3位杉本は一気に間合いを詰めていき、5周目の最終コーナーで新倉が姿勢を乱したところで2位に進出。さらに杉本はファステストラップを連発してトップ鈴木を追い上げ始める。一方新倉は4位松澤からも追い立てられ7周目後半セクションでテール・ツー・ノーズになると8周目の2~3コーナーにかけて攻防を繰り広げるものの新倉が抑えきって3位を守る。
同じ8周目には杉本がトップ鈴木のテールに食らいつきプレッシャーかけて9周目に突入。1コーナーから延々とサイド・バイ・サイドの戦いを繰り広げヘアピンでついにトップを奪取する。さらにダウンヒルストレート先の90度コーナーで新倉が鈴木をオーバーテイク、鈴木はあっという間に8周守ったトップから3位まで転落。
ファイナル・ラップ、杉本は2位新倉以下を突き放すタイムでトップを守り、初めてのもてぎでのレースで優勝。このままZAP SPEED勢の1-2-3フィニッシュかと思われたが4位松澤が鈴木を90度コーナーで攻略し牙城を崩し新倉に続く3位でフィニシュ、スーパーFJ初レースで表彰台を獲得した。
■決勝後のコメント
- 優勝 8号車杉本涼(ZAP SPEED 10V ED)
- 「ミスなく自分が考えた組み立ての通りに戦うことが出来た。トップに立ってからは前だけを見て走り、刻々と変化する路面コンディションに注意を払っていた」
- 2位 18号車新倉涼介(ZAP LUCK 10V ED)
- 「レースの組み立てがきちんと出来ていなかった。シフトミスが多く追い上げが出来なかった」
- 3位 81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)
- 「初めてのレースは予想以上に難しく前半ミスが多く順位を落としてしまったのが反省点。後半は挽回できたが今回の経験を生かして次回頑張りたい。
- 4位 10号車鈴木千勝(ZAP SPEED 10V ED)
- 「8周目のミスが全て。自分の弱さが出て順位を落としてしまった」
ル・ボーセモータースポーツ不在のもてぎスーパーFJは予想通りZAP SPEED勢の強さが目立つ中、デビューレースでそこに割って入った新人松澤の活躍が今後も注目される。