FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP

FIA-FR:リージョナルレースを盛り上げるドライバー「岐路に立つ」三浦愛

三浦愛

今シーズンから始まったフォーミュラ・リージョナル選手権(全6大会14レース)も第4大会となるツインリンクもてぎ戦から後半に入った。すでにレース数としては14レースのうち8レースが終了している。

今大会で注目されたのは、ここまでシリーズリーダーだった高橋知己に代わってSuper Licenseチーム6号車のシートを得た三浦愛(みうらあい/30歳)だ。

小学生のときにカートでレースキャリアをスタートさせた三浦は、2011年の4輪レース転向後は、スーパーFJ、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)で経験を積んだ後、2014年に全日本F3にステップアップ。旧年式のNクラスで2年走り優勝も経験した後、メインシリーズで4シーズン戦った。しかし才能あふれるドライバーのなかで上位に食い込むことは難しく、悔しく苦しいシーズンを過ごした。

そして全日本F3選手権が終了し、フォーミュラピラミッドの再編が行われた今年、新たなチャレンジの場としてKYOJO CUPに参戦している。

そんなレーシングドライバーとしてのキャリアを積み上げてきた三浦もすでに30歳。レーシングドライバーとしても岐路に立っている三浦に話を聞いた。

三浦愛

今回の参戦経緯
開幕戦からフォーミュラ・リージョナルのシートを得たいと思って現場に足を運び、メカさんやエンジニアさんとも話をするなかで可能性を探っていました。私は岡山を得意としているので、何とか岡山で1戦だけでも出たいと思っていました。
そんなときに国井さん(Super Licenseチーム国井正巳代表)から今回のお話をいただき、びっくりしました。国井さんとは殆ど面識がありませんでしたし、スーパーライセンスチームは高橋選手がフル参戦するものと思っていましたので、正直可能性はないと思っていました。
ここまでの実績が証明しているように強力なサポートをいただけるチームですので、すごく良いお話をいただき感謝しています。

(補足)国井代表によると、今回のドライバー変更は高橋選手の事情によるものだという。チームとしては次の岡山大会までは三浦選手で参戦するが、最終戦のオートポリスは欠場の可能性もあるという。また今シーズンの残るレースは三浦選手以外での参戦は考えていないとのこと。

三浦愛

Fリージョナル(マシン)の感触
一昨日から走り始めました。最初は良い感じだったのですが、異なるクラスのクルマが走って路面状況が変化するなかで、その変化に対応できていないと感じました。クルマは仕上がっているので、自分がもっとクルマに慣れる必要があると思っています。
リージョナルはダラーラ(F3)と比べると機敏さはありませんが、パワーもあって正にF4とF3の中間という感じがします。
ポイントは車重とターボを如何に上手に扱うかということだと思います。車重があるのでブレーキング時の止め方、姿勢のつくり方、また加速時にターボラグがあるので、滑らせずに前に進めるためのコントロールは、これまでのF3とは随分違うと感じています。
またセッティングに関しては、触れられるところが少ないなかで上手くバランスを取るのが難しく、触る場所によって変化が出るところと出ないところもあるので、まだ掴みかねているというのが正直なところです。

三浦愛

今後(レースキャリア)のこと
正直、今シーズンF3に乗れなくなった時点で引退は近いなと思っていました。プロになれないなかでいつまでもレースを続けるのは金銭的にも厳しいですし、また続ける意味も自分のなかで見いだせなくなりかけています。
ただ、これまでフォーミュラしか知りませんでしたが、KYOJO CUPやツーリングカーにもチャレンジするなかで、やはりまだ上のカテゴリーで走りたい、上を目指したいという気持ちが自分のなかにあることに改めて気付きました。
でも、ドライバーとしての需要がないのに、自分の欲を満たすためだけに走るのでは意味がないとも思っています。走ることで誰かのためになるとかそういうことがあるのであれば、まだ上を目指してもいいのかなという気持ちもあって、正直かなり揺らいでいます。
今年与えてもらったシートで結果を残せないのであれば走る意味はないのかなと。ダラダラ続けるつもりはないので、そこは自分の実力を受け入れて判断しなければいけないと思っています。
その意味で、リージョナルで参戦する今回のもてぎと岡山は今後を決めるための非常に重要なレースだと思っています。

三浦愛

素直な人柄と笑顔が魅力的な三浦だが、言葉の端々からその表情の奥に隠された芯の強さを感じさせる。それは、今回のリージョナルにかなりの覚悟を持って参戦しているからでもあるのだろう。

「人生は選択の連続である」とは、かのシェイクスピアの名言であるが、三浦はリージョナルへの参戦を経てどのような選択をするのだろう。レース参戦に新たな意味を見出すのか、レース経験を生かした居場所を見つけるのか、レースから離れた人生を歩むのか、三浦の選択に興味津々である。

Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE


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