SUPER FORMULA

SF:第5戦オートポリス 中嶋一貴が今季初勝利! 石浦宏明が2位、小林可夢偉3位。トヨタ勢がトップ6独占 (TOYOTA)

 9月13日(日)大分県のオートポリスでスーパーフォーミュラの第5戦が行われ、3番手グリッドから抜群のスタートで首位に立った中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が逃げ切って今季初勝利。ポールポジションの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は最後まで中嶋一貴を追ったが届かず2位。3位に小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が入り、トヨタ勢が表彰台を独占。また、4位から6位にもトヨタ勢が入り、トップ6を占めた。

中嶋一貴(中央)が今季初勝利。石浦宏明(左)が2位、小林可夢偉(右)が3位に入り、TDP出身の日本人トヨタドライバー3人による表彰台独占となった

中嶋一貴(中央)が今季初勝利。石浦宏明(左)が2位、小林可夢偉(右)が3位に入り、TDP出身の日本人トヨタドライバー3人による表彰台独占となった

 スーパーフォーミュラの第5戦が9月12日(土)、13日(日)の両日、大分県のオートポリスで行われた。

 前大会もてぎから3週間、2015年シーズンのスーパーフォーミュラは後半戦、第5戦を迎えた。第5戦の舞台は九州、オートポリス。高速かつテクニカルなコースとして知られ、"ライト&クイック"なSF14にはうってつけのコースである。

 昨年のオートポリス戦は215km無給油というややトリッキーな設定で戦われたが、今年は通常通り250kmレースとして行われるため、給油のためのピットインが必須。オートポリスは他のサーキットとはピットロードの位置が違い、通常とは異なる車体左側に給油口を移動することとなり、いつもと違うピット作業となる。また、タイヤに厳しく、積載燃料の影響も大きいコースということで、ピット戦略も重要となり、白熱の一戦となることが予想された。

 今季ここまでの4戦では、トヨタエンジンが全勝、かつ全レース1-2フィニッシュを続けており、前大会もてぎも表彰台を独占。昨年のオートポリス戦も表彰台を独占したトヨタ勢の活躍に期待がかかった。

 後半戦に入った2015年シーズン、タイトル争いでは今季絶好調の石浦が第2戦で初優勝を飾った後、前大会もてぎも制し、今季ここまで唯一の2勝を挙げてランキング首位。第3戦富士を制したジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が7ポイント差の2位、1戦欠場も他の3戦全てで2位と安定したレースを続けるディフェンディングチャンピオンの中嶋一貴が3位、開幕戦優勝のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が4位で続いている。今大会を含め残り3戦、この4人によるタイトル争いの流れを占う意味でも重要な一戦となることが予想された。

予選

 12日(土)のオートポリスはやや雲はあるものの好天。気温22度、路面温度31度と秋らしい気候の下、午後2時40分よりノックアウト方式の予選Q1(20分)が開始された。

 セッション開始と共に、各車まずタイムを出すべくコースイン。中盤一旦ピットへ戻った後、残り6分ほどで再びコースへ。ここで、ロッテラーがエンジン始動に手間取りややコースインが遅れたが、そのロッテラーは、他の車両がアウトラップの後もう一周タイヤを温めるのに対し、アウトラップ翌周にアタック。トップに浮上した。

 しかし、翌周アタックに入った石浦がこれを塗り替えトップに。終盤に入ってタイムも塗り替えられていったが、好調な石浦のタイムは破られることなくセッション終了。Q1ではウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が18番手、午前中のフリー走行であまり周回出来なかった中山雄一(KCMG)が19番手でグリッド決定となった。

 予選Q2(7分間)もアウトラップ翌周にロッテラーがアタックし、そのタイムを石浦が塗り替える展開に。このQ2では、昨年3位に入っているジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)がバランスに苦しみタイムを伸ばせず、最後までアタックを続けたが11番手。ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が惜しくも9番手、アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)が12番手でQ3進出はならなかった。

 予選Q3(7分間)も、ロッテラーはセッション開始前からピットロード先頭に並び、スタート共にハイペースでアウトラップをこなすと、翌周アタック。他車が本格アタックに入ると、中嶋一貴、小林がこのタイムを塗り替えていったが、ここまでの予選Q1、Q2共にトップタイムの石浦が、最終セクターでリアをスライドさせながらも、小林をコンマ4秒近く上回る圧倒的なタイムでトップに。

 その後のタイム更新はなく、石浦が今季3度目、前戦もてぎに続き2戦連続となるポールポジションを獲得した。

 小林は2番手で最前列に並ぶこととなり、今季デビューしたスーパーフォーミュラでの自己最高位グリッド。中嶋一貴が3番手、ロッテラーが4番手でスタートの得意なトムス勢が2列目に並ぶこととなった。トヨタエンジンは予選トップ4を独占。

 平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が6番手、昨年2位に入った国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が7番手から明日の決勝に臨むこととなった。

決勝

 13日(日)も好天に恵まれ、気温20度、路面温度27度とややひんやり感じるコンディションで、午後3時にフォーメーションラップが開始され、決勝レース(54周)のスタートが切られた。

 スタートでは、2列目イン側の中嶋一貴が好ダッシュを決め、1コーナーまでにポールポジションの石浦のイン側をつくと、首位を奪取。小林がこれに続き、スタートでややホイールスピンさせ遅れた石浦が3位、ロッテラーが4位、平川が1台かわして5位。後方では11番手グリッドのオリベイラが一気に5つポジションを上げ、平川に続く6位へとジャンプアップを果たした。

 しかし、4位のロッテラーはスタート時フライングと判定され、ドライブスルーペナルティで後退。

 首位の中嶋一貴が逃げる一方、序盤燃料少なめの作戦で、ポジションアップを狙った小林は何とか逆転を狙うが、巧みな中嶋一貴のライン取りもあり叶わず2位で周回。その後、差は一定となり、首位中嶋一貴、2位小林、3位石浦は、それぞれ2秒ほどの差で、4位以下を引き離しながらも膠着状態で中盤戦へと進んでいった。

 後続勢は早めのピットイン作戦を採っていったが、上位勢では、29周目に小林がまずピットイン。給油でやや時間がかかったが、タイヤを4本交換してコースへ復帰。ハイペースで上位との差を詰める作戦に出たが、ペナルティで後退していたロッテラーに追いつくと、これをかわせないまま周回を重ねざるを得ない状況となってしまった。

 一方、逃げる中嶋一貴と石浦はピットを引っ張り、燃料が減ってきた中盤過ぎにはペースアップ。45周終了時点で中嶋一貴と石浦が同時にピットへ向かった。

 ここで中嶋一貴はタイヤを交換せず、給油のみでピットアウトしたのに対し、石浦はフロとタイヤ2本の未交換という奇策に。ほぼ同じピット停止時間で、順位も変わらないままコースへと復帰。石浦はペースを上げきれなかった小林をかわし、2位へとポジションを上げた。

 2位に浮上した石浦は、ピットアウト直後こそ替えたフロントタイヤのウォームアップでタイムが落ちたものの、タイヤが温まるとペースを上げ、摩耗したタイヤで苦しみながら首位を逃げる中嶋一貴を猛追。ピットアウト直後には3秒以上あった差をじりじり詰め、残り3周での2台の差は0.7秒に。

 しかし、詰められた中嶋一貴も、温存していたオーバーテイクシステム(OTS)を使いペースアップ。石浦とOTSを使い合いながらのバトルとなったが、中嶋一貴は翌周その差を僅かに広げ、約1秒の差を保ってファイナルラップへ。

 中嶋一貴は最後までタイヤをマネージメントし、差を保ったままトップでチェッカー。今季、出場した3戦全てで2位に終わっていたディフェンディングチャンピオンが、ようやくシーズン初勝利を挙げ、ランキングも2位へと浮上した。

 終盤、ペースでは勝っていたものの届かなかった石浦は惜しくも2位。しかし、ポールポジション獲得での1点を加える、着実なポイント獲得で、2位と7ポイント差でのランキング首位の座を守った。

 燃料とピット戦略で惜しくも順位を落としたものの、小林は3位でフィニッシュし、今季2度目の表彰台を獲得。6番手スタートから粘り強く上位での走行を続けた平川が4位で続き、トヨタの若手ドライバー育成プログラムTDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)出身のドライバーがトップ4を占める結果となった。

 オリベイラが5位。9番手スタートながら、一番最後までピットを引っ張り、終盤も見事な追い上げを見せたロシターが6位に入り、トヨタエンジンがトップ6を独占した。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

今季初勝利を挙げた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)

今季初勝利を挙げた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)

惜しくも2位に終わったがランキング首位は守った石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)

惜しくも2位に終わったがランキング首位は守った石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)

初めてのコースで3位フィニッシュを果たし、今季2度目の表彰台を獲得した小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)

初めてのコースで3位フィニッシュを果たし、今季2度目の表彰台を獲得した小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)

スタートではポールポジションの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)と3番手グリッドから好ダッシュを決めた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)、2番手グリッドの小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)が首位争いを展開した

スタートではポールポジションの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING #38)と3番手グリッドから好ダッシュを決めた中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)、2番手グリッドの小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)が首位争いを展開した

PETRONAS TEAM TOM'S 1号車 ドライバー 中嶋一貴:
 「非常にタフなレースだった。タイヤ交換については、小林(可夢偉)選手がが4輪交換をしたと聞き、どうするかチームと相談していた。こっちが先に動いたら、相手は逆のことをしてくるだろうということで、ピットタイミングを引っ張るだけ引っ張った。自分達がタイヤを換えれば、相手は換えないだろうと考えたが、クルマの感じからすると、我々には前後どちらか2輪を換えるという選択肢はなく、4輪換えるか換えないかという選択しかなかった。しかし、あの終盤まで引っ張ったら、換えないのが最良だと思った。石浦(宏明)選手が前だけ換えたと聞いて、大丈夫かなと思ったが、予想以上に彼は速く、もし彼が4輪換えていたら厳しかったかも知れない。優勝はしたが、ランキングトップとのポイント差はあまり縮まらなかったなというのが正直な感想だ」
P.MU/CERUMO・INGING 38号車 ドライバー 石浦宏明:
 「今週はずっと良い流れで来て、今朝のフリー走行もフルタンクでも速かった。唯一スタートだけが反応は良かったもののホイールスピンを喫してしまい、その間に両側から挟まれる形で抜かれてしまった。スタートで前に行かれても、色々と作戦は考えており、燃料が軽いクルマもあるだろうから、諦めずついて行こうと思っていた。フロントタイヤ2輪を換えるというのは自分で決めたのだが、想像以上にオーバーステアとなり、最終コーナーでスピンしかけたりと危なかった。それでも少しずつ慣れてきて追い上げたが、中嶋一貴選手はミスをせず、前には出られなかった。それでも最後まで諦めずに攻め続けたことは次戦以降に繋がると思う」
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 8号車 ドライバー 小林可夢偉:
 「オートポリスではテストで少し走っただけで、レースを戦うのは今週が初めてだった。戦略については、誕生日ということで運も味方してくれるはずで、スタートで前に出られれば勝てると思っていた。というよりスタートに賭けた部分もある。朝のフリー走行の時点でのライバルの速さを見て、勝つにはチャレンジするしかないと思った。残念ながら結果的には上手く行かなかったが、健闘したとは思う。ピットアウト後、(アンドレ)ロッテラー選手のポジションが計算外だった。あれが無ければトップに追いつけたのではないかと思っている。頑張ってくれたチームスタッフに感謝している」
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