2戦連続の表彰台を獲得したR.アンティヌッチ (C)Toyota
全日本F3選手権 第15/16戦 仙台 全日本F3第16戦で R.アンティヌッチが2位入賞 微妙な天候での予選と決勝。ルーキー池田大祐が3位表彰台を獲得 全日本F3選手権第8大会(第15戦、第16戦)「ハイランドF3チャンピオンシッ プレース」が9月11日(土)、12日(日)の両日、宮城県の仙台ハイランドレー スウェイで行われた。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。このうちトヨタ ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占めた。 2年ぶりのF3開催となる同サーキットは仙台市郊外の山間地にあり、地形を活 かした激しいアップダウンが特徴で、テクニカルな設定に加え、舗装は荒れて滑り やすい。 9日、10日に行われた練習走行ではR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トム ス3S‐GE)がただ一人コースレコードとなる1分39秒869でトップタイム。 これにチームメイトの山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)、前戦14戦 で念願の初優勝を果たした横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S‐GE)が 続き、トヨタ勢は好調を維持して予選へと臨んだ。 ◆予選◆ 11日(土)は朝から曇天で気温16度と肌寒い中、午前10時頃から霧雨が降 り出し、午前11時から15分づつ行われたF3公式予選開始時にはコースはタイ ヤ選択の微妙なハーフウエット状態となった。このため、途中でスリックタイヤか らレインタイヤに履きかえる選手が続出、ピットレーンはあわただしい雰囲気に包 まれた。 結果的に第15戦の予選は早めにレインタイヤを装着してタイヤを暖めた選手が 上位に並ぶこととなり、柴田裕吉(DTM/トヨタ・トムス3S‐GE)が初ポー ルポジションを獲得。池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S‐GE) が3番手、横溝直輝が4番手グリッドを獲得した。 続く第16戦のセッションには全車そろってレインタイヤを装着。R.アンティ ヌッチが序盤いきなり52秒台のトップタイムを記録してリード。その後終盤に向 けて次々とベストタイムが塗り替えられる激戦となり、6周目にトップタイムを出 した池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S‐GE)が初ポールポ ジションを獲得。コースアウト車両に阻まれた横溝直輝が2番手、中嶋一貴(トム ス/トヨタ・トムス3S‐GE)が3番手で続いた。 ◆第15戦決勝◆ 予選後も天候は回復せず、第15戦の決勝レースは霧雨の中、午後3時18分に スタートを切った。ポールポジションの柴田裕吉はスタートを失敗。横に並びかけ た2位の池田大祐と絡んで1コーナーでコースアウト、リタイア。 この間隙にJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)が首位に立ち、7番手 グリッドから好スタートを切ったR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トム ス3S‐GE)が2位で首位攻防戦を展開。同じくスタートの混乱の中、R.アン ティヌッチが4位、中嶋一貴が5位、番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE) が6位までポジションを上げて序盤戦を開始した。 その後もR.クインタレッリはJ.P.デ・オリベイラを追うがじわじわと離さ れて首位逆転はならず。一方、タイヤの摩耗で後半ペースの苦しくなった中嶋一貴 を番場琢が果敢に追い詰め、16周目に4位に躍進。 17周のレースはR.クインタレッリが2位、R.アンティヌッチが3位で表彰 台を獲得。番場琢は12番手スタートからの見事な追い上げで4位と気を吐き、中 嶋一貴も5位でフィニッシュを果たし、続く第16戦へと期待を繋いだ。 ◆第16戦決勝◆ 12日(日)も朝から霧雨が降る不順な天候。気温19度、路面は完全に乾かな い不安定なコンディションの下でスタートを迎えた。初のポールポジションから池 田大祐は好スタートを決め、トップで1コーナーへ。 しかし、2位の横溝直輝は濡れた路面でホイールスピンを喫した上、1コーナー 進入時に姿勢を乱してポジションを落とし、予選5番手のR.アンティヌッチが僅 差の3位で周回を開始した。 トップを逃げる池田大祐は8周目の1コーナーでJ.P.デ・オリベイラの先行 を許し2位へとポジションダウン。さらに、13周目にはR.アンティヌッチが池 田大祐を捉えて2位に浮上し首位を逃げるJ.P.デ・オリベイラを追うが、すで に間隙は開いており逆転かなわずフィニッシュ。R.アンティヌッチは2戦連続入 賞を果たした。また、池田大祐は3位でルーキーイヤーながら2度目の表彰台を獲 得した。 --------------------------------------------------------------------------- トヨタ・チームトムス R.アンティヌッチのコメント: 第15戦3位、第16戦2位と連続表彰台に上がることが出来たが、本来なら優 勝出来るだけのポテンシャルを持って臨んでいただけに、残念だ。だが、今回の結 果でシリーズポイント争いは僅少差の戦いになった。今シーズン、残された4戦も これまで通りベストを尽くしてチャンピオン獲得へと全力で戦う。 インギング R.クインタレッリのコメント: 今回は不安定なコンディションの中、自分のミスで予選を失敗したのが全て。第 16戦はノーポイントに終わり、ポイントのリードも詰まってしまった。しかし、 タイトルへ向け残り4戦を全力で頑張る。 ナウモータースポーツ 池田大祐のコメント: 第16戦の予選では競い合いの中でF3では初めてのポールポジションが獲得出来、 自信につながった。第16戦の決勝序盤はペースが伸び悩み、ライバルの先行を許 したことは悔しいが、シーズンの中盤戦から調子が落ち込んでいたことを考えれば 良い結果だと思う。これを糧に今後のレースを戦いたい。 トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント: 霧雨に翻弄された予選だった。第15戦の決勝レースはタイヤの選択が明暗を分 けたが、難しいコンディションの中で中嶋君、番場君がポジションを上げるなど、 それぞれがちゃんとレースをこなしたのは評価に値する。山本君もコースアウトし てしまったが、彼らにとっては良い勉強になったと思う。一方、第16戦の決勝は スタートが全て。池田君のポールポジション獲得や、3位フィニッシュという結果 も良い自信に繋がるだろう。シリーズも終盤戦に向かうが、これまで以上に気を引 き締めて戦いに臨んでもらいたい。 --------------------------------------------------------------------------- 第15戦 リザルト 順位 No. ドライバー エンジン チーム タイム/差 周回 予選 1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) ホンダ(M-TEC MF204C) M-TEC 32'57.031 17 2 2 4 R.クインタレッリ(イタリア) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 12.647 17 7 3 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 14.602 17 10 4 36 番場 琢 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 45.709 17 13 5 8 中嶋一貴 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 48.291 17 8 6 32 小早川済瑠 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 50.714 17 6 7 14 柳田真孝 ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 51.312 17 11 8 12 F.カルボーン(ブラジル) ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 51.696 17 14 9 2 武藤英紀 ホンダ(M-TEC MF204C) TODA RACING 52.362 17 5 10 3 横溝直輝 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 1'27.119 17 4 第16戦 リザルト 順位 No. ドライバー エンジン チーム タイム/差 周回 予選 1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) ホンダ(M-TEC MF204C) M-TEC 41'03.042 24 4 2 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 11.648 24 5 3 33 池田大祐 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 21.585 24 1 4 3 横溝直輝 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 22.529 24 2 5 8 中嶋一貴 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 23.080 24 3 6 36 番場 琢 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 24.136 24 7 7 2 武藤英紀 ホンダ(M-TEC MF204C) TODA RACING 24.760 24 6 8 7 山本左近 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 25.243 24 8 9 12 F.カルボーン(ブラジル) ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 35.215 24 12 10 32 小早川済瑠 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 48.233 24 10 ドライバーズポイント (第16戦終了時での有効得点:暫定) 順位 ドライバー名 エンジン ポイント 1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 201 2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 191 3 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 159 4 横溝直輝 トヨタ・トムス 149 5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 104 6 番場 琢 トヨタ・トムス 104 8 山本左近 トヨタ・トムス 76 ※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効