Rd.4 Suzuka [ MILLION CARD CUP RACE Round2 SUZUKA ] 1994.5.22 (1) 《サーキットの情景》 ---------------------------------------------------------------------------- ■最後の戦い Text/福田 陽一(Yoichi Fukuda) チーバーがついに最後のアタックに出る。周回数21周目の事だ。アピチェラはス タートと同時にレースの全てを掌握していた。そのレース展開はチーバーには、とて も届かない様に見えた。それでもレースは終わってみるまでは“何が起こるか分から ない”。幸いチーバーのマシンはレース後半になって調子を取り戻していた。 チーバーは21周目に自身では始めて1分46秒台のタイムを記録する。更に23 周目に46秒388を記録し、中盤アピチェラとの7秒近い間隔を6秒台までに縮め る。翌周その差は5秒09に、26周目には5秒01、27周目には4秒70と明ら かにその差は詰まっている。他車が47秒台の攻防を繰り返している時、チーバーと アピチェラは46秒台の高度で静かなバトルを行っていたのだ。 そして、のこり7周となったところで、アピチェラがペースアップを開始した、 チーバーも時を同じくしてアタックを強める。28周目にチーバーが46秒372を 記録するとアピチェラが46秒306と僅かに上回ってくる。そして翌周チーバーは 46秒020とコンマ3秒も速いタイムを叩きだしたにも関わらず、アピチェラは 45秒858という信じられないタイムを突きつけてきたのだ。チーバーには決定的 な敗北だった。 “最後の戦い”はこの瞬間に終わった。 結果的には、全てがアピチェラ中心に動き、彼の戦略の当たったレースだった。彼 の言う「グッド・スタート」がレースの全てだったかも知れない。チーバーとの“最 後の戦い”も彼の戦略の一部だったのかも知れない。たとえ見かけ上は、何のことは 無いパレードレースだったとしても、ボク達はそこに何とも“凄まじい男達の戦い” があったことを見逃してはならない。 ---------------------------------------------------------------------------- ☆ 詳しいレースの模様は、 (2)《F3000レースレポート》をご覧ください。 ---------------------------------------------------------------------------- 文/福田 陽一(NBG01300)