1992年11月16日 -1992年全日本F3000選手権シリーズ第11戦(最終戦)- レースを4位でフィニッシュするも、タイトル獲得は成らず 前回のレースで6位に入賞し、1ポイントを獲得したことでシリーズチャンピオンへ の可能性を残したプロミス&レイナード・レーシングチームとドライバーのロス・チー バーは、ラストチャンスに掛けるべく、最終戦の鈴鹿へと臨んだ。 [11月14日:予選] 青空の広がる鈴鹿サーキット。予選は、午前中と午後に40分ずつ設定されている。 1回目の予選は、前夜の降雨でコース上に濡れた部分が残ったため、ほとんどのチー ムがタイムアタックを午後の2回目で実施する構えだ。プロミス&レイナード・レー シングチームも、他チームと同様に2回目の予選にすべてを掛けることを決定する。 この予選へ向けて、チーバーはたいへんリラックスしていた。「調子はまずまずだと 思う。明日がもっと良い日になることを望んでいるよ」と笑顔で話す。そして、いよ いよ2回目の予選が開始となった。約15分程が経過したころマシンに乗り込んだチー バーは、1分44秒499のタイムを出す。この時点では、トップの服部尚貴選手に 0.1秒遅れの2番手のタイムだが、チーバーはまったく意に介さない。メカニック 達に「マシンはOK」のサインを送る。他のドライバーがさらにタイムアップする中、 予選終了10分前に再びマシンに乗り込んだチーバーは、終了間際に1分42秒93 4のベストタイムを叩き出し、今季6回目のポールポジションを獲得したのであった。 [9月26日:決勝] 早朝に行われるフリー走行では、不運にもチーバーのマシンにクラッチトラブルが発 生し、コースを周回することができなかった。そして決勝レースのスタートを迎え、 シグナルは赤から青へ。鋭くダッシュを決めようしたポールポジションのチーバーだっ たがしかし、激しいホイールスピンを喫し、マシンが思ったほど前へ進んで行かない。 その間に、フロントロー2番グリッドに並んでいた服部選手がチーバーをパス。服部 選手の先行を許したチーバーだったが、3番手の黒沢琢弥選手以降を従え、ファース トラップは2番手でメインスタンド前を通過した。トップに立った服部選手は序盤か らハイペースで逃げ、チーバーとのリードを広げていった。「朝のフリー走行を走れ なかったのでレースセッティングが十分煮詰まらず、アンダーステアが強く厳しいレー スとなった」と、チーバーは話す。レースは、最終戦にふさわしく序盤より白熱した バトルが展開され、チーバーはコーナーで3位黒沢選手の激しいアタックを受けなが らも、レイナードの直線スピードの速さを生かし、2位を死守する。ところが、21 周目の130Rでついに勝負に出た黒沢選手に先行されてしまう。以後3位のポジショ ンをキープし、チェッカーを目指すが、ラスト2周、4位につけていたトーマス・ダ ニエルソン選手にマシンをヒットされ、バランスを失う。ダニエルソン選手はそのま まコースアウト、チーバーは絶妙のコントロールでマシンを立て直すが、その間に5 位につけていたH・H・フレンツェン選手に先行され、結局4位でのフィニッシュと なった。 ド ラ イ バ ー & チ ー ム 監 督 コ メ ン ト ●ドライバー/ロス・チーバー(Ross Cheever) チームのみんなは大変頑張ってくれた。それでもレース中は走るたびにマシンのア ンダーステアが強くなってしまい、苦しい戦いをすることになった。精一杯頑張った んだんけど、チャンピオンには届かなかったよ。僕は、何としてもチャンピオンを取 りたい。まだ最終的な決断をしていないけれど、来年もまた日本で走ることになれば、 今度こそチャンピオンを取りたいと思っている。みなさん、この一年間どうもありが とう。 ●チーム監督/本間勝久(Katsuhisa Honma) 残念でしたね。朝のフリー走行を走れず決勝レースへのセッティングが完璧でなかっ たのが惜しかったです。シーズンを通してみなさんに応援していただきましたが、今 ひとつ、力が及ばなかったということでしょうか。1年間応援をありがとうございま した。 レースデータ ●開催日/11月14日(予選)~15日(決勝) ●開催地/鈴鹿サーキット(三重県):1周5.86403km ●主催者/株式会社鈴鹿サーキットランド、鈴鹿モータースポーツクラブ(SM SC) ●観客数/予選日:15,000人/決勝日:46,000人 ●天 候/予選日:晴れ、21℃/決勝日:曇り、15℃ [シリーズポイントランキング] 1位 :マウロ・マルティニ 35点 2位 :鈴木利男 30位 3位 :ロス・チーバー 29点 4位 :フォルカー・ヴァイドラー 26点 5位 :黒沢琢弥 21点 服部尚貴 21点 7位 :ローランド・ラッツェンバーガー 19点 8位 :エディ・アーヴァイン 17点 アンドリュー・ギルバート・スコット16点 10位:マルコ・アピチェラ 13点 11位:パウロ・カルカッシ 11点 12位:星野一義 10点 トーマス・ダニエルソン 10点 14位:ハインツ・ハラルド・フレンツェン 5点 ミカ・サロ 5点 16位:和田 久 2点 小河 等 2点 19位:リカルド・ライデル 1点 和田孝夫 1点 古谷直広 1点