全日本F3000

CABIN:F3000 Rd.9プレスリリース

1991年全日本F3000選手権                 1991年10月2日
RACE INFORMATION                            キャビン・レーシングチーム事務局
      第9戦「ミリオンカードカップROUND3鈴鹿」
           台風去って王座が近づく
        勝負をかけた星野、惜しくもリタイヤ
          金石、F3で初優勝を飾る
        星野一義 予選A組3位 決勝リタイヤ
        片山右京 予選B組1位 決勝 2位
 チェッカー旗をくぐり抜けた瞬間、片山右京は選手権ポイント6点を追加し、
全日本F3000選手権チャンピオンの座に向けて大きな一歩を踏み込んだ。残る
は3戦。念願の王座は目前だ。
 1991年全日本F3000選手権・第9戦「ミリオンカードカップROU
ND3鈴鹿」が、9月28日(土)29日(日)三重県鈴鹿サーキットで開催され
た。キャビン・レーシングチームは、このレースに星野一義、片山右京の陣容
で参戦した。
<体制>
 キャビン・レーシングチームwithインパル
  ドライバー:星野一義
  監督   :金子 豊
  マシン  :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限)
 キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
  ドライバー:片山右京
  監督   :田中 弘
  マシン  :ローラT91-50/DFV(Tカー ローラT90-50/DFV)
<マシン>
 星野は従来通りのローラT90-50/無限を用いる。前後ウィングを鈴鹿仕様
に戻した他は、大きな変更点はない。片山は、このレースより'91年型シャシ
ーであるローラT91-50を実戦に投入。こちらは、フロントウィング翼端板に
ボーテックス・ジェネレータを取り付け、リヤカウル形状を変更するなど、
空力性能改善の他、サスペンション・ジオメトリーの見直し、車体の軽量化な
どの変更が加えられている。
<公式予選>
 心配された台風19号は前夜のうちに中部地方を通過し、公式予選はドライコ
ンディションで行なわれた。A組から出走の星野は、1回目の予選セッション
開始後15分、1セット目の予選用タイヤを装着して最初のタイムアタックにか
かった。記録は1分48秒072。A組の首位に立つタイムである。
 その後星野はピットで待機に入ったが、ロス・チーバー選手が星野のタイム
を更新したのを確かめて、2回目のタイムアタックを決意。2セット目の予選
用タイヤを装着してコースインした。セッション終了直後、星野は1分47秒484
を記録してチーバー選手を逆転、A組首位の座を取り戻した。
 しかし、星野がコントロールラインを通過する直前、コース上で発生したア
クシデントのためセッションは赤旗で中断されていた。残念ながら星野の2回
目のタイムは無効となってしまった。
 B組から出走の片山は、セッションが始まると同時にコースに飛び出してそ
のままタイムアタックに入り、1分46秒887を記録してB組の首位に立った。
このタイムはセッション後半、中谷明彦選手によって更新されたが、片山は2
セット目の予選用タイヤを装着して再度タイムアタックを敢行。1分46秒398
を記録して再びB組の首位を奪回した。
 星野、片山とも1回目のセッションで2セットのタイヤを使い果たしてしま
ったが、星野は2回目のセッションに既に使用したタイヤを装着してタイムア
タックに出撃した。しかし、1コーナーで前のマシンにひっかかって記録更新
ならず。逆に小河等選手が午前中の星野を上回るタイムを記録したため、星野
はA組3位へと後退せざるをえなかった。
 一方片山も使用済みタイヤを装着して走行するが、ポールポジション奪取は
確実とみて、早々に走行を打ち切っている。
星野 一義:1分48秒072 A組3位
「午前中のセッションは、2セットのタイヤを投入して賭けていた。だから2
回目の記録が無効になったのは痛いし、納得がいかないよ。後ろで起きた話な
んだし、あれはセーフだと思う。午後は、1回使ったタイヤだったけれど、タ
イムを更新する自信はあったんだ。だけど、1コーナーで前のクルマにひっか
かってしまった。3列目では、情けないし恥ずかしい。でも、今回の決勝はチ
ャンピオン争いの上でも大きな意味があるレースだから、勝負を賭けなくちゃ
ね。もう、がむしゃらにいくしかないな」
片山 右京:1分46秒395 B組1位(ポールポジション)
「けして納得いく走りではなかったんですが、結果的にポールが取れて嬉しい
です。スプーンの路面があまり良くなかったこともあって、タイヤを滑らせす
ぎてしまったんです。それで、予想したほどのタイムが出なかった。今回から、
ローラT91に切り替えるわけですが、まだT91は勝利を知らないシャシー
ですよね。そういう意味で不安はあるんだけれど、チームがきっといいマシン
に仕上げてくれる、と信頼しています。決勝レースでは天気も良くなって路面
温度も上がるでしょうから、タイヤの消耗に気をつけて、うまくペース配分し
なければいけないでしょう。ロス(チーバー選手)のペースに乗せられないよ
うに、と考えています」
<決勝レース>
 決勝レースの序盤は荒れ模様だった。スタート合図の瞬間、うまく飛び出し
たのは片山の横、フロントロウ内側に並んでいたチーバー選手だった。片山は
外側から並びかかろうとするが、結局1コーナーはチーバー選手のものとなり、
片山は2位につけることとなった。
 3列目からスタートの星野はピットロード側へ進路をとって好ダッシュ、小
河選手をかわすことに成功、ダニエルソン選手に続く6位につけた。
 ところが、1周目を終える直前のシケインで波乱が起きた。コーナリング中
に姿勢を崩したダニエルソン選手を避けようとして星野がコースを飛び出して
しまったのだ。星野の乗ったマシンはシケイン脇のサンドトラップに入り込ん
でしまい、走行不能に陥る。好スタートをきって上位進出を狙っていた星野の
レースは、思いがけない結末を迎えてしまった。
 片山は、チーバー選手の背後にピタリとつけて戦いを進めた。しかし、なか
なかチーバー選手の隙を突くことができない。コーナーでは圧倒的に速いもの
の、勝負どころのストレートでは逆にチーバー選手のスピードが勝っているの
だ。
 片山は21周目のメインストレートでチーバー選手の背後からアウト側に出
た。その直後に今度はイン側に切り替えしたものの、チーバー選手に旨く押え
られてしまう。その後も何度かチーバー選手攻略の構えを見せたものの、結局
2位のままレースを走りきってチェッカーを受けた。2位入賞によって片山に
は選手権ポイント6点がもたらされた。8戦(第8戦の決勝は悪天候のため順
延されている)を終えた時点で、この6点は大きい。優勝を飾ることはできな
かったものの、片山は王座争いで大きな意味のある結果を挙げたのである。
星野一義:リタイヤ 0周
「何も言いたくないほどに落胆している。決勝では絶対の自信があった。ポイ
ントは、レースの序盤だと思っていたので、朝のウォームアップではそれを想
定した満タンのセッティングを確かめた。決勝スタートもまずまずだったし、
これはいける、と感じていた。けれど、シケインで前のクルマが姿勢を崩して、
それを避けようと外側に逃げようと思ったらマシンが滑り出してコースの外へ
飛び出してしまった。まったく、残念だよ。こうなったら、選手権ポイントを
どうこう言わずに、残りのレースを勝ち続けるしかないな。まだ諦めたわけじ
ゃないよ」
金子豊監督
「富士のレースは雨で流れるわ、今度の予選では赤旗でタイムが無効になるわ、
決勝ではこんなことになるわ、ツキがまったくないね。でも、3回悪いことが
続いたから、もう悪いことはないだろう。今回無得点は正直なところ痛い。け
れども痛いと言っているだけでは仕方がない。残り、勝ち続けますよ。そのた
めにはローラT91を使うことも考えていかなければならないだろう」
片山 右京:1時間05分08秒136 2位
「朝のウォームアップで、チーバー選手のマシンが決勝でかなり辛そうだ、と
いう情報を得ていたので、待っていたほうがいいと思って彼の後ろにつけてい
た。でも、結局走りきってしまいましたね。結果論だけれども、序盤にチーバ
ー選手の前に出られなかったのが敗因でしたね。21周目の1コーナーでは勝
負をかけるつもりで外側に飛び込んだ。でも、コースの外側にはタイヤカスが
いっぱいあって、危ない状況だったので切り替えしてイン側に向かったんです。
ぼくの動きにつられてチーバー選手が動けば、その隙を突くつもりだった。で
も、彼は冷静でしたね。とにかく今日はうまくやられてしまいました」
田中弘監督
「スタート前、特に順位についての指示はしなかった。相手は星野になると想
定していたし、チャンピオン争いの事を考えると、彼の前に出るしかないわけ
だから。うちのT91はコーナーで圧倒的に速い。スタートで首位に立ってさ
えいれば、ぶっちぎりで優勝できるはずだったんだ。順位についてはラスト2
ラップくらいで初めて『P2』のサインを出した。6点を確保しろ、という意
味です。我々の目的はもちろん優勝することだけれども、王座をとるというも
っと大きな目標がありますから」
 今回、同時開催された全日本F3選手権・第10戦にキャビン・レーシング
チームから金石勝智が参戦した。金石は予選でB組首位のタイムを出し、決勝
レースでもフロントロウ内側から好ダッシュ、ポールポジションからスタート
した高村選手を押えトップに立った。金石はそのまま17周を走りきり、スタ
ート・トゥ・フィニッシュでF3レース27戦目(ノンタイトル戦含む)で初
優勝を果たした。そして選手権ポイント9点を追加した事で、既に王座を決定
しているカルカッシ選手に続くシリーズランキング2番手に浮上した。
金石 勝智:優勝 33分26秒311
         (ファステストラップ 2分4秒703)
「フロントロウだし、マシンの調子も良かったし『今日は絶対に勝つんだ』と、
朝の3時位から目が覚めちゃったんですよ。スタートでちょっとホイールスピ
ンさせてしまったんですが、僕の方がイン側にいたので、なんとか高村選手を
押さえる事が出来ました。もう大丈夫だ、と思ったのはラスト2周位ですね。
とにかく、やっと勝つ事が出来ました。残りのレースでも頑張りますよ」
 全日本F3000選手権のタイトル争いは、ポイントリーダーの片山が6点を加
え34点となり、2番手の星野とのは差は10点となった。10月26日(土)、
10月27日(日)に富士スピードウェイで開催される第10戦において、片
山が優勝して9点を追加し、星野が7位以下で無得点となった場合には両者の
差は19点となり、2戦を残して片山のシリーズチャンピオンが決定する事に
なる。
**CABIN Racing Team Office/寺倉茂雄**


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