<<<< CABIN Racing Team Press Release ================================== 1991年全日本F3000選手権 1991年5月15日 RACE INFORMATION キャビン・レーシングチーム事務局 第4戦「日本信販スーパーカップ Rd.1 西日本オールスターレース」 水煙の中の混乱 キャビンアロー、序盤で消える 星野一義 予選B組4位 決勝リタイヤ 片山右京 予選A組2位 決勝リタイヤ 高まる水煙とともに始まった決勝レースは、スタート直後から混乱に陥った。 その混乱の中に、2台のキャビン・アローも取り込まれてしまった。戦いはま だこれからのはずだった。 1991年全日本F3000選手権・第4戦が5月11日(土)、12日(日) に山口県・MINEサーキットで開催された。このサーキットは昨年まで西日 本サーキットの名称で多くのレースが開催されていたが、オフシーズンの間に 大規模な改修を受け、同時にコースも全長2,8155Kmから3,23898Kmへと延 長されている。改修後、初のビッグイベントとなったこのレースに、キャビン ・レーシングチームは星野一義、片山右京の陣容で参戦した。 <体制> キャビン・レーシングチームwithインパル ドライバー:星野 一義 監督 :金子 豊 マシン :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限) キャビン・レーシングチームwithヒーローズ ドライバー:片山 右京 監督 :田中 弘 マシン :ローラT90-50/DFV(Tカー ローラT91-50/DFV) <マシン> 星野、片山ともに第3戦に引き続きローラT90-50を用いる。星野車には今回 より国産新型のラジエターを採用。片山車は、ブレーキの負担軽減のために前 後ブレーキ・エアダクトを拡張する改造を受けている。 <公式予選> 公式予選1回目、路面にはコースサイドの土砂が入って路面状態は悪かった。 予選A組の片山は1セット目の予選用タイヤを装着して早々にタイムアタック。 1分13秒984を記録してA組首位に立ち、ピットで待機に入る。セッション残り 10分となったとき、マルティニ選手が片山のタイムを更新。片山は1セット目 の予選用タイヤで再度タイムアタックに出撃するが、タイム更新はならなかった。 一方、B組から出走した星野は、荒れたコースにマシンの操縦性が適合せず、 1分14秒743のタイムに留まり、このセッションを7番手で終えている。 午後、片山は2セット目の予選用タイヤでタイムアタックに入り、マルティ ニ選手を上回る1分13秒230を記録してA組首位の座を奪回した。しかし、セッ ション終盤、中谷選手がさらにそのタイムを更新。逆転を期して片山は再びコー スイン、タイムアタックを行なったが、1分13秒552に留まり、惜しくもフロン トローを逃すこととなった。 星野は2セット目の予選用タイヤを装着、1分14秒196を記録してまずB組午 後のベストタイムを記録する。しかし、期待された2回目のタイムアタックで そのタイムを短縮することができず、不本意なB組4位で予選を終わってしま った。 星野 一義:1分14秒196 B組4位 「午前中のセッションではコースに砂が浮いていてコンディションが悪かった。 それでひどいアンダーステアが出てしまい、まともなタイムアタックができな かったんだ。午後は対策を施して、いけるはずだったんだが、今度は遅いクル マにひっかかってしまった。12秒台に入る自信はあったんだがなあ。決勝は雨 になるらしいね。グリッドの位置は悪いけれど、雨になればテクニックの差が でるから、チャンスもめぐってくるだろう」 片山 右京:1分13秒230 A組2位 「なかなか一番前に並べませんね。とにかく今日はひっかかりまくりました。 とくに1コーナー。ピットアウトしてくるマシンに前を塞がれてしまうんです よ。くやしいけれど、これはもう運だから仕方がないですね。ここは抜きにく いサーキットだから、決勝は厳しいでしょう。でも、がっちりポイントを取り にいきますよ。そのためにはスタートの1コーナーをうまく切り抜けないとね」 <決勝レース> 決勝レースは天気予報通りウェット・コンディションとなった。一時は上が っていた雨が、フォーメーションラップが始まる頃には再び強まり、状況は悪 化していた。スタート合図とともにコースには水煙が立ち上った。その中、星 野、片山ともに好ダッシュ。片山は3位、星野は5位で1周目を走り始めるこ ととなった。 コースの各所では中谷選手、小河選手、ラマース選手、和田選手ら有力ドラ イバーが次々にアクシデントを起こして脱落、決勝レースは荒れ模様となった。 星野と片山は連なって上位につけ、前方を狙う構えだ。しかし、4周を終えて ピット前を通過するはずの2台のキャビン・アローが帰ってこない。チームの 動きは慌ただしくなる。 その頃、2台はメインストレートの400Rですでにレースを終えていた。 前のマシンをかわそうとした片山がスピン、星野はそれを避けようとしてコー スアウト。一瞬のうちに2台はレース続行不能の状況に陥ってしまったのだ。 レースはまだ始まったばかり。水煙は落ちつく気配も見せず、混乱はさらに続 いたのだった。 星野 一義:3周 リタイヤ 「直前でスピンされたものだから、避けようがなかった。こういうコンディ ションでは絶対の自信があったので残念だ。レースだから、こういうこともあ る。誰が悪いのでもないよ」 金子 豊監督 「金曜日の走行で原因不明のオーバーステアが出たため、それの対策を施し たら予選で今度はひどいアンダーステアになってしまった。コース上の砂のせ いなのかどうかわからない。でも決勝はいけるはずだった。こういうコンディ ションでの星野のテクニックは群を抜いているからね。くやしい。星野にはあ まりにもかわいそうなアクシデントだよ。」 片山 右京:3周 リタイヤ 「最終コーナーで、急に前のマシンに追いついてしまった。それで、かわそ うとしたらスピンしてしまって。星野さんには、本当に申し訳ないことをして しまいました」 田中 弘監督 「予選でフロントローに並べなかったのは、こういうコースなんだから仕方 がないところだろう。しかし決勝はドライバーのミスだ。気持ちばかりが先に 行って、こういう荒れ模様のレースを、まとめあげる力が不足している。まだ まだですね、右京は」 星野、片山ともにシリーズ・ポイントを重ねることができなかった。しかし、 シリーズランキング上位のライバル達も脱落したため、結果的に星野はシリー ズ1位、片山はシリーズ2位の座を守り通したまま、混乱の第4戦を終えてい る。 **CABIN Racoing Team事務局/PAH00337/寺倉茂雄**