全日本F3000

CABIN:富士F3000プレスリリース

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1991年全日本F3000選手権                 1991年4月17日
RACE INFORMATION                    キャビン・レーシングチーム事務局
  第3戦「CABINインターナショナルフォーミュラカップレース」
           はじめの一歩
       星野、今季初勝利でポイントリーダーへ
       星野一義 予選B組1位 決勝優勝
       片山右京 予選A組2位 決勝9位
 2回の公式予選を通して余裕を見せていた星野の表情が、決勝レース前のフ
リー走行を終えたとき、緊張した。コンディションの変化により、ギヤレシオ
にわずかながら不満が生じたのだ。「決勝までに組み直そう」チームは急遽マ
シンに飛びついて作業にとりかかった。「絶対にこのレースは勝つ」星野の意
気込みは完全を求め、チームはそれに応えるためにパワーを全開にした。すべ
ては、勝利を得るために動き始めていたのだ。
 1991年全日本F3000選手権・第3戦「CABINインターナショナ
ルフォーミュラカップレース」が、4月13日(土)14日(日)静岡県・富士ス
ピードウェイで開催された。キャビン・レーシングチームは、このレースに星
野一義、片山右京の陣容で参戦した。
<体制>
 キャビン・レーシングチームwithインパル
   ドライバー:星野一義
   監督   :金子 豊
   マシン  :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限)
 キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
   ドライバー:片山右京
   監督   :田中 弘
  マシン  :ローラT90-50/DFV(Tカー ローラT91-50/DFV)
 <マシン>
 星野は、ドライバーのヘルメット後方から直接エンジンへ空気を導入するよ
うにローラT90-50のリヤカウルを改造した。これにより、エンジンの出力は
5パーセント程度向上した。
 片山は、新たにローラT91-50をTカーとして搬入した。しかし、このマシン
での走行テストはまだ行なわれていない。なお、このマシンのシャシー番号は
29である。
 星野、片山ともに富士スピードウェイ用の低ダウンフォース仕様リヤウィン
グを装着している。
<公式予選>
 富士スピードウェイの天候は、第一回目の予選セッションを前に崩れようと
していた。予選A組から出走の片山は、天候がさらに悪化することが予想され
たため、予選タイヤを2セットともこのセッションに投入。走行後に水で冷却
して左右を交換することで、1セットにつき2回ずつのタイムアタックを行な
った。結果は従来のコースレコードを破り、マウロ・マルティニ選手に次ぐA
組2位であった。
 予選B組から星野が出走する頃には細かい霧雨が落ち始めていた。星野は、
路面コンディションが悪化する前にタイムを出そうと、コースインするや早速
タイムアタックにかかる。こちらも1セットにつき2回ずつのアタックを行な
い、やはり従来のコースレコードを破るB組のベストタイムを記録した。
 午後の2回目のセッションは完全なウェットコンディションとなったが、星
野、片山ともに雨用セッティングを確認するためにコースイン。だが片山はこ
のセッションが濃霧のために打ち切られ、タイム計測がなされなかった。一方、
星野はここでもベストタイムを記録し、万全の体勢を証明して見せた。
星野一義:1分16秒722 B組1位
「マシンもエンジンもタイヤも完璧だ。今年初めてのフロントローだし、絶対
勝たなければいけないね。残念だったのは、2セット目の2回目のアタック。
100Rまでは、自分で信じられないほど完全だった。うまくいけばぶっちぎ
りのタイムが出るはずだったんだけど、ヘアピンで突っ込みすぎてミスしちゃ
ったのでアタックを打ち切ったんだ。あれは、ぼくの責任だ。みんなに悪いこ
としたよ。だから決勝ではその分頑張るから。もう何も心配はない、明日はき
っと勝つ」
片山右京:1分17秒018 A組2位
「うまく16秒台にのせたかったのですが、ちょっと悔しい結果です。1回目
のアタックの時にはちょっとマシンを滑らせ過ぎてしまいました。それを直し
てアタックを続けたんだけど、結果的には力がおよびませんでした。でも2列
目ですから、明日はもちろん狙っていきますよ。決勝はマルティニ選手と星野
選手、そしてぼくの戦いになるでしょうね」
<決勝レース>
 レースのすべては、決勝のスタートにあった。星野は見事なスタートダッシ
ュを見せ、1コーナー進入までにポールポジションのマルティニ選手に決定的
な差をつけて首位に立った。一方片山はマルティニ選手の背後につけて好ポジ
ションを確保した。
 星野は、その後周回毎にマルティニ選手を引き離す。片山は、マルティニ選
手の隙を慎重に伺いながら、4位以降との間隔を広げていく。レースは片山の
予言通り、星野、マルティニ、片山の三つ巴の戦いとなった。
 片山は11周目の1コーナーで意を決したようにマルティニ選手に襲いかかり、
2位へと進出。キャビン・アローの1-2フォーメーションを築くこととなっ
た。しかし、この直後片山のマシンのブレーキ系にトラブルが発生して片山の
ペースが落ちる。14周目の1コーナー手前で片山はマルティニ選手に抜き返さ
れ、その後後方からの追撃にあって、徐々に順位を落としていった。
 星野は、周回毎に着々とマルティニ選手との差を開き独走体制を固めていく。
スタートで飛び出し、独走に持ち込むいわゆる「星野流」のレース運びである。
星野はそのまま危なげなくゴールを迎えた。彼は今季初の優勝を告げるチェッ
カーフラッグを腕を挙げながら受けた。2位には松本選手が入賞、ウィニング
ラップに入った星野に並びかかって祝福の合図を送ってきた。星野は、これに
応えて、確約していた表彰台の頂上へ近づいていった。
星野一義:1時間00分09秒320 優勝
 「第1戦、第2戦と自分では満足できないレースが続いたから、ガレージに
通って今までのデータを全部見直して何が悪いのかを検討した。勝つためには
どんなことでもするつもりだった。そういう小さな積み重ねの結果が出ました
ね。勝つためにスタッフ全員が団結した結果ですよ。序盤、右京君が2位に上
がってくるのがバックミラーで見えたから、いい相手が上がってきたぞ、と思
っていた。マルティニ選手は、あれくらいでフライングをとられて、ちょっと
かわいそうだったね。ぼくは、絶対フライングするまい、青信号が出るまで加
速するまいと、気をつけていたんだ。負けると、『星野はこれでおしまいか』
ってすぐに言われるけど、ぼくはまだまだやるよ。これからなんだ。自分のガ
レージでメンテナンスするようになってから記念すべき初勝利だからね。これ
からギンギンに頑張るよ」
金子 豊監督
 「フリー走行を走ってみると、コンディションの変化のためでしょうが、1
コーナー手前でリミッターに当たってしまうことがわかったんです。それで、
直前ではあったけれどギヤレシオを変更することに決めた。決勝直前だったか
ら不安はもちろんあったけれど、スタートでうまく加速できなかったら話にな
らないでしょう。短時間でスタッフがよく働いてくれましたよ。とにかくシー
ズン1勝目があげられてほっとした」
片山右京:1時間00分59秒627 9位
 「スタートでちょっと失敗してしまいました。それでも、3位に落ちついて
マルティニ選手を見たら、苦しそうに走っているのがわかったから余裕が出て
ね。じっくり構えて抜いてやろう、と思っていたんだけど前を見たら星野さん
が離れていきそうだったので、あそこで勝負をかけた。思いきり突っ込んでフ
ルブレーキングして2位。それで、さあいくぞ、星野さんを追いかけるぞ、と
思ってBコーナーにさしかかったら、前のブレーキがおかしい。ハードなブレ
ーキングがトラブルを誘発したのかもしれませんね。なんとか頑張っていれば
ポイントがこぼれ落ちて来るかと思ってたんだけど、駄目でした。後半は練習
走行になっちゃいましたね」
田中 弘監督
 「今日は、ブレーキトラブルがすべて。あの状態でよく走ったと、ドライバ
ーを誉めるよ。マシンの直線スピードは抜群だったし、何もなければおもしろ
いレースになったはずだったんだが。まあ11戦もあれば、1戦くらいこんな
レースもあるだろう。次の鈴鹿のタイヤテストから、やり直しだ」
 今回の勝利で、星野はトップフォーミュラカーレース(F2000、F2を含む)
112レース目にして35勝目を記録した。またシリーズランキングでも9点
を追加、15点となり星野が1位となった。12点の片山が2位となり、チャ
ンピオン争いでキャビン・レーシングチームが1-2フォーメーションを作る
こととなった。
<91年全日本F3000選手権ポイントランキング表>
 (ドライバー部門)
1  2 3 4 5 6 7 8 9 10  11 合 有
鈴 オ  富 美 鈴 菅 富 富 鈴 富 鈴  計  効
|                                      ポ  ポ
ト                                      イ  イ
ポ                                      ン  ン
 鹿  リ 士 祢 鹿  生  士  士  鹿  士  鹿  ト  ト
Pos ドライバー     ス
-------------------------------------------------------------------
1   星野一義    0  6  9                                  15  15
2  片山右京  9 3  0                                  12  12
3   小河 等    6  1  4                                  11  11
4   中谷明彦    0  9  0                                  9  9
5  松本恵二  0 0 6                 6 6
5   J・ラマース      4  0  2                                  6 6
7   M・マルティニ     1  4  0                                  5 5
8  関谷正徳    3  0  0                                  3 3
8  J・クロスノフ   0 0 3                 3 3
10   J・ハーバート    2  0  0                                  2 2
10   E・アービン     0  2  0                                  2 2
12   黒沢琢弥  0 0 1                 1 1
※ポイントは各レース、1~6位に9-6-4-3-2-1の各点が与えられる。
 上位8レースの合計を有効ポイントとし、これによりシリーズ順位が
 決定される。同点の場合は上位入賞回数の多い方を優先する。
※JAFの競技規則に基づき、当チームが集計したものです。
**CABIN Racing Team事務局/PAH00337/寺倉茂雄**


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