SUPER GT

SGT:第7戦富士決勝 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢組)が予選12番手から今季初優勝 (HONDA)

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  • 2009年9月13日(日)決勝
  • 会場:富士スピードウェイ(4.563km)
  • 天候:予選/曇りのち雨、決勝/晴れ
  • 気温:27℃(14:00現在)
  • 路面温度:40℃(14:00現在)
  • 決勝レース:66周(301.158km)
  • 観客:3万3000人(主催者発表)

 9月13日(日)、静岡県・富士スピードウェイにおいて、2009 オートバックス SUPER GT第7戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。

 今シーズンも残り3戦を残すのみとなったSUPER GTシリーズでは、チャンピオンシップ争いのドライバー部門において、#18 道上龍/小暮卓史組が計40ポイント(トップと8ポイント差)の6位、#8 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組が計33ポイントの9位。チーム部門で#18 TEAM YOSHIKI&童夢PROJECTが計56ポイント(トップと8ポイント差)の4位、#8 オートバックス・レーシング・チーム・アグリが計45ポイントの10位につけている。

 12日(土)に開催された公式予選は天候に恵まれず、ウエットコンディションでの争いとなった。決勝グリッドが8台のマシンによって争われるスーパーラップにおいて、#32 ロイック・デュバル/中山友貴組(EPSON NSX)が1分46秒111のタイムを記録し、Honda NSX-GTが今シーズン初のポールポジションを獲得した。#8 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組(ARTA NSX)は2番手タイムを獲得するものの、前戦でマシンが炎上した影響でエンジン交換を強いられたために、10グリッド降格の12番手となった。#18 道上龍/小暮卓史組(ROCKSTAR 童夢 NSX)が7番グリッド、#100 井出有治/細川慎弥組(RAYBRIG NSX)は8番グリッド、#17 金石年弘/塚越広大組(KEIHIN NSX)は9番グリッドから決勝レースを迎えることとなった。

 13日(日)の決勝日は一転して快晴となったため、気温は27℃まで上昇し、路面温度も40℃という前日とは全く違うコンディションとなった。3万 3000人の観衆が見守る中、総勢37台(GT500クラス計15台)のマシンは、午後2時3分にローリングスタートを切り、300km(66周)のレースが始まった。

 スタート直後の1コーナーで、ポールポジションスタートのL.デュバル選手(#32 EPSON NSX)が2台に抜かれた直後にスピンを喫し、最下位までポジションを落としてしまう。オープニングラップは、#100 RAYBRIG NSXの井出選手が7位、12番手から好スタートを切った#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手が9位、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの道上選手が11位、#17 KEIHIN NSXの金石選手が13位、#32 EPSON NSXのL.デュバル選手が14位を走行する。

 4周目には、#8 ARTA NSXと#18 ROCKSTAR 童夢 NSXが6-7位に浮上した。9位に後退した#100 RAYBRIG NSXは、コースアウト時にマシンフロントに芝生が詰まったために水温が上昇し、5周終了時に緊急ピットインを敢行。修復してコースに復帰するものの大きく出遅れることとなった。

 7周目に1分37秒441のタイムを記録し、自己ベストラップを更新しながら走行する#8 ARTA NSXは、R.ファーマン選手のアグレッシブな走りで順位を上げて13周目には3位へ浮上する。3位のR.ファーマン選手は、序盤で離されていたトップ2 台のマシンに徐々に迫り、19周目には2位を走行するマシンの背後にまで追いついた。20周目のヘアピンコーナーで2位に浮上し、約2秒先を走行するトップへの追い上げを図る。

 22周終了時に、接触によるタイヤホイールのトラブルにより11位に後退していた#18 ROCKSTAR 童夢 NSXが先陣を切ってピットインを敢行。32秒1のピット作業を終えて第2ドライバーの小暮選手がコースに復帰した。

 怒とうの走りをみせる#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手は、25周目にトップのマシンに追いつき、最終コーナーでインを奪って前に出ると、26周目のホームストレートで押さえ込んでトップに浮上した。

 前日が天候に恵まれなかった影響で、各車が決勝用のタイヤ選択とセッティングに悩まされていたが、的確なセットアップをみつけた#8 ARTA NSXは、レース中盤に入ってもペースを落とさずに走り続け、予選12位からスタートしてトップを独走する展開となっていく。

 29周を終えた時点で、#8 ARTA NSXは2位に2秒600のタイム差を広げ、トップのままで32周終了時にピットインを敢行した。

 #8 ARTA NSXは、36秒6のピット作業を終えて第2ドライバーの伊沢選手がコースに復帰したが、アウトラップでペースが上がらない状態で抜かれたために2位へ後退する。しかし、伊沢選手はトップの背後につけて落ち着いた走行を続ける。

 残り30周となった36周終了時点で、2位に#8 ARTA NSXの伊沢選手、素早いピット作業を行った#17 KEIHIN NSXの塚越選手が5位に浮上、9位に#32 EPSON NSXの中山選手、10位に#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの小暮選手、13位に#100 RAYBRIG NSXの細川選手が走行する。

 トップの背後に迫っていた伊沢選手は38周目にトップを奪回し、再び#8 ARTA NSXがレースをリードする。さらに伊沢選手は、ペースを1分37秒台にまで上げて独走態勢を築いていく。

 #8 ARTA NSXと2位の差は49周終了時で4秒251まで広がる。伊沢選手は速いペースで安定した走りを続けていく。4位に浮上した#17 KEIHIN NSXの塚越選手も1分37秒台のタイムを刻みながらトップ3を追い続けていく。#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの小暮選手も8位に浮上している。

 伊沢選手は、55周目に1分39秒台にペースを落とし、2位との約5秒差を確認しながら確実にトップを守る走りをみせる。

 #8 ARTA NSXは、エンジン交換による10グリッド降格のペナルティを受けながらも、決勝のドライセッティングをだれよりも見事に仕上げ、66周を走りきって見事にトップでチェッカーフラッグを受けた。この勝利は、#8 ARTA NSXの2人とNSX-GTにとって今シーズン初優勝となるとともに、伊沢選手にとっては、SUPER GTでの初優勝となった。#17 KEIHIN NSXは4位、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXは8位、#32 EPSON NSXは9位、#100 RAYBRIG NSXは12位となり、NSX-GT全車が完走を果たした。

 この結果、シリーズタイトル争いでは、ドライバー部門においてR.ファーマン選手/伊沢選手が計53ポイントの3位、小暮選手/道上選手が計43ポイントの6位となった。チーム部門では、#8 オートバックス・レーシング・チーム・アグリが計68ポイントで3位、#18 TEAM YOSHIKI&童夢PROJECTが計62ポイントで5位につけている。

コメント
白井 裕(Hiroshi Shirai)|NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
 「今シーズンNSX-GTにとっての初優勝を飾ることができました。ありがとうございます。いつもご声援をいだたいているファンの皆様には、大変お待たせいたしましたが、NSX-GTの速さを印象づけることができ、うれしく思っています。 今回の32号車は、予選での雨の難しいコンディションの中、見事にポールポジションを獲得してくれただけに、決勝スタート直後のアクシデントは非常に残念でした。8号車は予選2番手のタイムでしたが、前戦のアクシデントによるエンジン交換のために12番手からのスタートでしたので厳しい戦いを予想していました。しかしながら、ファーマン選手が決勝のドライ路面でも見事なセッティングを見つけ出したことが勝因となったのだと思います。また、SUPER GTでの初優勝になる伊沢選手も、後半のスティントで安定した走りを見せてくれました。この優勝でドライバーとしてさらに成長してくれることを期待しています。また前戦のアクシデントから短期間でマシンを修復したチームスタッフの努力には頭が下がる思いです。そのがんばりも今回の優勝につながったのかも知れません。 この勢いでチャンピオンシップ獲得を目指し、残り2戦とも勝つつもりでおりますので、引き続きNSX-GTへのご声援をお願いします」
ラルフ・ファーマン選手(優勝 #8 ARTA NSX)
 「今シーズンは、SUGOや鈴鹿など優勝のチャンスが何回もありながらかないませんでしたので、本当に最高の気分です。今朝のフリー走行で、ハードコンパウンドのタイヤと燃料満タンの状態で感触がよかったので、可能性は感じていました。予選12番手からのスタートでしたが、コース後半のセクションで速く走ることができたために、順位を上げることができました。私のスティントは40周くらいを予定していたのですが、攻めていたこともあり早めのドライバー交替となりました。残り2戦のタイトル争いは、次戦のオートポリスで上位とのギャップを3~4ポイントに縮めることができれば、最終戦のもてぎで逆転タイトルを獲得できるのではないかと考えています。オートポリスともてぎの2コースはNSX-GTにとって得意なサーキットなので、いい勝負ができると思います。最後まであきらめずに戦いますので、応援をお願いします」
伊沢拓也選手(優勝 #8 ARTA NSX)
 「優勝の実感がなくて、どこまで喜んでいいのか分からないのが正直な感想です。明日になれば、もっとうれしい気持ちになるのかなと思います。ラルフの走りを見て、マシンの仕上がりがいいのは分かっていました。今までは、リアタイヤ2本のみ交換する作戦を選んでいたのですが、僕がうまく乗りこなせていなかったので、今回は自信を取り戻すために全4本交換をお願いしました。交替直後のアウトラップでトップを奪われてしまいましたが、ペースもよかったので不安もなく落ち着いて走ることができました。トップを取り返してから、このまま走れば優勝は間違いないだろうと思っていましたが、残り5周あたりから緊張してきて少しリズムを崩してしまいました。でも、スティント中ずっと無線で土屋圭市さんから的確な指示があったので、最後まで落ち着いて走りきることができました。昨年のオートポリスでも、重いウエイトを積んで3位を獲得しているのでチャンスは大きいと思います。残りの2戦はなにも考えずに全力を尽くして走ることがタイトル獲得への近道だと思います」
Text & Photo: HONDA


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