SUPER GT | SUZUKA 1000km

SGT:第5戦鈴鹿決勝 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志組)が7位入賞 (HONDA)

  • 2012年8月19日(日)・決勝  会場:鈴鹿サーキット(5.807km)  天候:晴れ  気温:30℃(14:30時点) 路面温度:45℃(14:30時点)  コースコンディション:ドライ  観客:3万5500人

 8月19日(日)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて、2012 オートバックス SUPER GT第5戦「第41回インターナショナル ポッカ1000km」の決勝レースが行われました。

gt120819001L.jpg  伝統の1000kmレースとして本大会が開催されるのは4年ぶりのこと。一方、鈴鹿地方の空模様は、青空が広がっているものの、朝のうちはまだところどころに暗い雨雲が浮かんでおり、午前8時から30分間にわたって行われたフリー走行も、前半は雨のためウエットコンディションとなりました。そのあと、この雨が一部止んだため、セッション終盤になってようやくスリックタイヤを使用できるセミウエットコンディションまで回復しました。

 今朝のフリー走行では#32 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴組)が2分3秒643をマークして5番手につけたほか、#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志組)は7番手、#18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム組)は8番手、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)は12番手、#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)は13番手となりました。

 173周で行われる決勝レースに、#17 KEIHIN HSV-010は6番グリッド、#18 ウイダー HSV-010は10番グリッド、#8 ARTA HSV-010は12番グリッド、#32 EPSON HSV-010は13番グリッド、#100 RAYBRIG HSV-010は14番グリッドから臨みます。

 スターティングドライバーは、#17 KEIHIN HSV-010は塚越選手、#18 ウイダー HSV-010は小暮選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手、#32 EPSON HSV-010は道上選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手が務めます。

 午後0時30分に1周のフォーメーションラップを実施。そのあと、ローリングスタートにより決勝の火ぶたが切って落とされました。5台のHSV-010 GTは順調にスタートを切り、#17 KEIHIN HSV-010は6番手、#18 ウイダー HSV-010は11番手、#32 EPSON HSV-010は12番手、#8 ARTA HSV-010は13番手、#100 RAYBRIG HSV-010は14番手となってオープニングラップを終えました。

 今回は1000kmの長丁場を確実に走りきるため、5名のHondaドライバーは、速いペースを保ちつつも、燃費にも配慮したドライビングを試みながら周回を重ねていきました。むやみにペースを上げることにより、レースを通じたピットストップの回数をいたずらに増やすのではなく、給油回数とラップタイムのバランスを最適化したペースで走行する作戦です。それでも、ライバルたちにトラブルが襲いかかったことで、15周目の段階で#17 KEIHIN HSV-010は5番手、#18 ウイダー HSV-010は9番手、#8 ARTA HSV-010は10番手、#32 EPSON HSV-010は11番手、#100 RAYBRIG HSV-010は13番手と、そろって順位を上げることに成功しました。

 23周目にはライバルの1台が早々とピットストップを行いましたが、5台のHSV-010 GTはコンスタントなペースで走行する作戦が功を奏し、そろってピットストップの先延ばしに成功。32周目には3番手まで浮上した#17 KEIHIN HSV-010を筆頭に、#18 ウイダー HSV-010は6番手、#8 ARTA HSV-010は7番手、#100 RAYBRIG HSV-010は9番手、#32 EPSON HSV-010は13番手につけました。

 Honda勢で最初にピットストップを行ったのは#8 ARTA HSV-010の33周目。タイヤ交換、給油、そしてファーマン選手から小林選手へのドライバー交代を終え、コースに復帰していきます。同様にして、#100 RAYBRIG HSV-010と#32 EPSON HSV-010は34周目、#17 KEIHIN HSV-010は35周目、#18 ウイダー HSV-010は36周目にピットストップを行いました。これに伴い、ドライバーはそれぞれ伊沢選手から山本選手、道上選手から中山選手、塚越選手から金石選手、小暮選手からヴァン・ダム選手に交代しました。

 今回のレースは173周で競われるので、最初のピットストップを30周過ぎまで引き延ばすことができれば、1000kmを4回のピットストップで走りきれる計算になります。裏を返せば、これより早くピットストップを行ったライバルは合計5回のピットストップを行わなければならないと想定されるので、ピットストップに伴うロスタイムが長くなり、結果的にHonda勢が上位に進出できる可能性が広がります。

 しかし、この直後#32 EPSON HSV-010を走らせる中山選手がS字コーナーでコースアウト。マシンにダメージが及んだため、あえなくリタイアとなりました。

 残る4台のHSV-010 GTは順調に周回を重ね、55周の段階で#17 KEIHIN HSV-010は4番手、#8 ARTA HSV-010は8番手、#18 ウイダー HSV-010は9番手、#100 RAYBRIG HSV-010は10番手につけます。ピットストップするタイミングの兼ね合いで多少順位の変動はありましたが、Honda勢は全般的に順調にレースを戦っており、表彰台を含む上位入賞を果たすと期待されました。

 59周目、小林選手が乗る#8 ARTA HSV-010は、GT300車両の1台と接触。この責任を問われ、30秒間のペナルティストップを科せられることになり、後退を余儀なくされました。

 61周目に事故処理のためセーフティカーが導入されると、GT500車両の多くがピットストップを実施。Honda勢では#17 KEIHIN HSV-010と#18 ウイダー HSV-010がここでピットストップを行う一方、#8 ARTA HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010はコース上にとどまるステイアウトの作戦を選択しました。

 そして82周目、安定したペースで周回を重ねてじわじわと順位を上げていた#17 KEIHIN HSV-010がついにトップに立ちました。しかし、同じ周回に#18 ウイダー HSV-010の右リアタイヤがパンク、ピットまでのスロー走行を余儀なくされて10番手へと後退します。一方、#100 RAYBRIG HSV-010は76kgの重いハンディウエイトを積みながらもコンスタントなペースで走行する作戦により、7番手まで浮上していました。ペナルティストップを消化した#8 ARTA HSV-010も10番手に後退したものの、後半の追い上げを目指して周回を続けていきます。

 93周目、首位を走行し、2番手との差を徐々に広げていた#17 KEIHIN HSV-010の右リアタイヤが突然パンク。塚越選手のコントロールによりコースアウトは免れましたが、大きくペースを落としてコースをほぼ1周してからピットインし、タイヤ交換と破損したボディカウルの応急処置を行ってコースに復帰しました。この影響で、#17 KEIHIN HSV-010は8番手まで順位を落としてしまいますが、走行を再開すると次第に順位を取り戻し、99周目には7番手、106周目には5番手、111周目には4番手とばん回していきました。

 98周目には山本選手が乗る#100 RAYBRIG HSV-010がピットインします。他車と接触してラジエターにダメージを負っており、この修復作業を行う必要があったからです。チームはおよそ40分をかけて修復を完了、#100 RAYBRIG HSV-010は11番手となって走行を再開しました。

 120周目の段階で、Honda勢のトップは4番手の#17 KEIHIN HSV-010。まだレースは53周を残していたので、表彰台も十分に狙えるポジションです。さらに#8 ARTA HSV-010は8番手、#18 ウイダー HSV-010は9番手につけており、ポイント獲得を目指します。#100 RAYBRIG HSV-010は引き続き11番手を走行しています。

 レース序盤からアクシデントやトラブルなどの波乱が数多く起き、多くのマシンが脱落を余儀なくされる中、HSV-010 GTのステアリングを握るHondaドライバーは、レース終盤の追い上げを期して懸命の走行を続けていました。しかし、157周目に#17 KEIHIN HSV-010を走らせる塚越選手は130Rでライバルの1台を豪快にパスし、順位を3番手に上げた直後、右リアタイヤが再びパンク。コントロールを失ってしまいます。マシンはスピン状態に陥ってウオールにヒット。HSV-010 GTの頑強な構造に守られた塚越選手が重大な負傷に至らずに済んだのは不幸中の幸いでしたが、周囲に部品が散乱したため、再びコース上にはセーフティカーが導入されました。

 レースが再開された161周目、Honda勢のトップはファーマン選手がドライバーを務める#8 ARTA HSV-010の7番手。これに小暮選手が乗る#18 ウイダー HSV-010が8番手で続きます。ラジエターの補修後は順調に周回を重ねている#100 RAYBRIG HSV-010は11番手で走行。結局、3台のHSV-010 GTはこのままの順位でチェッカーフラッグを受け、#8 ARTA HSV-010は7位、#18 ウイダー HSV-010は8位、#100 RAYBRIG HSV-010は11位となりました。また、結果的に#17 KEIHIN HSV-010も周回した156周が勘案されて完走扱いとなり、10位と認定されました。

 この結果、チャンピオン争いのドライバー部門において、合計38点を獲得している#100 伊沢/山本組(RAYBRIG HSV-010)は4位、#18 小暮/ヴァン・ダム組(ウイダー HSV-010)は34点で5位、#17 金石/塚越組(KEIHIN HSV-010)は計24点で10位、#8 ファーマン/小林組(ARTA HSV-010)は10点で14位となりました。

 優勝は#1 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)でした。

 一方、GT300クラスでは、前日の予選で参戦2戦目にして初のポールポジションを獲得した#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐組)が、ライバルの追撃により徐々に順位を落としながらもコンスタントに周回を重ねていきました。150周目の段階でポイント獲得圏内の9番手につけていましたが、駆動系に関連するトラブルが発生したために走行を断念。結果的に11位完走と認定されました。

 次戦は9月8日、9日に、富士スピードウェイで開催されます。

松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー
 「レース途中まではすべて作戦通りに進行し、表彰台が十分に狙える展開でした。ところが、レース中盤にかけて不運が襲いかかり、#17 KEIHIN HSV-010と#18 ウイダー HSV-010は上位入賞のチャンスを逃してしまいました。#17 KEIHIN HSV-010を運転していた塚越選手は、レントゲン撮影などを行った結果、骨などに異状のないことが確認されましたので、次戦には問題なく出場できると思います。多くのファンのみなさんにご心配をおかけしたことをお詫びします。結果的に望むような成績は収められませんでしたが、チャンピオン争いを繰り広げるライバルたちも上位入賞を逃しているので、ダメージは最小限にとどめることができたと思います。残り3戦もタイトル奪還を目指して戦いますので、よろしくご声援のほど、お願い申し上げます」
ラルフ・ファーマン(7位 #8 ARTA HSV-010)
 「とても長くて苦しいレースでした。今年の前半戦はマシンのトラブルを解消できずに苦戦してきましたが、この問題も解決され、今回のレースでは力強いペースで走行することができました。ただし、不運なアクシデントが起こり、ペナルティを科せられたのは残念でした。ペナルティさえなければ4位となっていたかもしれません。結果的に7位となりましたが、例年であれば決して満足できないはずのこの成績が、苦戦続きだった今年に限ってはとても大切なものに思えます。いずれにせよ、マシンは好調なので、次戦の富士では表彰台を目指して戦います」
小林崇志(7位 #8 ARTA HSV-010)
 「個人的に1000kmを走ることが初めてだったので、まずは大事に走ることを心がけました。マシンの状態もよく、快調なペースで追い上げのレースを展開できていましたが、接触してペナルティを科せられてしまい、チームに迷惑をかけました。予選、決勝を通じて手応えはあったものの、結果に結び付けられませんでした。ただ、マシンのポテンシャルは高く、全体を通じていいラップで走れているので、現状をしっかりと分析し、次戦ではもっと上位を狙います」
Text & Photo: HONDA


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース