SUPER GT

SGT:第2戦富士 脇阪寿一/石浦宏明組LEXUS SC430が逆転で富士を制す! (TOYOTA)

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チームに久しぶりの勝利をもたらした
DENSO KOBELCO SC430 39号車の石浦宏明(左)と脇阪寿一(右)

 SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」が5月3日(木)、4日(金)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。

 恒例のゴールデンウィーク開催となった富士での第2戦は、2008年以来4年ぶりに500kmと長丁場での開催。2回のピットインとドライバーチェンジが義務づけられた。

 今大会にはレクサスチームからGT500クラスに6台のLEXUS SC430が出場。GT300クラスには1台のトヨタ プリウスが出場した。

 今大会、PETRONAS TOM'S SC430 36号車のロイック・デュバルが海外のレースに出場するため、中嶋一貴のパートナーとしてリチャード・ライアンが36号車をドライブすることとなった。

◆予選◆

 3日(木)は午前中の公式練習走行から雨に見舞われ、午後1時からの予選1回目、午後2時半からのスーパーラップ共にウェットコンディションで行われた。今季より、スーパーラップ方式の予選は規則が変更され、予選1回目は一人のドライバーのアタックで順位を決め、上位10台がスーパーラップへ進出。スーパーラップは予選1回目とは異なるドライバーがアタックし、トップ10グリッドを決定する。

 予選1回目はDENSO KOBELCO SC430 39号車の脇阪寿一が4番手。ENEOS SUSTINA SC430 6号車の伊藤大輔が5番手。36号車のライアンが6番手。開幕戦で勝利を飾り、40kgのウェイトハンデを積むZENT CERUMO SC430 38号車は平手晃平が駆り8番手でスーパーラップに進出。

 WedsSport ADVAN SC430 19号車(荒 聖治)が12番手、公式練習走行中にスピンを喫し車両にダメージを負ったKeePer Kraft SC430 35号車は、何とか修復してアンドレア・カルダレッリが予選に出走したが、15番手でスーパーラップ進出ならず、グリッドが確定した。

 スーパーラップは、予選1回目の順位の逆順アタックで、徐々に路面コンディションが良くなっていく状況の中、3番手出走の38号車の立川祐路、5番手出走の36号車の中嶋がそれぞれトップタイムを塗り替えて行った。続いてアタックした6号車の大嶋和也は、中嶋のタイムを0.8秒も上回る好タイムでトップに浮上。昨年春の富士大会でポールポジションを獲得している、39号車の石浦宏明が続いてアタックしたが、0.013秒大嶋に及ばず。

 その後、大嶋のタイムも僅差で破られ、惜しくもポールポジション獲得はならなかったものの、6号車は最前列2番手、39号車が3番手の好グリッドを獲得。36号車が5番手、38号車が6番手で3列目に並んで決勝に臨むこととなった。

 GT300クラスでは、唯一のハイブリッドGTレーシングカーとして注目を集めるapr HASEPRO PRIUS GT 31号車が、海外のスーパーカーを相手に見事スーパーラップに進出し、8番手グリッドを確保した。

◆決勝◆

 4日(金)朝8時半からのフリー走行は、雨こそ上がったもののウェットコンディションで行われた。その後コンディションは回復し、決勝前のウォームアップ走行の時点では路面は完全にドライとなっていたが、車両がグリッドに並んでスタートを待つ間に雨が降り始め、各車難しい判断を強いられる中、セーフティカーの先導で全車スリックタイヤのまま走行を開始した。

 セーフティカー走行下の1周目にいきなり36号車がピットインし、レインタイヤに交換。セーフティカー走行が続いた翌周には、雨脚が強まったため他の大半の車両もタイヤ交換のためにピットへ向かい、ピットレーンは大混乱。ピットに入らずコース上に残った数台の後方に36号車が続く形となり、その後方はピットでの作業で順位が大きく変動することとなった。

 2周目を終了した時点でセーフティカーが戻ると本格戦がスタート。中嶋の駆る36号車は、スリックタイヤのままの前走車を一気にごぼう抜きし、首位に浮上。これに大嶋の6号車と立川の38号車が続き、SC430が1-2-3体制となった。しかし、5周目の1コーナーで38号車はコースオフを喫し後退。  36号車、6号車が1-2で逃げる後方では、スタート直後の混乱と接触で一度は12位まで順位を落とした石浦の39号車が目覚ましい追い上げを見せ、10周目には4位までポジションアップ。

 まもなく雨は止んで路面は乾いていったため、14周目には39号車、15周目には36号車がピットへ向かい、スリックタイヤに交換。1周早くピットに入りタイヤを暖めた39号車は、ピットアウトしたばかりの36号車をパス。レインタイヤのまま走り続ける車両を除くグループでの首位に浮上した。

 17周目にピットインした6号車は、ピットアウト時に他車と交錯しペナルティを受けることとなり、また、ピット作業違反も取られて大きく後退してしまった。

 38号車はレインタイヤのまま首位で粘り、26周目にピットイン。立川から平手へとドライバー交代を行ったが、順位は9位まで落としてしまった。

 これで首位に立った39号車は石浦がハイペースでの周回を重ね、2位の36号車との差をじりじりと広げていった。

 45周目、39号車と36号車が同時にピットインし、それぞれ脇阪とライアンにドライバーチェンジ。先のピットでドライバー交代を行っていたライバルの2台がピットを遅らせる作戦に出たため、39号車がこの2台に続く3位、36号車は1台の先行を許し5位での中盤戦となった。

 63周目、ストレートエンドでGT300車両がクラッシュ。これによりセーフティカーが入り、隊列を整え、39号車がトップ、36号車が3位で68周目に再スタート。トップと同一周回はわずか6台での争いとなった。

 首位には立ったものの、規定によりもう一回のピット作業とドライバー交代を行わなくてはならない39号車は、脇阪がベテランならではの走りで後続の猛追を凌いだが、82周目についにピットイン。翌周には36号車もピットへ。先のセーフティカー走行中に2度目のドライバー交代を終えたライバルの2台はピットに入らず走行を続けたため、石浦が最後のスティントを担当する39号車は首位に40秒差の3位、中嶋の36号車は5位でコースへ復帰した。

 残り20周となったあたりで、再び空から雨が落ち始めた。上位の2台がロングスティントでペースが落ちる中、39号車の石浦が猛烈なスパートを開始。100周を過ぎた時点でまだ30秒近くあった首位との差を、104周目には6秒差、そして残り5周で1秒差まで詰めると、続く1コーナーでついに逆転、首位を奪取した。

 39号車はその後もペースを緩めることなく、見事トップでチェッカー。サードチームに2004年セパン戦(当時はJGTC/スープラ)以来となる勝利をもたらした。石浦はGT500クラス通算3勝目。脇阪は11勝目を挙げることとなった。LEXUS SC430は開幕戦岡山に続き2連勝。

 36号車は残り2周で前走車をかわし4位。38号車が8位、6号車が10位でフィニッシュし、ポイントを獲得した。

 GT300クラスでは、31号車がレースを通してトップ10圏内でのバトルを繰り広げ健闘。終盤には前を走るポルシェをパスし、観客から大きな声援を浴びるなどの活躍を見せ、見事6位でフィニッシュ。デビュー2戦目にしてポイント獲得を果たした。

 あまり天候には恵まれなかった2日間にもかかわらず、サーキットには多くの観客が訪れ、2日間を通して8万3千人もの観客がSUPER GTの魅力を満喫した。

DENSO KOBELCO SC430 39号車 ドライバー 脇阪寿一:
去年はずっと悔しい思いをして来たので、この結果はありがたいと思っている。昨年、井口選手と石浦選手でチームを上昇ムードに持って来て、そこへ自分が加入した。チームと石浦選手に優勝させてもらったと思っており、この結果は井口選手がいても同じだったと確信している。レースは、今日は何がなんだったのかわからない。久しぶりの優勝で、本当ならドキドキするはずなのだが、とてもレースを楽しんだ自分がいる。最後の石浦の走りは、以前の相棒のアンドレ・ロッテラーを彷彿とさせる素晴らしいもので、そこにSARDのチーム力も加わった結果だと思う。
DENSO KOBELCO SC430 39号車 ドライバー 石浦宏明:
いろんな事がありすぎて、まだよくわからない状況ではあるが、まずスタートで接触がありコースアウトしてしまったため、我を忘れて走りに集中し、自分がトップだと思って走り続けた。最後のスティントでは雨が降って来て、ピットに入った方が良いのか悩んだが、ミシュランタイヤの強さが発揮でき、他のクルマよりも速いラップタイムが刻めたので、そのまま走行した。ずっと攻め続け、また(脇阪)寿一さんの走りにも助けられ、結果を出すことができて良かった。他のTDPのドライバーが活躍する姿を見て、自分の存在をアピールしたいと思っていたので、優勝できて本当に嬉しい。
Text & Photo: TOYOTA


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