全日本GT選手権

GTインサイドレポート/Fuji(1) Testday

                    AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CAR CHAMPIONSHIP
                       1998  GT INSIDE REPORT
   FUJI TEST DAY                                           25-26 March '98
   GT Inside Report             インサイドレポート               FMOTOR4版
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1998 AUTOBACS CUP全日本GT選手権
合同公開テスト第2回 富士

 開幕戦鈴鹿の余韻がさめやらない3月25、26日、富士スピードウェイにおいて、
AUTOBACS CUP全日本GT選手権の合同公開テストが行われた。

☆テスト1日目
 初日1回目の走行は、午前10時から開始された。曇りで時々太陽も雲の間から顔
をのぞかせるといった状況だが、気温は8.6度と肌寒い気候だ。
 テストは、序盤からコースレコードに迫る1分29秒連発からスタートした。そし
てNo.23 ペンズオイル・ニスモGT-Rの28秒947へ突入、さらには今回がシェイクダウ
ンのNo.100 RAYBRIG NSXもコースイン早々で28秒928のトップタイムを出し、98モ
デルの実力の片鱗をうかがわせた。No.18 TAKATA童夢無限NSXも今回が98モデルと
なり、NSX勢は4台とも98モデルとなった。このセッション約2時間の終了直前に
1分28秒079の好タイムをマークしたのは、開幕戦の覇者No.23 ペンズオイル・ニ
スモGT-Rの影山正美。2番手には1分28秒246のNo.38 FK/マッシモセルモスープラ
の竹内浩典。3番手には1分28秒263とNo.100 RAYBRIG NSXの飯田章がシェイクダ
ウンとは思えない速さを見せつけた。トップ5は、これまでのコースレコード1分
28秒625をいとも簡単に更新してしまった。トップタイムを記録した影山正美は
「まだまだ全然ですよ。他のクルマもこれからでしょうから。クルマはギアの変更
とダウンフォースぐらいで、鈴鹿からほとんど変えていません。足回りもまだい
じっていません。明日は雨かもしれないから、もうちょっといろいろ煮詰めたい。
スカイラインも、まだまだポテンシャルがあるんで、探ってる段階です。去年の
スープラとはタイムが全然違うんで、比較にならないですね」と語った。
 そして、午後のセッションは14時から開始された。10分過ぎに、No.38セルモが
1分28秒252をマークすれば、20分後にNo.100 NSXが1分27秒867とあっさり午前の
タイムを更新。正午で10.8度と気温はさほど上がらない。そして驚異の1分26秒
台、26秒919を出したのはNo.100の飯田章だった。2番手は27秒342のNo.18 NSXと、
シェイクダウンの2台が好タイム。No.18の金石勝智は「新車の感触は良いですね。
クルマの動きがしなやかで乗りやすい。(他チームがNSXが速いと言っていること
には)かなわんなでいいんじゃないですか? 不利とされてる富士で速いんですか
ら。クルマの進化でしょう。ポテンシャルが大分良くなってるんで、ここでも勝ち
を狙えると思います」と次の富士への自信をうかがわせた。また、3番手には午前
中も好タイムを出したスープラ勢トップのNo.38セルモが入った。ドライバーの竹内
は「この条件で7秒05は出たんで、本番は7秒01までは行くかもしれません。あと
はダウンフォースを減らすしか手はないんで、それぐらい追いつめられています。
レースウイークギリギリになるニューマシンに期待するしかないですね。とりあえ
ずスープラの富士のレコードは出したんですが…。対NSXは、向こうがどこが優れて
いるかはわからないですね。スカイラインは、コーナーは、向こうの方がいいかも
しれませんね。ストレートはこっちがちょっと速いでしょう。このテストを最後に
僕らも新車になります。遅い車に引っかかってこのタイムですから、7秒台は入る
でしょう。鈴鹿ほどNSXとの差はなさそうなので、スープラにも勝負権はあると思
います」と、富士でのスープラの利点を語るが、一方で活躍今季モデルの登場を期
待しているようだ。

1日目トップタイム・コメント
GT500 No.100 RAYBRIG NSX
飯田章「97と98は全然違うし、すごく乗りやすいですね。こんな楽なら鈴鹿でやり
たかった(笑)。前のクルマは動きがシビアで、クルマが暴れ回る感じがしていた
んですよ。針の先ぐらい気を遣ったほど集中して乗っていたのが、楽になりました。
今日は特に問題はないです。6秒台は楽に走れましたよ。順調にシェイクダウンは
進んでいます。何があるかわからないのがレースですが、マシントラブルになりそ
うなことはないんですが、細かいところがまだいろいろ問題があるので、きっちり
仕上げて、取れそうで取れなかった鈴鹿の雪辱にチャレンジします」

GT300 No.44 アペックスDLモモコルセMR2
新田守男「基本はギアを変えただけです。後はリアが跳ねているんで、ちょこっと
足回りを変更しました。タイムは結構出ました。JTCCぐらいじゃないんですか? 
やることは確認含めて出来ました。ただ、走っていてやらなきゃ行けないことが出
てきたんで、エンジニアの松岡さんに明日やってもらおうと思っています。良い方
向が出るかどうかですが…」


☆テスト2日目
 前日に引き続き行われた2日目の1回目の走行は、昨日と同じ午前10時から開始
された。快晴の好天に恵まれ、気温は13.2度(午前10時)と昨日よりもずいぶん暖
かい気候に恵まれた。4周目にNo.2 ZEXELスカイラインが1分29秒513をまず出せ
ば、昨日のトップタイムをマークしたNo.100 RAYBRIG NSXが1分28秒118、No.18 
TAKATA童夢無限NSXも28秒130を楽々と出す。約30分が経過して、1分27秒983と27秒
台に食い込んできたのはNo.8 FET SPORTS SUPRAだった。その後にはNo.5 5ZIGEN 
SUPRAが27秒897とさらに更新。約1時間を経過した時点で、やはりNSXの逆襲が始
まった。No.18の金石勝智が27秒635を出したのだ。さらに27秒057を21周目に金石
がマーク。No.100の飯田章も27秒877、さらには27秒136を終了近くの時間で出して
きた。昨日もスープラ勢のトップタイムを出していたNo.38 FK/マッシモセルモスー
プラの竹内浩典が意地を見せ、27秒653とスープラ勢トップを今日も死守する。さ
らに、昨年の富士では2勝しているNo.39 デンソースープラGTも、4番手の27秒747
につけた。
 午前のトップタイムを記録したNo.18 山本勝己は「満タンでの走行をしました。
シェイクダウンなんでまだまだじゃないですか。いろいろやるところがいっぱいあ
るんですが、“良い感じ”ですよ。NSXが速過ぎるというけど、ストレートはスープ
ラが全然速いし、レースは厳しいですよ。クルマの設計上コーナーは速いですけど、
NAなんでストレートはつらいです」と、富士での辛さを語る。また、このテストで
は新スカイラインGT-Rを上回るタイムを記録しているNo.38 スープラの竹内浩典は
「ダウンフォースを減らして、ギアを変えました。ギリギリをせめているんですが、
ダウンフォースの少なさで弊害は出ています。気温が昨日より上がったんで、タイ
ヤが昨日と同じだとちょっとつらいですね。反対に、昨日のタイヤだと5月のレー
スにはグリップ下げないともたないでしょう。今日は、固いコンパウンドなんでデー
タは取れています。なんとかホンダの前に出てやろうと思うんですが、なかなか行
かない。ギリギリですよ結構…」と打倒NSXの策を探っているようだ。

 午後のセッションは、昨日と同じ14時から16時までで行われた。気温は3時に13
度というところ。まず1分26秒950と、26秒台に唯一入れてきたのは、No.18 TAKATA
童夢無限NSX、2番手にはNo.38 FK/マッシモセルモスープラが27秒456、3番手には
No.23 ペンズオイル・ニスモGT-Rが27秒863となった。No.38はさらにタイムアップを
狙っていたが、Aコーナーでスピンし、マフラーが割れたため果たせなかった。一
方、No.39デンソーサードスープラGTは引き続きアタックをかけ、27秒298とスープ
ラ勢トップタイムを更新。No.18もさらなるアタックを予定していたが、こちらはギ
アボックスのトラブルで走行できなかった。このため午後のセッションは、NSXを
トップに2台のスープラが続くという結果になった。
 このテストでNSX2台に続く、スープラのトップタイムを出したNo.39 デンソー
スープラGT。今季からステアリングを握る土屋圭市は「これまでテストでじっくり
乗る機会があまりなかったんで、今日は少し走り込んだ感じだね。リアが暴れる感
じのFRはやっぱり楽しいよ。でも、一発は出るけど、勝負という意味では他のスー
プラ勢に較べてトップスピードが5km/h遅いのは辛いな。去年、サードはここで勝っ
たけど、端で見ていてタナボタって思ったからね(笑)。だから、今年は誰にも文
句言われないように勝たなきゃね(笑)」と、5月3日の本番に向け自信を深めて
いるようだった。

 なお、次戦・富士では、ルマン24時間の予備予選に重なるため、何人かのドライ
バーが変更される。このため今回のテストでも、次戦に向けてのスポット起用ドラ
イバーが参加していた。No.6 ESSO Tiger SupraのP.ラファネルに代わり、No.27 
TFCJフェラーリF355GTに乗っていたにA,オロフソンが、No.23 ペンズオイル・ニス
モGT-RはE.コマスに代わってラルフ・ファーマンが、No.50 ARTAスカイラインは本
山哲に代わって、No.21 ダンロップ-BP-BMWの加藤寛規がドライブしていた。
 そして、なんとNo.2 ZEXELスカイラインの影山正彦に代わっては、昨年スープラ
でチャンピオンとなったペドロ・デ・ラ・ロサが乗ることになり、今日のテストに
も参加していた。


2日目トップタイム・コメント
GT500 No.18 TAKATA童夢無限NSX
山本勝己「昨日からじゃなく結構走り込んでいるクルマですから。1セットの新品
タイヤで見に行ったんですが、クリアラップ取れて2、3周でポンと出た一発のタ
イムです。金石さんが行ったらもっと良いタイムが出たはずです。昨日に比べてク
ルマも大分良くなった良い感じですね。5月はもっと暑くなるんで、目標タイムは
やってみないとわからないでしょう」

GT300 No.44 アペックスDLモモコルセMR2
新田守男「午後はクラッチトラブルみたいで午前の34秒197がベストですね。不安残
るところはいろいろ出ているんですが、タイヤの安定性とかダンパーとか気になる
ところはあって、ラストまで走りたかったですね。直ってくれればいい感じになる
と思います」


☆走行タイム・データ
1998 AUTOBACS CUP全日本GT選手権
GTC合同テスト第2回 富士スピードウェイ                    3月25,26日
                                     天候:25日・晴/ドライ、26日・晴/ドライ
                                   Time
Po. No.  Machne                    3/25 AM    3/25 PM    3/26 AM    3/26 PM
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1  100   RAYBRIG NSX               1'28.263   1'26.919*  1'27.136   1'28.808
2   18   TAKATA童夢無限NSX         1'28.864   1'27.342   1'27.057   1'26.950*
3   39   デンソーサードスープラGT          1'29.698   1'28.238   1'27.747   1'27.298*
4   38   FK/マッシモセルモスープラ           1'28.246   1'27.588   1'27.653   1'27.456*
5   64   Mobil1 NSX                1'28.516   -         1'28.009   1'27.541*
6   23   ペンズオイル・ニスモGT-R          1'28.079   1'27.784*  1'28.349   1'27.863
7   36   カストロール・トムス・スープラ          1'29.014   1'28.265   1'28.790   1'27.839*
8    5   5ZIGEN SUPRA              1'29.543   1'28.192   1'27.897   1'27.884*
9    2   ZEXELスカイライン               1'29.225   1'28.506   1'27.939   1'27.909*
10   8   FET SPORTS SUPRA          1'28.835   1'28.379   1'27.983*  1'28.411
11  16   Castrol無限NSX            1'29.351   1'27.992*  1'28.811   1'28.060
12  37   カストロール・トムス・スープラ          1'28.531*  1'28.964   1'29.212   1'29.247
13   6   ESSO Tiger Supra          1'30.229   1'29.680   1'28.547*  1'28.948
14   3   ユニシアジェックススカイライン          1'30.905   1'29.589   1'29.844   1'28.803*
15  50   ARTAスカイライン                1'29.511   1'29.320   1'29.281   1'29.242*
16  13   エンドレスGTR                 1'33.300   計測出来ず 1'31.328   1'31.234*
17  30   綜警PORSCHE               1'31.663*  1'32.396   1'32.413   1'31.814
18  44   アペックスDLモモコルセMR2          1'35.371   1'33.975*  1'34.197   1'35.440
19  25   つちやMR2                 1'35.396   1'34.435*  -         -
20 777   レイン・XディアブロDL           1'35.035   1'34.666*  -         -
21  61   ライボン・トランピオ・FTO          1'35.805   1'35.924   1'34.691*  -
22  28   フェラーリF355                 1'36.141   1'34.933*  1'39.692   1'38.671
23  21   ダンロップ-BP-BMW            1'35.970   1'35.469*  -         -
24  51   コブラポルシェ                 -         -         1'36.558   1'36.224*
25  81   ダイシンシルビア                1'36.300*  1'38.207   1'37.733   1'36.411
26  77   クスコスバルインプレッサ            1'37.976   1'36.653*  1'36.730   1'37.198
27  15   ザナヴィシルビア               1'38.069   1'36.946   1'37.045   1'36.682*
28  70   外車の外国屋ダンロップポルシェ  1'40.827   1'40.974   1'40.514   1'39.683*

◎*印は2日間のベストタイム
◎コースレコード GT500:1'28.625/GT300:1'35.197
◎タイムは非公式のもの。データ協力:富士スピードウェイ


以上

                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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