新生フォーミュラ・ビート選手権の決勝第1戦が26日、鈴鹿サーキットで行われ、予選4位からスタートした鈴木智之(テイクファースト☆C72制動屋)がスタートでトップに立つとそのまま逃げ切り優勝。新シリーズの初戦を制し、記念すべき1勝目を歴史に刻んだ。鈴木にとっても旧JAF-F4を通して初めての優勝となった。
決勝日の鈴鹿は、未明に小雨が落ちたが、朝方からは東の空に太陽が顔を出した。しかし西の鈴鹿山系の上空には雪雲が広がり、そこから吹き込む風が冷たく、極寒の気候となった。トラックはドライ。
フォーメーションラップは午前9時50分より始まったが、そこにポールポジションを獲得した佐々木孝太(ファーストガレージ&ISP)の姿はなかった。佐々木はグリッドへ向かうピット出口でスタート練習を行った際、ドライブシャフトを折損。マシンはピットに押し戻され、グリッドに着く前にリタイアとなった。佐々木は鈴鹿出身。「鈴鹿だけは勝ちたかった」とがっくりと肩を落とす。また、村瀬和也(ミストセキグチ:制動屋:勝男武士)もグリッドに着けなかった。
図らずも先頭からスタートすることになった2番グリッドのハンマー伊澤(アルカディア☆はハンマーRハヤテ)がトップで1コーナーに向かう一方、その後ろの3番グリッドの冨田自然(Kデンタルオフィス)は蹴り出しは良かったもののその後が伸びず、その横をすり抜けた4番グリッドの鈴木智之(テイクファースト☆C72制動屋)が、1コーナーでトップに立った伊澤に襲いかかる。鈴木は1コーナから2コーナーにかけて伊澤のインから並びかけるもここでは順位は変わらず。富田は、5番グリッドの加藤智(FEEL・TAKE FIRST)、7番グリッドの徳升広平(フジタ薬局アポロ電工高山短大)にもかわされ5位まで順位を落とす。
オープニングラップのシケインでは再び2位の鈴木が、トップ伊澤のインを差し、今度はトップに浮上。しかし、続く1コーナーでは2位の伊澤が鈴木を捉えトップに復帰。3位には加藤、4位には徳升、5位には富田、6位には大宮賢人(ハンマーR疾風)が続く。
トップ5台は接近戦。3周目の逆バンクでは2位の鈴木がトップ伊澤のインにねじ込み再びトップに浮上した。
トップに立った鈴木は2位以下との差を徐々に広げ始める一方、5位の富田には6位の大宮賢人(ハンマーR疾風)追いつき、2位から6位はワンパックとなった。
5周目、4位徳升のペースが上がらない。S字で富田に、スプーン立ち上がりで大宮にかわされると6位まで順位を落とすこととなった。
この間、トップ鈴木は逃げる。2位の伊澤は3位の加藤に攻め立てられる場面もあったが、ポジションを死守。逆に加藤には4位上がった富田が追いついてきた。
9周目には3位の加藤と4位の富田がヘアピン立ち上がりから並走。スプーンでインから富田が3位に浮上した。
レースは10周を回ってチェッカー。優勝は鈴木、2位には伊澤、3位には富田、4位には加藤、5位には大宮、6位には徳升が入った。
ジェントルマンクラスは、スタートでポールポジションの安井和明(ブースカ隊長)がピット出口の先でマシンを止めリタイア。トップを走っていた植田正幸(Rnsports制動屋KKZS)が、スタート違反でドライビングスルーペナルティーを科され後退。優勝は中島功(SINSEI・KK)、2位には船井俊仁(ミストセキグチ:制動屋:勝男武士)、3位には植田が入った。
鈴木はJAF-F4を通してうれしい初優勝となり、うれしさを全身で爆発させていた。2位の伊澤は、ひそかに狙っていた鈴鹿初優勝がかなわず、3位の富田はスタートでのミスが響いた。
第2戦は富士スピードウェイに舞台を移し、4月1日(土)に決勝が行われる。JAF-F4はバトルの少ないレースだったが、新生フォーミュラ・ビートは随所でバトルが見られ、面白いシリーズになりそうだ。
Text: Yoshinori OHNISHIPhoto: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI