チームの地元MINEで連勝。2004年全日本F3のシリーズチャンピオンを獲得したR.クインタレッリ(C)Toyota
全日本F3選手権 第17/18戦 MINE トヨタエンジン搭載のR.クインタレッリが今季全日本F3を制覇 第17戦では山本左近、第18戦は中島一貴が日本人最上位3位表彰台獲得 全日本F3選手権の第9大会(第17戦、第18戦)が10月2日、3日の両日、山口 県のMINEサーキットで開催された。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。 この内、トヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占め、1日(金)に 行われた練習走行ではポイントランキング首位のR.クインタレッリ(INGING /トヨタ・トムス3S‐GE)が非公式ながらコースレコードタイムを記録してトッ プ。 R.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が2番手とトヨタエ ンジン搭載ドライバーが前戦に引き続き他車をリードして好調ぶりをアピール。余 勢をかって予選へと臨んだ。 ◆予選◆ 2日(土)の天候は曇りのち晴れ。路面は未明の降雨により朝方までハーフウエッ ト状態だったが、10時25分からのF3公式予選までにはほぼ乾き、気温17度と秋 を感じさせる気候の中で予選が行われた。 第17戦では序盤こそ路面コンディションが不安定でタイムが伸びなかったが周回 を重ねるごとにペースアップ。各車が次々とタイムを短縮する混戦を展開。5周目 にトップタイムを記録したR.クインタレッリが翌周さらにタイムを縮め、コース レコードとなる1分22秒476でポールポジションを獲得した。また、僅差でチー ムメイトの横溝直輝(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が4番手、山本 左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が5番手グリッドを得た。 続く第18戦の予選もR.クインタレッリがリードしながら推移。2番手のF. カルボーン(ニッサン SR20VE)に0.335秒差をつける1分21秒652と再び コースレコードを破る圧倒的な速さで連続ポールを獲得。日本人勢では横溝直輝が 予選5番手、山本左近が6番手となった。 ◆第17戦決勝◆ 第17戦の決勝レースは20周で午後2時43分にスタート。R.クインタレッ リはややスタートで出遅れ、予選2番手のJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C) に並びかけられるがポジションを守りきり、トップで周回を開始。 一方、横溝直輝は他車との接触でポジションを下げ、山本左近が4位、予選7番 手スタートのR.アンティヌッチが5位に浮上。R.クインタレッリとJ.P.デ ・オリベイラは接近戦のままラップを重ねるが、13周目の第1ヘアピンでJ.P. デ・オリベイラが単独コースアウトしてリタイア。このためレースは14周で赤旗 中断となった。 約37分間後に4周で再開された第2ヒートのグリッドはR.クインタレッリ、 F.カルボーン、山本左近、R.アンティヌッチの順でスタート。鋭いスタートを 決めたR.クインタレッリはトップで1コーナーに飛び込むと僅か4周で2位に1. 979秒差をつけて優勝。山本左近もスタートでやや出遅れたもののF.カルボー ンを僅差で追い詰めながら3位でチェッカーを受け、今季2度目の表彰台をものに した。 一方、R.アンティヌッチはスタートで痛恨のフライング。ペナルティを受け、 繰上げで中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が4位、番場琢(トムス /トヨタ・トムス3S‐GE)が5位と、それぞれ入賞を果たした。 ◆第18戦決勝◆ 3日(日)の第18戦は、全日本F3選手権初の2ヒート制で行われた。20周 の第1ヒートの結果順で第2ヒートを同じく20周で戦い、総合順位は両ヒートの 周回数を合算し、同一周回の場合、第2ヒートの順位で決定される。 午後1時に第1ヒートがスタート。ポールポジションからきれいなスタートを切っ たR.クインタレッリはトップで周回を開始。終盤タイヤの内圧上昇でペースが鈍 るが逃げ切りそのままチェッカー。スタートで順位を上げた山本左近が4位、R. アンティヌッチが5位、中嶋一貴が6位でそれぞれ第2ヒートへと駒を進めた。 1時間半のインターバルを置いて行われた第2ヒートではR.クインタレッリが スタートをミス。しかし、首位に立った武藤英紀(M-TEC MF204C)はペナルテ ィでまもなく後退。首位に復帰したR.クインタレッリはその後ノーミスで走りき り、2戦連続ポール・トゥ・ウィンを達成した。 この結果により今季のドライバーズチャンピオンはR.クインタレッリに確定。 一方、予選6番手スタートの中嶋一貴は着実に順位をアップ。6周目には3位にポ ジションを上げるとそのままチェッカーを受け、第5戦TI以来の表彰台を獲得した。 -------------------------------------------------------------------------------- インギング R.クインタレッリのコメント: 第18戦ではライバルの欠場で楽になった部分もあったがこれもレースだと思う。 F3参戦2年目で目標だったチャンピオンを決めることが出来、こんな嬉しいこと はない。昨年、F3では実績のない自分を抜擢してくれたINGINGチームには 何と言ってお礼をすればよいのか分からない。残る最終戦も気を抜かず、優勝を目 指す。 トヨタ・チームトムス 山本左近のコメント: 第18戦では順位を下げてしまったが、第17戦では久しぶりに表彰台に上がるこ とが出来た。トップ争いに加わることで自分のパフォーマンスを見せられたと思う が、まだまだ努力を重ね、上を狙いたい。 トヨタ・チームトムス 中嶋一貴のコメント: 第18戦はツキもあったし、ミスも犯したが予選順位からすれば良い結果だと思 う。今の課題はニュータイヤで予選一発のタイムを出すこと。最終戦のもてぎも、 今回の勢いに乗ってベストを尽くす。 トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント: 今大会では山本君と中嶋君がそれぞれ3位表彰台に上がるなど良いところも見せ てくれた。ただ、番場君たちも含め、外国人ドライバーに対して攻めきれていない のも事実だ。頑張ってくれてはいるが正直まだ足りない。今シーズンの締めくくり となる、最終大会の2戦では全力を出し切ってほしい。 トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント: トヨタエンジンユーザーの一角として素晴らしい結果を出してくれたR.クイン タレッリ選手とINGINGチームにおめでとうございますと申し上げたい。今後 も厳しい戦いが続くと思われるが、トヨタエンジンを搭載して頑張る各チームとド ライバー達が、引き続きベストを尽くすことを期待する。 -------------------------------------------------------------------------------- 第17戦 リザルト 順位 No. ドライバー エンジン チーム タイム/差 周回 予選 1 4 R.クインタレッリ(イタリア) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 5'39.828 17 1 2 12 F.カルボーン(ブラジル) ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 1.979 17 3 3 7 山本左近 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 3.075 17 5 4 8 中嶋一貴 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 4.179 17 9 5 36 番場 琢 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 5.676 17 8 6 32 小早川済瑠 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 8.220 17 13 7 14 柳田真孝 ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 13.425 17 11 8 50 磯崎元彦 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) ZAP SPEED 25.089 17 14 9 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 33.520 17 7 10 33 池田大祐 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 1 Lap 16 12 第18戦 リザルト 順位 No. ドライバー エンジン チーム タイム/差 周回 予選 1 4 R.クインタレッリ(イタリア) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 27'57.927 40 1 2 12 F.カルボーン(ブラジル) ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 1.405 40 2 3 8 中嶋一貴 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 6.121 40 9 4 36 番場 琢 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 11.385 40 8 5 7 山本左近 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 11.454 40 6 6 3 横溝直輝 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 12.222 40 5 7 14 柳田真孝 ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond Racing 12.844 40 10 8 32 小早川済瑠 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) Now Motorsports 17.186 40 13 9 19 柴田裕吉 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) DTM 20.208 40 11 10 50 磯崎元彦 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) ZAP SPEED 41.215 40 14 ドライバーズポイント (第18戦終了時での有効得点:暫定) 順位 ドライバー名 エンジン ポイント 1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 241 2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 191 3 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 161 4 横溝直輝 トヨタ・トムス 155 5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 126 6 番場 琢 トヨタ・トムス 122 8 山本左近 トヨタ・トムス 96 ※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効