全日本F3000

F3000:Rd.1 Suzuka レポート

                 Rd.1 Suzuka
          [ MILLION CARD CUP RACE Round1 SUZUKA ]
                 1995.3.19
            《F3000レースレポート》
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■新時代幕開けの予感!服部、開幕戦を制す
 1995年全日本フォーミュラ3000選手権シリーズの開幕戦「ミリオンカード
カップレース ラウンド1鈴鹿」の決勝は、19日、三重県の鈴鹿サーキットで行わ
れ、予選2番手からスタートした服部尚貴(レイナード95D/無限)が3周目に
ポール・ポジション・スタートのアンドリュー・ギルバート-スコット(ローラT
93-50/無限)から奪いとったトップの座を圧倒的な速さで守り切り、昨年末の
鈴鹿最終戦に続く連勝で開幕戦を制した。
 服部は、今季開幕前からシリーズタイトルへのこだわりを、事あるごとに公言して
きだけに、まさしく夢の実現に向けて先ずは確実に一歩踏みだしたことになった。
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◆激戦!予選
 好調、服部を午前の最終予選で上回ったのは、ギルバート-スコットだった。予選
終了数分前にギルバート-スコットが記録した1分42秒343は、この時点でトッ
プを奪いあっていたトム・クリステンセン(ローラT94-50/無限)、高木虎之
介(レイナード94D/無限)、黒澤琢弥(レイナード95D/無限)のタイムが全
て1分43秒台だったことから驚きをもって迎えられた。以降、星野一義(ローラT
93-50/無限)、金石勝智(ローラT94-50/ジャッドKV)、更に服部が
1分42秒台を記録するものの全てが42秒台後半とギルバート-スコットには遠く
及ばなかった。このポール・タイムはコースレコードとして記録された。
◆服部VSギルバート-スコット
 予選で、ギルバート-スコットにこれほどまでの優位を予選で見せつけられた服部
は、レースで見せてくれた。3周目にギルバート-スコットをあっさりかわすと、1
周にコンマ5秒づつ確実にギルバート-スコット以下を引き離していく。ギルバート
-スコットは、服部にかわされた後、精彩を欠き後方に埋もれてしまった。予選で
トップを取ったにも関わらず、セッティングの不安を漏らしていたギルバート-スコ
ットと、思うようにいかなかった予選を吹っ切れた様子で振り返っていた服部の対象
的な表情が決勝で順位に投影された様に思えてならない。
◆鮮やかな抜き技!黒澤流、影山流
 しぶとい頑張りを見せたのは、黒澤だった。18周目に、星野をシケインの突っ込
みでアウト側から鮮やかにパスして3位を得た。更に、22周目には、ギルバート-
スコットに追いつき1コーナーでイン側からパスして2番手を得る。いずれも、観客
を唸らせる玄人好みのパッシング技だった。
 その黒澤を追う様に影山正彦(レイナード94D/無限)もギルバート-スコット
をかわし、3番手に進攻する。熱いライバルの抜き技競演だった。
◆追い上げ、利男!見参
 もうひとりこのレースを盛り上げてくれたのは、鈴木利男(ローラT94-50/
無限)だった。12番手からスタートしていた鈴木は、7周目には、早くもトーマス
・ダニエルソン(ローラT94-50/ジャッドKV)をパスして10位に、続く
10周目に高木を、13周目に影山正美(ローラT94-50/無限)を、18周目
辺りから降り始めた霧雨がやや強くなった25周目には、マウロ・マルティニ(ロー
ラT95-50/無限)をパスして、気がつけば6位に。更に、26周目に、ギルバ
ート-スコットをパスして5位にポジション・アップしてくる驚きの走り。31周目
には、1分44秒258のファステスト・ラップ記録のオマケ付き。もう少しレース
が長ければ、あわやクリステンセンを抜いて4位奪取も夢ではなかった。というのも
最終ラップを迎えて鈴木とクリステンセンとの間にはたった1秒しか間隔が無かった
のだから。
◆耐え忍び
 一方、辛いレースもあった。予選で、3番手につけていたはずの金石には余りにも
辛いレースとなってしまった。スタートと同時に1コーナーでコースアウト。グラベ
ルの餌食になってしまったのだから。金石に焦りはあったか。
 予選は良かったがレースは今ひとつ冴えなかった星野も辛かったに違いない。結局
11位にはなったものの全盛期は去ったと思いたくは無い。
 カー・ナンバー・ワンを背負うディフェンディングチャンピオン、マルコ・アピチ
ェラ(レイナード95D/ジャッド)にも辛いウィーク・エンドだった。ダミー・グ
リッド上でエンジンをストールさせ、最後尾スタートを余儀なくされてしまったの
だ。昨年のチームと彼なら、ある程度の結果は残していたかも知れない。実際は、
22周目にピットでマシンを力無く降りている。彼の不運が天災に寄るものなら、運
命とはなんと悪戯好きなのか。
◆若さ故
 若手注目の今シーズン。しかしながら、決してトップ・フォーミュラはそんなに甘
くはなかったというところか。影山正美は何とか12位を、山本勝巳(レイナード9
4D/無限)は、16周目にマシンをコースアウト、大破させてリタイア。飯田章(
ローラT94-50/無限)も不運にめぐり合ってリタイアしてしまう。9番手と最
上位スタートを得た高木は、予選でも非凡な所を見せ、決勝では29周目にスピード
ののらなくなってきたギルバート-スコットをかわして7位を確実にゲットし、唯一
結果を残した。完走し、F3000の厳しさをより身に感じた影山正美と高木の一歩
リードといったところか、今後が楽しみだ。
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レポート/福田  陽一(NBG01300)


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