◎全日本F3000選手権最終戦 決勝レース上位3人の記者会見内容 ◇服部尚貴 「えーと、今日は自分ではもうスタートしかないと思って、1周以内に一番前 に出ないと勝てないんではないかと思ってスタートに集中していました。えー、 あとは、最初、序盤10周で二十何秒まで差が一度開いて、もうあとは車も壊れ ないようにというか、レースじゃないっていうか、自分の頭の中ではタイヤテス トだと思いこんで1周して走っていました。で最後に、琢弥君が2番手に上がっ たこともピットからのサインでわかってましたし、詰まってくるのもわかってい たんですけど、今回はもう二十何秒の差っていうか、とりあえず自分ではその差 があるからと落ちついて走ることができました。あと、ラスト4ラップくらいで、 えと車のほうで水温のほうが上がっているという警告ランプがついて、百いくつ って指示が出てるもんで、ちょっとすごい不安だったんですけど、水なくても3 周くらい走るんじゃねーかなと思って、で、ちゃんともちました。どうもありが とうございました」 ◇黒沢琢弥 「えー、また2位なんですけど……。ふりかえってみますと、スタートはホイ ールスピンがちょっと多くて70点くらいのスタートだったと思うんですけど、 ポジションは変わらずで、そのオープニングラップのスプーンでチーバーさんが ちょっとミスしたのかな、一瞬抜けたんですけども、また130Rまでにまた 抜かれまして。えー、まぁ、彼の車はまっすぐがすごく速いんでね。もう、それ はレース前からわかったことなんですけど。なるべく早く抜きたかったんですけ ど、あのー、チャンスをうかがって後ろからプレッシャーをかける方向に切り替 えまして、えー、何周目に抜いたかちょっと覚えてないんですけど、ちょっと強 引にアウトから130Rで抜きまして、あとはもう車のほうは完ぺきだったんで、 前をいく服部選手を追っかけたんですけど、あまりに貯金が多かったんで追いつ かなかったって感じですね。ただ、あのー、レース運びとか前の車との間合いと か、そういうことだけに専念できたんで、タイヤ、エンジン、コンポジットすべ てパーフェクトだったんで、チーム関係者並びにメカニック、スポンサー各位に お礼をいいたいと思います。どうもありがとうございました」 ◇H.H.フレンツェン 「OK。まず最初に、今年最後のレースを走らせてくれたノバとカワイスチー ル、そしてフォルカー・バイドラーにお礼をいいたいと思います。バイドラーは、 悲しいことに、今後もうレースができないようで、ドライバーとしての未来はと ても暗いものになってしまいました。その彼の車で今年最後のレースを走ること ができたことを誇りに思い、また、できる限り良い結果を残したいと思って、日 本語でいえば、『ガンバリマス』(がんばりました)。レースの作戦は、とても 楽なドライブを心がけていました。最終戦までに、多くのドライバーが激しい走 りをしてコースアウトしていましたので、タイヤをセーブしながら走ることを心 がけていました。ストレートでは、他の車を追いかけることができませんでした。 このレースではニュータイプのエンジンを使っていて、それが100%ではなか ったため、レースの中盤にハードにプッシュしたら、フロントタイヤに問題が出 て、注意して走りました。最終的には、とてもラッキーだったといえますね、最 終ラップ(34周目のこと)にチーバーがアウトにふくらんで、そこをダニエル ソンが攻めてクラッシュしてしまいました。ここがレースの中で一番ラッキーな 点でしたね。とにかく表彰台に上がれてとてもハッピーです。日本とチームに感 謝します」 Q:服部選手、もし1周目に抜けなかったらどうしたんでしょうか? 服部尚貴:「あまり考えてなかったですけど、とりあえずもう、スタートで駄目 なら、もう、逆バンクとかね。もうそういうところで抜く練習も朝から、アウト 側をわざと通ったりしてやってたから。もう絶対1周目って決めてましたから」 Q:スタートのときにチーバー選手のホイールスピンがかなり映像で見るとあっ たんですが、見えてました? 服部尚貴:「ええ、見えてました」 Q:その瞬間からちょっともういけるぞと? 服部尚貴:「横に並んで、同じように並んでりゃイン側だったから、なんとかな ると思って。最後はもう当たるかなと思ったけれど、今日は退けないと思って」 Q:黒沢選手、130Rでチーバー選手を抜いてきたわけなんですけどね。超高 速コーナーで、それもアウトからと。かなりですね、根性入れて突っ込んでいっ たと思うんですけど? 黒沢琢弥:「ええ、まあ、あの周はといいますか、何度もスプーンからですね、 裏のストレートに乗せようと思いまして。……ていうのが、シケインがバススト ップみたいに変わりましたよね。シケインの一端停止からだと第1コーナーで抜 くってのは、よっぽど前の車がシフトミスでもしない限り不可能で。F3000 の場合なんですけども。そうなるともうスプーンでスピード乗せて130(R) までに抜くしかないんですけども、えー、再三、何回やったか忘れましたけど、 ほんとに3速で出て、4速に入れて、5速に入れて、ぐっと追いついてスリップ に入って横に並べるんでしょうけども、えー、彼の車のまっすぐが速いっていい ますか、逆にウィングを寝せてコーナーでがんばって、まっすぐはエンジンの力 っていいますか、コーナーは腕でまっすぐはエンジンの力でって、そういうセッ ティングにしたと思いますが、うちは彼のチームとセッティングのしかたが違い ますんで。えー、ま、ストレートはたぶん互角だったと思うんですけど、コーナ ーは、うちのパッケージングのほうがよかったと思うんですけども。たまたまあ の周に、プーンの中でチーバー選手がちょっとミスしまして、横に並んだときア ウトだったんですけど、ちょっと彼のタイヤの摩耗具合がよくないのがスプーン でわかってましたんで、彼はイン側でたぶん有利だけども、ぼくとおんなじスピ ードじゃ入れないなとそのとき判断しまして、そんなに強引じゃなかったと思う んですけどね」 Q:かぶせるようじゃなくて併走して入ってきたみたいですけど。 黒沢琢弥:「そうですね。入る瞬間はホントに横一線くらいだったと思うんです けど、切り込むときにはぼくのほうがタイヤ1個前に出てたんで。で、彼はほん とに今年ずっとやってまして、ぼくは人のことはあまり言えないんですけど(笑 い)、彼はとてもフェアですよね。ぼくは何回か当たっちゃったんですけど(笑 い)。こういうこと言ってる場合じゃないんですけどね。彼はすごく前回の富士 でもフェアだったんで、今回は、そういうので痛い思いしてますんで、人に当て るのはやめようと。わざとやってるわけじゃないですけどね(爆笑)。極力、そ れだけには注意したんですけど。今回は、ぼくと彼のそのときのその瞬間の考え 方がたまたまうまく合ってたから、当たらずに譲ってもらえたというか、曲がれ たって感じだと思うんですよね。そんなに気合い一発って感じじゃないんですけ ど、あそこで退いちゃったら、また次のチャンスがいつ訪れるかわかんなかった んで、並んだときにはもう迷わずいったって感じですけどね」 Q:ハインツ、チーバーを追いかけていたとき、どのように、どこで抜こうかと 考えていたのかな? H.H.フレンツェン:「彼はレースの間ペースが変わって、何度もスローダウ ンしたんだけど、タイヤがダメになってのがわかった。S字からダンロップコー ナーにかけてはとても遅くて何度か仕掛けたんだ。ダンロップコーナーの外側か ら仕掛けたとき、インサイドを開けたんで、インサイドに入ったら、タイヤカス がたくさんあって、抜くことができなかった(このときに後ろのダニエルソンに パスされた)。 そのあとも抜くチャンスを狙っていたんだけど、残り3周になってもチャンス がなくて、むずかしいレースになったと思っていたら、ダニエルソンがハードに プッシュしはじめて、タッチしてしまった。後ろから見ているだけでも恐かった」 Q:服部選手、来年の予定は? 服部尚貴:「まだわかんないんですけど、いまのル・ガラージュ・コックス+ム ーンクラフトでやると思います」 Q:F3000ですね? 服部尚貴:「もちろんです。F3じゃありません(笑い)」 Q:F1じゃなくて? 服部尚貴:「いえいえ違います(笑い)」 Q:黒沢選手は? 黒沢琢弥:「ぼくもまだ正式な話はしてないんですけど、たぶんこのままの体制 でいけると思いますし、いきたいと思います」 Q:監督に内緒にしておきますから、これでというのがあったら(笑い)。 黒沢琢弥:「いえいえ。服部君に一歩先にいかれてしまったんで、勝ちを狙って、 同じ体制でいきたいと思います」 Q:ハインツ、来年のプログラムは? H.H.フレンツェン:「来年のプログラムは、おそらく知ってはいると思うけ ど、マーチ(F1)との契約にサインしている。いまのところマーチとの契約に ついては続行している。唯一の問題は、来年のスポンサーシップで、スポンサー はすでに契約も済んで、支払いがすんでいないだけの状態だ。ただし、F1の状 況がきびしくなっているし、エンジンなども高価になっているんで、チームも十 分にお金を使える状況にはない。どうなるのかわからないところもあるので、待 っている状態だ」 Q:服部選手、この週末の車の仕上がり具合は? 服部尚貴:「前のタイヤテストのときに満タンテスト、ガソリンを入れた状態で テストしていて、金曜日からはとりあえず鈴鹿では予選で前にいかないと表彰台 にはいけないので、ブリヂストンさんに無理いって、予選タイヤを出してもらっ て、午前も午後もQFのセッティングに回したというか。だから金曜日はほとん どレースセットよりも予選用のセットを中心にやってました。で、車としてはす ごいいい感じだったから、練習では3秒8くらい大体金曜日にはいってて、予選 もそれよりタイムが上がったから、自分としてはすごい納得してて、ただ、チー バーのあのタイムというのは、いまの段階じゃ自分じゃ考えられっていうか、ど うしていいかわかんなかったから、素直に今回は負けたかなって感じ。で、まあ、 だからあとはレースセットは前にやったことで、あとはチーバーのストレート重 視のセッティングに対抗するためにも、1周目に前にいかないと、という感じで した」 司会はモータースポーツ・ジャーナリストの高橋二朗氏。 まとめ/訳:RIJ-すがやみつる(FMOTOR4 Group Manager SDI00104)