International F3 League

富士F3出場のドライバーズプロフィール(1)

<インターナショナルF3リーグ出場の海外F3ドライバーのプロフィール>
 11月29日から12月1日にかけて、「パナソニック2ndインターナショ
ナルF3リーグ」が富士スピードウェイで開催されるが、このイベントにはヨー
ロッパ各国のF3選手権を戦った強者ドライバーが大勢エントリーしている。
日本ではあまり馴染みのないドライバーが大半なので、ここで彼らの簡単なプ
ロフィールをご紹介しよう。
 なお終わりの部分に、国内で活躍している外国人ドライバーで、今回のイン
ターナショナルに参加するドライバー達のプロフィールも併せて書いてみた。
-----<海外F3選手権で活躍しているドライバー達>-----
●リカルド・リデル(スウェーデン/24歳)
 スウェーデン・カート・チャンピオンやスウェーデンF3選手権などを経て
1989年にイギリスF3選手権に参戦。この年シリーズ4位となる。翌90
年にはイギリスF3000選手権にステップアップ。元F1ドライバーのP.
シャベスらとチャンピオンシップ・タイトルを争ったがシリーズ4位(開幕戦
で1勝)だった。
 今年はTom’s GBから再びイギリスF3選手権に参戦し、開幕戦で1
勝を挙げるなどしてシリーズ前半のペースメーカーを果たしたが、後半ややリ
ズムを崩してしまい、結局シリーズ6位でシーズンを終えた。
 インターナショナルF3リーグには昨年に続いてのエントリーとなる(前回
は決勝12位)。国内外で台風の目となったTom’sトヨタのマシンを駆使
して彼がどんな走りをみせるか注目したい。
●ジル・ド・フェラン(ブラジル/24歳)
 ブラジル国内のカート選手権やFF1600を経験して、1988年にイギ
リスFF1600に参戦。翌90年にはGMロータス・ユーロ・シリーズとイ
ギリスFVL選手権にステップアップし、GMロータスではシリーズ3位に、
またイギリスFVL選手権ではシリーズ2位(2勝)となった。
 今シーズンはレイナード・ワークス・ドライバーとしてイギリスF3選手権
に出場。中盤戦で3勝をマーク(このうち2回は最速ラップも同時にマーク)
し、チャンピオンシップ争いでもシリーズ3位となった。まだ荒っぽさがある
のでリタイヤも多かったが、これがなければ間違いなくシリーズ・チャンピオ
ンに手が届いていた可能性がある。
 昨年のインターナショナルF3で優勝したM.シューマッハーのマシンはレ
イナードだったが、今年は彼がレイナードに優勝をプレゼントするのであろう
か。
●クリスチャン・フィッティパルディ(ブラジル/20歳)
 もう有名になってしまったが、元F1ワールド・チャンピオンで現在アメリ
カのCARTで活躍中のE.フィッティパルディの甥にあたる。
 11歳からカートをドライブし、世界選手権でも上位入賞を何度か経験。そ
の後渡英してイギリスFF2000を経験した後、1989年からイギリスF3
にステップアップ。翌90年には名門ウエストサリー・レーシングから同選手
権に参戦して1勝をマークし、シリーズ4位となった。
 今シーズンは国際F3000選手権にステップアップ。2勝をマークしただ
けでなく、コンスタントに上位入賞を果たして見事ルーキーでシリーズ・チャ
ンピオンに輝いた。
 彼は今年来日する海外勢の中で最も注目されるドライバーと言ってよいだろ
う。F1予備軍ともいえる国際F3000のチャンピオンに輝いた彼の走りが
一体どんなものなのか。今から非常に楽しみである。また、彼は来年F1への
ステップアップも噂されているだけに、F1ファンにとって彼は要マークでも
ある。
●トム・クリステンセン(デンマーク/24歳)
 彼もカート出身者で、その後FF2000などで活躍したが、資金不足から
昨年はレース活動を休止していた。
 だが、今シーズンはVWモータースポーツに抜擢されF3にステップアップ。
開幕戦でいきなり優勝を飾った。その後も2勝するなどコンスタントに上位入
賞を果たし、ルーキーながら見事ドイツF3選手権のチャンピオンに輝いた。
 彼は今シーズン、高速コースで知られるホッケンハイムの2レースで優勝と
2位に入っているので、富士でも期待できるのではないだろうか。また、VW
モータースポーツのメンバーに抜擢されたことが彼にとって大きな自信となっ
たようである。
 今年はM.シューマッハーやK.ベンドリンガーなど、ドイツF3出身者が
注目を集めた一年だった。今年の締めくくりとなるインターナショナルF3リー
グでもドイツ旋風が吹き荒れるのだろうか。
●ジャンバッティスタ・ブージ(イタリア/23歳)
 1987年にイタリアFF2000でデビューし、翌88年からイタリアF3
選手権に参戦。昨年あたりからめきめきと成長して、今シーズンは2勝をマー
クして混戦のイタリアF3選手権で見事チャンピオンに輝いた。また、F1モ
ナコGP前座のF3レースでは7位でフィニッシュしている。
 彼はイタリアF3選手権でダララ/VWのマシンをドライブしていたが、こ
のインターナショナルF3ではラルト/VWの組み合わせでエントリーしてい
る。マシンをスイッチしたことが果たして吉と出るか凶と出るか。また、彼は
今シーズン前半が好調だったものの、後半にはやや調子を落としてしまった。
富士では是非とも前半の勢いを取り戻して熱きイタリアの素晴らしい走りをみ
せてもらいたい。
●ポール・スチュワート(イギリス/26歳)
 彼もいわゆる「2世ドライバー」で、父親は元F1ワールド・チャンピオン
のJ.スチュワートである。
 1987年にイギリス・ジュニアFF1600でレース界入りし、FF20
00を経て1989年にイギリスF3へとステップアップ。この年1勝をマー
クしてシリーズ10位となる。翌90年も引き続いて同選手権にエントリーし、
3位に2回入ってシリーズ7位となった。
 今シーズンはクリスチャン・フィッティパルディと同様、国際F3000選
手権にステップアップ。ただ、残念ながらポイントを獲得することはできず、
第7戦のブランスハッチで7位につけたのがベスト・リザルトとなった。
●デイビッド・クルサード(イギリス/20歳)
 カート出身者で、82年から88年までの間に数々のチャンピオンに輝く。
その後1989年にFF1600などを経験し、翌90年にはGMロータス・
ユーロ・シリーズとイギリスFVL選手権にステップアップし、特にFVL選
手権では2勝をマークするなどしてシリーズ・ランキングの上位にいたが、ス
パで行われたGMロータスのレースで足を骨折したことが大きく響いてしまい、
結局この年はGMロータスではシリーズ5位、FVLではシリーズ4位にとど
まってしまった。
 今シーズンはポール・スチュワート・レーシングからイギリスF3選手権に
出場し。ルーキーながら5勝をマークして、シリーズ・チャンピオンに輝いた
R.バリチェッロと最後の最後までチャンピオンシップ・タイトルを争った。
 また、彼は今年の夏にオランダで開催されたヨーロッパF3レースの「マー
ルボロ・マスターズF3レース」の優勝者でもある。
 彼はイギリス期待の星であり、イギリス・レース界も彼にかなりの期待を寄
せている。今後も順調にいけば間違いなくF1へと進むはずだ。
 また、彼は「ノセると恐い」タイプである。もし彼がマカオGPを制するこ
とになれば、昨年のM.シューマッハー同様、彼がマカオと富士を2週連続で
制する可能性が非常に強くなる。そうなると、文字どおり「ユーロ・マカオ・
ジャパン」の全てのF3レースを制することになるのだが・・・・・・。
●ルーベンス・バリチェッロ(ブラジル/19歳)
 5度のブラジル・カートチャンピオンを経て渡英し、昨年はGMロータス・
ユーロ・シリーズに参戦して6勝をマーク。現在国際F3000で活躍してい
るV.ソスピーリを退け見事チャンピオンに。
 今シーズンは名門ウエストサリー・レーシングからイギリスF3選手権にエ
ントリー。第2戦のスラクストンで初優勝を飾り、その後も優勝3回など素晴
らしい成績を残し、結局D.クルサードを逆転して見事イギリスF3のチャン
ピオンに輝いた。
 クルサードがイギリス期待の星ならば、バリチェッロはブラジル期待の星と
言えよう。また、彼は2年間でGMロータスとイギリスF3を制したわけだが、
この勢いは母国のスター、A.セナの昔と非常によく似ている。彼こそまさし
くセナの後継者となるに違いない。
 バリチェッロは今シーズン、イギリスF3を戦ってきたわけだが、彼は全16
戦中最速ラップを7回も記録している。その一方で、彼はノーポイントに終わっ
たレースが2レースしかない。速さだけでなく安定した走りが彼の大きなセー
ルス・ポイントと言えよう。
●ホルディ・ヘネ(スペイン/20歳)
 スペイン・カート・チャンピオン、スペインFLフィアット・チャンピオン、
スペインFF1600チャンピオンを経て1989年にイギリスFF1600
に参戦。翌90年にはイギリスF3選手権にステップアップして6位入賞を経
験する。
 今シーズンは名門ウエストサリー・レーシングに移籍。優勝こそなかったも
のの2位5回、3位2回とコンスタントな成績を残し、結局シリーズ4位となっ
た。また、彼もこの夏行われたマールボロ・マスターズF3レースで素晴らし
い走りを見せ2位に入っている。
 日本ではあまり知られていないドライバーかもしれないが、彼は玄人好みの
ドライバーだと言えよう。また、彼は速さの面ではチームメイトのR.バリチェ
ッロといい勝負だ。もし予選をご覧になれるチャンスがあったら、是非とも彼
に注目していただきたい。
 なお、彼も昨年のインターナショナルF3リーグを経験しており、決勝では
7位でフィニッシュしている。だが、今年は名門ウエストサリーからのエント
リーなので、彼には昨年以上の成績が期待される。
●マッシミリアーノ・パピス(イタリア/22歳)
 今シーズンのイタリアF3選手権ではシリーズ7位だったものの、モンッァ
で行われたレースなど今シーズンは2勝をマークした。まだ荒っぽさが残るド
ライバーだということは間違いないのだが、この「速さ」に注目したのが名門
ウエストサリー・レーシングのディック・ベネット代表で、マカオGPにのみ
出場するJ.ベイリーに代わり、富士では彼を走らせることにした。
 一部の噂では、ベネット代表は彼を来シーズンのドライバーに起用したい考
えのようで、どうやらこのインターナショナルF3リーグのレースが彼にとっ
て名門ウエストサリーのシートを得る最終テストの場となるようだ。
 なお、彼はF1モナコGP前座のF3レースにも出場し、13位でレースを
フィニッシュしている。
●ルカ・バドエル(イタリア/20歳)
 カートを経て1989年からイタリアF3選手権に参戦。昨年は現在F1で
活躍しているA.ザナルディらと戦い、最終戦で初優勝をマークした。
 今シーズンは4戦目で表彰台に上がった後、6戦目から8戦目まで3連勝を
マークしてチャンピオンシップ・タイトル争いでG.ブージを激しく追い上げ
た。だが、9戦目のムジェロのレースでトップでチェッカーを受け4連勝、と
思われたが、レース後、使用したタイヤの本数がレギュレーションに違反して
いたために失格となってしまい、それ以降のレースから彼の調子が狂ってしまっ
た。
 それでも、彼のテクニックはチャンピオンとなったG.ブージを凌ぐものが
ある。また、彼は夏に行われたマールボロ・マスターズF3レースで4位となっ
ていることもあり、高速コースの富士で彼が素晴らしいパフォーマンスを見せ
てくれることを期待したい。
●マイク・ヘッセル(ドイツ/27歳)
 80年代半ばにFF1600で活躍後、ツーリング・カーに転向してBMW
のジュニア契約ドライバーとして1987年にドイツ・ツーリング・カー選手
権でシリーズ3位となった。1989年に再びフォーミュラへ戻りF3へ。今
シーズンは7戦目に優勝を飾ったほか入賞7回という成績で、ドイツF3選手
権シリーズ3位となった。
●クリストフ・ブシュー(フランス/25歳)
 カートやフランスFF1600で活躍後、1988年にフランスF3選手権
へステップアップ。その年のマカオGPでは3位入賞を果たす。昨年はエンジ
ンに恵まれず、5位入賞が1回きりと奮わなかった。
 だが、今シーズンは2年落ちの旧型マシンをドライブしたにも拘らず安定し
た走りをみせ、優勝4回で見事フランスF3のチャンピオンに輝いた。
 また、彼は今シーズン、F1モナコGP前座のF3レースで6位に入り、夏
のマールボロ・マスターズF3レースでは、決勝でリタイヤとなったものの予
選では3番手につけていた。
 アラン・プロストやジャン・アレジというスターを生み出してきたフランス
F3で、2年落ちのマシンながら見事チャンピオンに輝いたブシュー。彼の評
価は非常に高く、エンジンに恵まれなかった昨年でさえ「それでも彼は速いド
ライバーだ」と言われていた。
 また、マカオやモナコといったストリート・コースにも強いことからもわか
るように、ここ一番での集中力は並大抵ではない。彼が富士でどのようなパフォ
ーマンスを披露してくれるかが楽しみだ。
●エリック・シェリ(フランス/25歳)
 フランスFF1600やフランス・フォーミュラ・ルノーなどを経験し、フ
ランスF3選手権には1987年から参戦している。翌88年にはシリーズ2
位となった。途中1989年には国際F3000にステップアップ。昨年は再
びフランスF3に戻ってきた。
 今シーズンはフォーミュラ・プロジェクトのレイナード・アルファロメオを
ドライブし、第6戦で優勝を飾るなどしてシリーズ3位となった。また、彼も
今シーズン、F1モナコGP前座のF3レースに参戦し、8位でレースをフィ
ニッシュしている。
 なお、彼はインターナショナルF3リーグではイギリスのボウマン・シャシー
をドライブする。このマシンはVWエンジン専用に設計されたシャシーで、イ
ギリスF3では開幕当初から、また全日本F3選手権にはシーズン途中から登
場している。
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