1992年9月7日 -1992年全日本F3000選手権シリーズ第8戦- 最後尾(25番)グリッドから奇跡的な追い上げで2位をゲット 残念なレース結果と終わった第7戦だったが、プロミス&レイナード・レーシングチー ムとドライバーのロス・チーバーは、チャレンジスピリットを忘れることなく、3週 間のインターバルを置いて再び富士スピードウエイでのレースを迎えることになった。 [9月5日:予選]予選のタイムスケジュールは、これまで通り午前と午後にそれぞ れ1回という設定だが、1回目の予選は2輪レースの予選が行われたため、ほとんど のチームはオイルによるコースの荒れと直前に上昇した気温を懸念して出走を見合わ せることになった。一方、プロミス&レイナード・レーシングチームのロス・チーバー は、今回、新仕様のサスペンションを採用し、セッティングの煮詰めも兼ねてレース 用タイヤを装着して予選1回目を走行。1分19秒878のタイムを出し7番手につ けた。そして午後、2回目の予選ではスタンダードタイプのサスペンションに戻し、 タイムアタックに臨んだ。予選用タイヤを装着し、予選時間終了5分前にコースイン。 最終ラップでのタイムアタックに入ったが、1コーナーを過ぎたところで2速ギアが 壊れコースアウト、タイムアタックを行うことができずに予選が終了してしまう。そ の結果、決勝レースは最後尾の25番グリッドからスタートとなった。「レースでは こういうトラブルも起こることがある。これもレースなんだ、としか言い様がないよ」 と、チーバーは物静かに語った。 [9月6日:決勝]レースコンディションでのマシンやタイヤの確認を行う朝のフリー 走行で、ロス・チーバーは、総合5番手の1分18秒730を出した。そして、いよ いよレース本番。最後尾からのロケットスタートに賭けたチーバーは、抜群のスター トダッシュを見せ、オープニングラップを終えてメインスタンド前に戻ってきた時に は、一気に13位にポジションアップ、10周目にひとつポジションを上げ12位と なったあと、いよいよチーバーの快進撃が始まった。11周目には10位、12周目 には9位、13周目には8位、19周目には6位という具合に。トップのマシンが1 分19秒前後のラップタイムであるのに対し、チーバーは1分18秒半ばのペースを 保って走ることができたのだ。28周目には5位となり、32周目には4位。なおも チーバーの追い上げは止まらない。そして34周目に3位に上がると、43周目には 黒沢琢弥選手をかわして2位となる。さらにトップを走る鈴木利男選手のマシンに迫っ たが、45周のレースではそれ以上のポジションアップは果たせなかった。しかし全 日本F3000史上初の23台抜きを演じたチーバーは、チャンピオンシップを目指 す上で、貴重な2位入賞を果たすことができたのだった。 ド ラ イ バ ー & チ ー ム 監 督 コ メ ン ト ●ドライバー/ロス・チーバー(Ross Cheever)今日のレースには本当に満足して いるよ。チームがマシンセッティングを本当に良くやってくれたおかげだ。今回のレー スでは、マシンが僕の思い通りに動いてくれるようになったことが大きな収穫だ。過 去3 レースは、僕はマシンに乗せられているだけ、といった状態だった。つまり、僕は乗 客という感じだった。でも、僕はドライバーなんだ。それが今回は改善された。レー ス序盤、下位のマシンを抜くには慎重さが必要で手間取ったけど、トップ6に入って からは容易に抜くことができた。今日は素晴らしいレースを戦うことができて、本当 に満足しているよ。 ●チーム監督/本間勝久(Katsuhisa Honma)ここまでの結果が残せるとは、正直 いって予想できませんでした。チームとしては、前回のようなトラブルが起きないよ うにと、マシンを仕上げることに集中した結果です。それで、ずいぶん安定した走り ができるようになったのだと思います。これで、チャンピオンシップでもトップのマ ウロ・マルティニ選手、2位のフォルカー・バイドラー選手に対し、僅差に詰めるこ とができたので、残り3戦でチャージをかけます。これからも応援をよろしくお願い 致します。 レースデータ ●開催日/9月5日(予選)~6日(決勝) ●開催地/富士スピードウェイ(静岡県):1周4.47km ●主催者/ビクトリーサークルクラブ(VICIC)、富士スピードウェイ株式会社、 FISCOクラブ ●観客数/予選日:10,500人/決勝日:53,500人 ●天 候/予選日:晴れ、26℃/決勝日:曇り、21℃ [シリーズポイントランキング] 1位 :マウロ・マルティニ 27点 2位 :フォルカー・ヴァイドラー 26点 3位 :ロス・チーバー 25点 4位 :鈴木利男 21位 5位 :エディ・アーヴァイン 14点 6位 :マルコ・アピチェラ 13点 7位 :パウロ・カルカッシ 11点 8位 :星野一義 10点 服部尚貴 10点 ローランド・ラッツェンバーガー 10点 11位:黒沢琢弥 9点 12位:トーマス・ダニエルソン 8点 13位:アンドリュー・ギルバート・スコット 7点 14位:ミカ・サロ 3点 15位:和田 久 2点 小河 等 2点 17位:和田孝夫 1点 リカルド・ライデル 1点 ----------------------------- 提供:プロミス株式会社 営業企画部 F3000推進事務局 ----------------------------- E