全日本F3000

CABIN西日本F3000情報

CABIN RACING TEAM RACE INFORMATION
                          1990年5月16日
第3戦「オールジャパンF3000オールスターレース」
星野、片山、トラブルに見舞われながらも、ともに4位、5位入賞
星野一義 予選A組3位 決勝4位
片山右京 予選A組6位 決勝5位
 1990年全日本F3000選手権・第3戦「オールジャパンF3000オールス
ターレース」が、5月13日(日)山口県・西日本サーキットで開催された。キャビ
ン・レーシングチームは、このレースに星野一義、片山右京の陣容で参戦した。
<体制>
キャビン・レーシングチームwithインパル
 ドライバー:星野一義
 監督   :金子 豊
 マシン  :ローラT90-50無限(Tカー ローラT89-50/無限)
キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
 ドライバー:片山右京
 監督   :田中 弘
 マシン  :ローラT90-50/DFV(Tカー レイナード89D/DFV)
<公式予選>
 公式予選第1回目は、薄曇りの空の下で行われた。第2戦で星野が優勝、片山が3
位に入賞したため、今回の予選は星野、片山ともに予選A組で出走する。星野は1セッ
ト目の予選用タイヤを装着してコースイン、ピットに戻ってタイムアタックのタイミ
ングを待つ。
 予選開始15分、星野がいよいよコースに出てタイムアタックに入る。記録された
タイムは58秒930。58秒台前半が期待されていただけに、星野にとっては不本
意な結果だ。チームは、残された2セット目のタイヤを温存、午後の2回目の予選に
逆転をかける作戦をとる。
 一方、片山は1回目のセッションに予選用タイヤを2セットとも投入する。1セッ
ト目は慎重にタイムを稼ぎ、2セット目で勝負をかける作戦だ。しかし、結局タイム
は59秒124に留まる。
 午後の予選を前に、雲が切れて日差しが強まり、路面温度が上昇してしまった。2
セット目の予選用タイヤを使ってタイムアタックしようとしていた星野にとっては厳
しいコンディションだ。結局、星野を含めて午後出走した選手のほとんどが午前中の
タイムを更新することができないまま、公式予選は終了した。
星野一義選手:58秒930 A組3位
 「1回目のセッションで、いざタイムを出そうとしたときに遅いマシンにひっかかっ
てしまった。これが痛かった。西日本は昔から決して好きなコースではない。好きで
ないとこういう風なめぐりあわせまで悪くなるものなんだね。グリッドの位置がこれ
では、明日は苦しいレースになりそうだけど、粘り強いレースを見せますよ。長い1
シーズンのうちには、こういう我慢するレースがあってもいいよね。」
金子 豊監督
 「午後にタイヤを残したのには、そんなに深い意味はないよ。1セット目でトップ
に近いタイムを出して、2セット目は様子を見ながら使うつもりだったんだけどね。
その予定が狂ってしまった。今から思えば午前中に使った方が良かったね。テストで
もずっと調子が良かったので、本当に残念な結果です。でも、本番コンディションで
の速さには自信がありますので、決勝ではとにかくポイントを稼ぐためのレースをし
ます。もちろん優勝をあきらめたというわけではない。9点を取るつもりでやります
よ。」
片山右京選手:59秒124 A組6位
 「昨年はヨーロッパのF3000選手権に出場したので、2年ぶりの西日本サーキッ
トです。そのせいか、マシンに乗り切れませんでした。1回目2回目ともタイムアタッ
ク中に細かいミスが出てしまって。決勝では最善をつくして頑張ります。」
田中 弘監督
 「問題は、右京の踏みすぎ。西日本のように低速で路面のミューが低いサーキット
であんなに踏んでは駄目です。気持ちばかりが先に行っているんです。1回目のアタッ
クで慎重に行かせたら、そこそこのタイムが出るのに、2回目で勝負をかけさせたら
ちっともタイムが伸びない。まあ、決勝コンディションでのタイムには問題はないか
ら、上位にヒケをとらないレースができるとは思いますよ。」
<決勝レース>
 グリッド整列のためにコースインした右京のマシンが人波をかきわけてピットロー
ドへ戻ってきた。突然エンジンにバラつき症状が現れたのだ。ピットロード出口が閉
鎖されたらピットスタートになってしまう。電気系統、燃料系統がチェックされ、マ
シンは急拠コースへ送り出された。
 星野、片山ともうまいスタートを切り、それぞれ5位、11位で戦い始める。星野
は前を行くロス・チーバー選手をかわして前へ出ようとするが、狭い西日本サーキッ
トでその機会をつかむことがなかなかできない。一方、片山は着実にライバルをかわ
し、上位選手の脱落にも助けられて7周目には9位、9周目には8位、19周目には
7位へと進出する。
 星野はチーバー選手をかわそうと、36周目の折り返しヘアピンで勝負をかけるが、
チーバー選手とともにスピン、コースから飛び出してしまう。星野はコースへ復帰す
るものの順位を7位へと下げてしまった。
 片山はエンリコ・ベルタッジア選手を追走しながら4位を走っていたが、やはりベ
ルタッジア選手をかわすには至らないまま最終ラップを迎えた。ここで波乱が起きた。
ベルタッジア選手の前を行く周回遅れのマシンが最終コーナーでスピン。つられてベ
ルタッジア選手、片山も姿勢を崩してスピンしてしまった。コースへ戻ったのはベル
タッジア選手が早く、復帰に手間取る片山を後方から追い上げていた星野がかわして
4位へ進出、チェッカーを受けた。
 キャビン・レーシングチームは手堅いレースを展開、第2戦に引き続き星野、片山
ともに選手権ポイントを獲得することになった。
星野一義選手:1時間15分30秒942   4位
 「こういうコースでは前に並んでいないと、駄目だよね。チーバー選手とは、イン
を差したときに2台重なって突っ込みすぎになりスピンしてしまった。スピンしても
別に緊張が解けることはなかったから。また集中してレースを始めたよ。レース中は、
ポイントのことばかり考えていたんだ。0点だけは絶対にいやだったからね。」
金子 豊監督
 「このコースであのグリッドでは、前に行けないよ。特にチーバー選手は抜きにく
いドライバーだし。まあ、今日のレースはポイントを稼いだという点で満足ですよ。
去年はこういうレースでことごとく0点だったからね。星野もその気で走ってくれま
した。たぶん、シーズンが終わったときに今日のレースで稼いだポイントを思い出し
て、良かったな、と思うことになるんじゃないかな。」
片山右京選手:1時間15分31秒594  5位
 「レース序盤で、ショルダーパッドが外れてしまったんです。それで、体を肩と腕
で支えながら走っていたんだけど、そのうち筋肉が痛んできて、しまいには感覚がな
くなってしまったんです。それで、ゴール直後に医務室に行ったんです。それがなけ
ればベルタッッジア選手を抜くことができたと思いますよ。でも最後に1回はトライ
してみようと思ってインを狙って最終コーナーを立ち上がったら、目の前でスピンし
ているマシンがいた。結果論だけど、あんなにくっつかなければ、3位に上がれたか
もしれませんね。」
田中 弘監督
 「予選の順位が悪かったにしては、いいレースをしたね。実は3位までいけるかな、
と夢を見ていたんだけど、やはり今の状態でベルタッジア選手を抜くのは無理だね。
このレースを通して本人もいい勉強になったでしょう。まあ、今日は良くやった、と
思いますよ。」
  ’90年全日本F3000選手権ポイントランキング表
             第1戦 第2戦 第3戦    得点
             3/4   4/15  5/13     合計
             鈴鹿  富士  西日本
 1 星野 一義      9   9   3     21
 2 松本 恵二      4   0   9     13
 3 小河  等      0   6   6     12
 4 ロス・チーバー    6   0   0      6
 4 片山 右京      0   4   2      6
 6 長谷見昌弘      3   1   0      4
 6 エンリコ・ベルタッジア0   0   4      4
 8 マウロ・マルティニ  1   2   0      3
 8 和田孝夫       0   3   0      3
10 中子 修       2   0   0      2
11 影山正彦       0   0   1      1
<順位による得点>
 順位   1  2  3  4  5  6
 得点   9  6  4  3  2  1


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース