Formula Nippon

フォーミュラ・ニッポン レースレポート

シリーズ名:全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
大会名:第3戦・富士
距離: 4.470km×45周
予選:5月30日 雨のち曇り・観衆:    7250人(主催者発表)
決勝:5月31日 晴れ      ・観衆:4万1900人(  同  )

初のスペシャル・ステージ進出を果たしたトム・コロネル選手!決勝では、ポイント
圏内につけていたが、トラブルでレースを終える。
追い上げが期待された山西康司選手はスタート直後他車と接触、リタイアを喫す。


 4月に開幕した98年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(略称:FN)は第1戦
の鈴鹿(三重県)、第2戦の美祢(山口県)に続いて第3戦は静岡県にある富士ス
ピードウェイが舞台。オフシーズンのテストでトップタイムを連発するなど、上々の
手応えをつかんでいたPIAA NAKAJIMA RACINGだが、前回の美祢
において、97年全日本F3チャンピオンのビッグルーキー、トム・コロネル選手が初
のポイントをゲット。FN2シーズン目の山西康司選手も狂ったリズムを修正しつつ
あった。また、直前に行われたGTの合同テストでもトップタイムをマークするなど、
上昇機運に乗ってサーキット入りしており、好成績が期待されていた。
 開幕の鈴鹿、そして前回の美祢でもそうだったが、今シーズンのFNは、土曜日の
公式予選が雨に見舞われるケースが続いていたが、今回もまた走り初めとなる土曜日
午前の公式練習はウェットコンディションで始まった。コロネル選手はまだ今回でF
Nが3レース目、山西選手にしてもまだフル参戦を始めて1年あまり、特に雨での走
行経験が少ないのは事実で、ドライコンディションでは好タイムを連発しているにも
かかわらず、ウェットとなるとこれまでは下位に後退してしまっていた。今回も午前
中のセッションでは山西選手が7番手、コロネル選手が14番手と低迷してしまった。
しかし、意外にも2人のドライバーは悲壮感に包まれることはなかった。ウェットコ
ンディションでの走りも、少しずつコツをつかんできつつあったし、何よりも雨が上
がって午後の公式予選はドライコンディションに変わることが予想されていたからだ。
 事実、午後1時50分から行われた公式予選でのコースコンディションは、周回を重
ねる毎にウェットからドライに変わっていった。しかも、途中で2度3度、赤旗によ
る中断があったので、最終的には完全なドライコンディション/スリックタイヤでの
タイムアタックとなった。先ずは浅ミゾのレインタイヤで走りはじめた2人は、1回
目の中断までに足ならしを済ませていて、再開後にアタック。コロネル選手が、この
時点で2番手となる26秒台をマーク、山西選手も27秒台に入れると早々にピットイン。
ともにスリックタイヤに交換してコースコンディションが良くなるのを待ち、残り20
分を切ったところでピットアウトしてタイムアタックに掛かった。まず好タイムを
マークしたのはコロネル選手。ピットアウト後の4周目に1分20秒を切り、5周目に
は19秒738 まで短縮してこの時点で5番手に進出した。その直後に2度目の赤旗が出
されてしまったが、すでに2周のアタックを終えていたからほぼ予定通りのピットイ
ンということになったが、山西選手のほうは悔しいことにタイムアタックの最中に赤
旗中断のため、この時点ではまだ1分23秒台で20番手以下だったのだ。
 公式予選の『残り10分』は、午後3時に再開されることになり、すでに2周アタッ
クしているコロネル選手は2セット目のスリックで、完全なアタックラップが取れて
いない山西選手は1セット目のままスタートしたが、再スタート後5分で3度目の赤
旗が出されてセッションは3度目の中断となってしまう。この“ラスト5分のファイ
ナルアタック”でコロネル選手は集中力を高め、ハードプッシュし、2周目には1分
18秒837 をマークして2番手に進出。最終的には4人に追い越されたものの初のスペ
シャル・ステージ(SS=上位6人による1台ずつのタイムアタック)への進出を果
たした。一方、山西選手は、残り時間がわずか5分間しかない為、“皮ムキ”から始
める必要のある2セット目のタイヤを選ばず、敢えて1セット目のタイヤで再スター
トし、2周目に1分20秒304 をマークしたものの3周目にはむしろタイムが落ちてし
まい、13番手に止まった。
 初のSSに出走したコロネル選手は、初進出ということもあってか、自己の公式予
選タイムを更新できず、6番手のまま決勝レースを迎えることになった。
 決勝が行われた日曜日は、朝から晴れ。2人のドライバーにとっては好きなドライ
コンディションだったが、雲ひとつない青空が広がる…とはいかなかった。午前8時
半から行われたフリー走行ではコロネル選手が6番手につけたものの、山西選手は、
まるでこの日の空模様のようにタイムが今ひとつで16番手と冴えない。午後2時前に
スタートした決勝レースでは、6番手スタートで、序盤戦をポイント獲得圏内で戦っ
ていたコロネル選手のほうも僅か10周余りでエンジンが不調を訴えるようになりピッ
トイン。どうやら電気系のトラブルのようでそのままリタイアとなってしまった。一
方、山西選手はスタートで出遅れてポジションを下げてしまい、しかも1コーナーで
他車と接触。マシンは押し出される恰好でコースオフ、グラベルにつかまってその場
でレースを終わらざるをえなかった。「これもレースですから…」。言葉少なにレー
スを総括した山西選手だが、その悔しさは充分伝わってきた。ネクスト・ラウンドは
2週間後のツインリンクもてぎ。悔しさをバネに心機一転、テスト時の好調さを取り
戻すしかない!


■PIAA NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント
「トムは、電気系のトラブルでレースを終えてしまいました。不運といえば不運です
がこれもレースです。山西選手は、スタートの混乱をうまく処理できずレースを終え
てしまいました。次戦のもてぎは、事前のテストで良い感触をつかんでいます。次戦
での活躍を期待したいと思います。」

●次戦は、6月13日~14日栃木県ツインリンクもてぎで開催されます。


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