☆☆☆ SKILL SPEED F3 REPORT ☆☆☆ ****全日本F3選手権第9戦**** 決勝レース 場所:富士スピードウエイ/静岡県 日時:10月19日 天候:晴れ(路面/ドライ) すでにニュース、新聞などでご承知のとおり、悲劇的なアクシデントによっ て第9戦は中止となった。 快晴に恵まれた富士スピードウェイ、すべてのスケジュールがオンタイムで 順調に進んでいた。金曜日からすべてのセッションにおいてトップタイムをマ ークし、決勝に駒を進めた伊藤大輔(SEV モデューロ無限ホンダF397)と スキルスピードは、すでにチャンピオンを決めたトム・コロネル選手との一騎 討ちを心待ちにしていた。これまでのレースというもの、我々は予選でこそ上 位グリッドをゲットすることができたが、スタートの瞬間ですべての権利を失 ってしまっているようなレースを展開してきた。伊藤にとっては、中団グルー プで埋もれるのではなく、チャンピオンを争ったドライバーたちと対等に戦う ことで、本当のシビアさを経験しておく必要があった。その最後のチャンスが この富士戦(コロネル選手は次戦を欠場することが決定している)というわけ だ。 伊藤からは今までのように過度の緊張は感じられず、極めてクールにスター トの瞬間を待った。シグナルがグリーンへと変わり、抜群とはとても言い難い スタートを見せた伊藤だがコロネル選手、脇阪選手に続く3番手につけて1コ ーナーをクリアした。後半が真の勝負と睨んでいたチームと伊藤にとっては、 予想通りのポジションとも言えた。スタートダッシュには固執せず、じっくり と前の2台の動向を観察し、一気に勝負をかけるつもりでいたからだ。ところ が、1周目のAコーナーで伊藤の目の前で、早くも脇阪選手とコロネル選手が 絡んでコースオフ。難なくトップの座を得た伊藤は、2番手の立川選手を従え て最終コーナーを立ち上がって来た。待望のトップに立った伊藤は、ホームス トレートに立ち上がって来た時にセーフティカーの導入を知るわけだが、その 直後に後続グループの間で多重クラッシュが発生。レースはただちにイエロ ー・コーションから中断を告げる赤旗が提示された。 ただちにチーム代表者とドライバーを招集し、緊急ブリーフィングが行なわ れ、全日本F3選手権シリーズ第9戦は、1997年国内協議規則3-7に基 づいて中止とされることが決定された。 モータースポーツを業とする者にとってリスクはつきものであることは充分 わかっていたつもりだが、今回のようなアクシデントを目の当たりにするとや はりそのショックは隠せない。事故の原因はいくつかの要因が重なりあって発 生したものであるが、次代のドライバーが集まりその成長過程にある彼らを育 てながらともに戦っている我々としては、あまりにもやるせない事件といえ る。ドライビング・マナー、イエロー・フラッグの意味など、ことあるごとに 問題提議されてきたが、この問題に関してさらに見つめ直す必要があるとチー ムでは考え、行動でアピールしていきたいと考えている。 チームとしては勝ちパターンに乗ったレースウイークが、このような形で終 わってしまうのは無念でならない。しかし、充分に力を証明したと思う。色々 な意味において精神的なダメージは小さくないが、レースは続ける。次戦の最 終ラウンドでは、再び全力を尽くしてレースに臨む。 最後に、横山崇選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 SKILL SPEED F3 TEAM 深尾栄一