筑波・富士S-FJ選手権

第6戦公式予選 安田航が今シーズン初のポールポジションを獲得

ポールポジションは安田航(ファーストガレージ&Sウィンズ)

 2022年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第6戦公式予選が7月31日(日)に筑波サーキットで、昨年度ランキング2位の安田航(ファーストガレージ&Sウィンズ)がトップタイムを出し、今シーズン初のポールポジションを獲得した。

 7月最終日の筑波サーキットは朝から30度近い気温でパドック内も猛暑。各チームはピットにスポットクーラーや大型扇風機などを持ち込みドライバーやクルーに風を当てている。エントリーの中でレース展開を左右すると思われるのが鈴鹿から遠征の岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)。鈴鹿を主戦場としつつも時折東日本エリアのレースに出場して優勝を争っている。今年の筑波/富士シリーズでも前回の富士ラウンドに出場し、2位と優勝を飾っている。前日の練習走行でも、好タイムを出しており、特に筑波のダンロップコーナーでは他の選手にはあまり見られない、縁石にタイヤを乗せたアグレッシブなラインを取り、中にはセッション中ずっと岡本の後ろにつけてその走りを観察する選手までいた。

 予選は20分間で午前9時20分開始、エントリーは19台だったが戸谷友規(DEEP=R・10V・ED)が出場を取り消し。前戦優勝の岡本を先頭に18台がコースインした。

 まずは残り16分30秒、岡本が59秒430でトップ。2番手に59秒616で内藤大輝(RCIT RaiseUP MT)がつける。3番手は澤井良太朗(オートルック ニシオ設備10V)が59秒966とここまでが1分切り。続く周回で岡本は59秒139→59秒087とタイムを縮め、ここまで2勝をあげてランキングトップの田上蒼竜(A'sカンパニー ZAP ED)が59秒378→59秒292として2番手に進出する。3番手は開幕戦で優勝し、2~4戦と連続3位、第5戦でリタイヤするまでデビュー以来表彰台を逃したことがなかった稲葉摩人(ZAP SPEED 10VED)が59秒461で浮上。

 この時間帯は各車が次々と自己ベストを更新して順位も目まぐるしく入れ替わるが、岡本のトップだけは安泰。残り14分で2番手田上に続くのは今回からスポンサーカラーをまとって登場した草野裕也(TRF.CSI KK-SⅡED)の59秒384、稲葉は4番手に後退するも直後に59秒223までタイムと詰めて2番手へ。しかしすかさず安田が59秒219をマークして2番手を奪う。田上も59秒292の自己ベストを出すが4番手にダウン。後方では本田千啓(オートルック ☆モダン☆10V)が9番手に進出。

 残り13分、岡本は59秒064とトップタイムを更新。田上が59秒143で2番手浮上、しかし直後に稲葉が59秒072と岡本に迫るタイムで再び2番手へ。田上3番手、安田4番手、5番手 に白崎稜(ZAPスタッフリソースED)、6番手に岩本瞬(小倉学園ファーストガレージSⅡ)と続き、トップ岡本から岩本までが0.227秒の差。全体では12番手の中澤凌(ZAP NAIZ 10VED)までが1秒以内にいる。

 4台が出場のマスターズクラスでは総合11番手の秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)がトップ、総合16番手の竹沢茂(スーパーウィンズ☆KKS☆ED)が続いている。

 残り12分、ここで安田が58秒981と59秒を切ってトップに立つ。田上も59秒028として2番手。ここまで首位を守っていた岡本はついに3番手に陥落する。安田は次の周回で58秒759とさらにタイムップして残り時間は10分。

 その後各車ベストタイムの更新はなく、残り9分のタイミングで、10番手までポジションを落としていた澤井が第1コーナーの立ち上がりで姿勢を乱してコースアウト、S字コーナー入口右側のスポンジバリアにリヤからクラッシュ。澤井に怪我はなくすぐにマシンから脱出したものの、赤旗が提示されて予選は一時中断する。澤井によるとタイムを詰めるべく走行中で第1コーナーの出口でアクセルを踏み過ぎた単独でのミスとのこと。マシンはリヤセクションのダメージが大きく、決勝に向けて修復が間に合うか微妙だと言う。澤井の車両はすぐに撤去されて、スポンジバリアが修復されると予選は残り5分で再開するとアナウンスされる。

 各車最後のタイムアタックをすべくコースオープンと同時にコースイン、温度が下がって内圧が変化してしまったタイヤの性能を再度引き出すべくウィービングを繰り返してからタイムアタックにはいる。残り時間から考えてチャンスは2周程度か。 しかしここで再びアクシデント。最終コーナーの中ほどで草野のマシンがコースアウトしてグラベルストップしてしまい、再度赤旗が提示され、予選はここで打ち切られることになり、各車タイムアップの機会を逸してしまう。草野によると再開後の調子がよくタイムアップを狙ってオーバースピードで最終コーナーに入ってしまったそうで、マシンの方はフロントウイングが多少曲がった程度で、決勝前に修復できるとのこと。

 結局赤旗前のタイムで、安田が今季初のポールポジション獲得。昨シーズン1勝をあげて最終戦までチャンピオンを争いランキング2位だった安田だが、今シーズンはニューマシンを得たもののいまひとつスピードが無かったが、ここにきて持ち味の速さが復活してきた。2番手田上、3番手岡本と続き序盤はフロントロウ争いに参加していた稲葉は4番手という結果になった。

 マスターズクラスのトップは総合11位の秋山、クラス2番手は総合16番手の上吹越哲也 (KKS-2)、同3番手が総合17番手の竹沢茂(スーパーウィンズ☆KKS☆ED)となった。

予選2位は田上蒼竜(AsカンパニーZAP ED)

予選3位は岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)

予選4位は稲葉摩人(ZAP SPEED 10V ED)

予選5位は白崎稜(ZAPスタッフリソースED)

予選6位は岩本瞬(小倉学園ファーストガレージSII)

■予選後のコメント

ポールポジション 53号車・安田航(ファーストガレージ&Sウィンズ)58秒759

ポールポジションの安田航(ファーストガレージ&Sウィンズ)

 「(早いタイミングでタイム出しに行った?)暑いのもあって、前半でタイム出そうかな、と予想があったので。前回の富士での結果で予選出走順が決まっているので、自分は11番スタートだった、という事で位置取りもしっかりやらないと前に詰まっちゃうというのも考えていて、前半かつ(前車との)間も意識していた。アタックラップ的には3周くらいしか攻めていなくて、そこで赤旗も出たのでタイミングはよかったのかな。(決勝はスタートから逃げ切り?)肝心のスタートだけ決めて、スタートさえ決まっちゃえば勝てる自信はあるので、そこだけです」

2位 13号車・田上蒼竜(AsカンパニーZAP10VED)59秒028 トップと0.269秒差

予選2位の田上蒼竜(AsカンパニーZAP ED)

 「けっこう(前と)離れていますね。(赤旗なければもっと行けた?)最後エアも落としてセットも変えて最後もうワンアタックしたかった、というのはありますけど。この週末ちょっと自分が乗れていない感じがあるので、その中ではよかったほうかな、と思います。ただ、だいぶタイム差あるので、スタートで勝負仕掛けていく感じで、そこに集中して行きたいと思います」

3位 8号車・岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)59秒064 トップと0.305秒差

予選3位の岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)

 「(早い時期にタイムが出てその後伸びなかった?)前日の練習走行でタイムの出方が、結構後半に(タイムが)出たので、筑波ってそういうものなのかな、と思っていて、とりあえずそれを参考に後半に仕掛けるつもりでした。最初からちゃんとタイヤに熱を入れて、最後まで走り切ってプッシュし続けるというつもりだったのですが、それほど(タイムが)上がり切らなかったという感じもなくて、前を抜くタイミングとか詰まるタイミングとかで、(タイヤのグリップが)落ちてきたという感覚もなくて、単純にスピードが足りなかったと思います。最後内圧が上がってきて、アタック行きたかったのですけど、そんなに伸びしろは感じられなかったので、たぶんこのくらいだったのかな。(決勝に向けて何か変える?)特に何も、タイヤのローテーションくらいです」

4位 14号車・稲葉摩人(ZAP SPEED 10VED)59秒072 トップと0.313秒差

予選4位の稲葉摩人(ZAP SPEED 10V ED)

 「セッティングが(予選の)後半寄りだったということもあって、前半はコース状況もカートが走った後なので様子見ですっと流していたのですけれど。1回マスターズクラスのクルマに詰まったので、その周捨ててピットに戻って、出たら1回目の赤旗でアタックできずじまいで、2回目も出て2周してタイヤのエアが暖まってきたというところで赤旗がまた出ちゃったので、1回もアタックせずに終わってしまった、というのが敗因かなと思います。前車に詰まらなければよかった、という事で自分の位置取りが甘かったなというのは、自分のせいではあるけれど、やりきれない感じというか、どこかに理由を押し付けたいな、という気分もあり、そうした自分の精神力の未熟さや気の短さも、反省点は見えたので、次は落ち着いて淡々とトップ狙って、筑波はオーバーテイクが難しいですけれど、その常識を壊せるように頑張ります」

5位 26号車・白崎稜(ZAPスタッフリソースED)59秒248 トップと0.489秒差

予選5位の白崎稜(ZAPスタッフリソースED)

 「最後2回とも赤旗で(アタックを)邪魔されてしまったので、もうちょっと(タイムを上げられたかもしれないです。それを今言ってもしょうがないので、決勝に向けてのセットもさっきの予選で感じ取って、天候が灼熱で路面も悪い状況だったのでちょっと変えて、頑張りたいと思います」

6位 52号車・岩本瞬(小倉学園ファーストガレージSⅡ)59秒291 トップと0.532秒差

予選6位の岩本瞬(小倉学園ファーストガレージSII)

 「(前日の練習走行で苦労しているように見えたが?)あれはあえて思い切り、走りを変えようと思っていました。今までちょっとぬるい走りになっていたので、あえてやっていました。(その成果はあった?)予選はあっという間に終わっちゃいましたけど、このタイム見ると2番手くらいには行けたかな、という感じです。ちょっと安田選手が飛びぬけていますけど。決勝はタイムが(2位以下は)みんなほぼ一緒なので、表彰台には乗りたいですね」

 第6戦決勝は12時55分スタート予定。熱さもピークに近づく時間帯で、ドライバーにもマシンにも過酷なコンデションでのレースとなる。一昨年から東日本のレースにスポット参戦しては勝利を収めている岡本大地が3番グリッドからまたも勝利を収めるのか、今年筑波/富士ともてぎ/SUGOの両シリーズに参戦して勝利をあげて伸長著しい田上か、予選で復活を感じさせた安田が阻止するか。スタートダッシュに注目だ。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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