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SGT:第3戦鈴鹿決勝 猛暑の大乱戦を制したのは#23モチュールGT-R! ニッサンGT-Rが両クラス制覇の快挙

2020オートバックス スーパーGT第3戦「藤巻グループ鈴鹿GT300kmレース」の決勝が8 gatu
23日、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、GT500クラスは#23松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)、GT300クラスは#11平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)が優勝。4年ぶりにニッサンGT-Rが両クラスを制するという快挙を達成した。

(天候:曇り コース:晴れ)

GT500クラス優勝の松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)

GT500クラス決勝2位の山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)

GT500クラス決勝3位の関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(au TOM\'S GR Supra)

GT300クラス優勝の平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)

GT300クラス決勝2位の小林崇志/松浦孝亮組(UPGARAGE NSX GT3)

GT300クラス決勝3位の加藤寛規/柳田真孝組(シンティアム・アップル・ロータス)

第3戦決勝は午後1時にフォーメーションラップ開始。この時点での気温は32℃、路面温度は48℃、湿度は66%。52周のアツく激しい戦いは、序盤からアクシデントが相次ぎ、途中3度もセーフティーかーが導入される大荒れの展開となった。

スタートでトップに立ったのはポールポジションの#64伊沢拓也(Modulo NSX-GT)。これに対して予選2位の#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)が背後から執拗にプレッシャーをかけ、デグナー手前でアウトから並びかけようとするが、伊沢はこれを一旦退けた。

しかしその後方で#30永井宏明(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)が#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)と交錯、ダンロップコーナーを飛び出してウレタンバリアに突っ込んでしまったため、車両改修のため2周目からフルコースイエローとなり、この日最初のセーフティーカーが導入された。

セーフティーカーは4周目にピットイン。5周めからレースは再開されたが、この際#16武藤英紀(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)の左後輪が脱落、16号車は最終コーナーを曲がりきれずにコースオフ、一旦はコースに戻ったが、結局このままレースを終えることになる。脱落の原因は現時点では調査中とのことだ。

再スタートから一気に後続を引き離したいトップの#64伊沢拓也だったが、ペースが思うように上がらず、後方からは6周目の日立オートモーティブシステムズシケインで#23 MOTUL AUTECH GT-Rのインをついて2位に浮上した#38立川祐路(ZENT GR Supra)が徐々に間隔を詰めてきた。

38号車に抜かれた#23クインタレッリも2台に離されずに追走、11周目に入ったときにはトップ3がテール・トゥ・ノーズの状態となった。さらに13周目に入る頃には#14大嶋和也(WAKO'S 4CR GR Supra)、#100牧野任祐(RAYBRIG NSX-GT)も加わって、トップ争いは5台の接近戦となった。

このバトルを制したのは#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)。

13周目のヘアピンで周回遅れに詰まった#38 ZENT GR Supraをアウトからパスして2位に浮上すると。さらに15周目のダンロップコーナーで#64 Modulo NSX-GTのインをこじ開けてトップに浮上。レコードラインを外さざるを得なかった64号車ははそこから相次いで後続の先行を許し、7位でコントロールラインに戻ってきた。

#100牧野も16周目のヘアピンで#14 WAKO'S 4CR GR Supraのインをついて4位に浮上すると、スプーンカーブで#38 ZENT GR Supraをも捉えて3位に浮上と力強い走りを見せた。

ところがその後方で#24ヤン・マーデンボロー(リアライズコーポレーションADVAN GT-R)のフロントカウルが脱落、コース上のど真ん中に落下するというアクシデントが発生、これを取り除くためにこの日2度目のセーフティーカーが導入された。場所はバックストレート。#24マーデンボローはフロントカウルのないまま走行を続けた。

カウルをコース外に撤去したのち、セーフティーカーは22周目にピットイン。23周目にレースは再スタートとなったが、この時点ですでに規定周回数の1/3を越えていたため、再スタート直後から各チーム相次いでピット作業を行うことになった。

22周目にピットインしたのは#38 ZENT GR Supra、#64 Modulo NSX-GT、#8 ARTA NSX-GT、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの4台。しかし38号車はこの時点でギヤボックストラブルに見舞われて2速ギヤを失っており、そのままガレージに入れられてレースを終えてしまう。他の3台は無事コースへ復帰した。

続いて#17 KEIHIN NSX-GT、#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R、#100 RAYBRIG NSX-GTが23周目にピットイン。トップの#23 MOTUL AUTECH GT-Rは24周目でピットに飛び込み、松田次生に交代してそのまま実質トップでコースに復帰した。

その後GT500クラスは26周目までに全車がピット作業を終えたが、トップの23号車が29周目に入ったところでNo21Hitotsuyama Audi R8 LMSとNo.244 たかのこの湯RC F GT3が接触するアクシデントが2コーナー立ち上がりで発生、スピンアウトした21号車がグラベルに捕まってしまったため、この日3度目のセーフティーカーが導入されることになった。

この時点の順位は1位No.23 MOTUL AUTECH GT-R、2位No.100 RAYBRIG NSX-GT、3位には予選12位から着実に順位を上げてきたNo.36関口雄飛(au TOM'S GR Supra)がつける。

レースは34周目に再開。第3戦で2基目のエンジンを投入した#23松田はここから着実に後続を突き放しにかかり、2位の#100山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)との差を40周目に2秒215、45周目には5秒631、50周目に7秒051として、最後は3秒725のリードを保ったままフィニッシュ。No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は開幕3戦目にして遂にNISSAN GT-R NISMO GT500勢で最初の勝者となった。

2位には#100山本尚貴/牧野任祐組(RAYBRIG NSX-GT)が続き、#36関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(au TOM'S GR Supra)が60kgのウェイトハンデを物ともせずに3位。開幕戦から3戦連続で表彰台を獲得してみせた。

NISMOの優勝は2018年の第2戦富士以来。これで松田次生の通算勝利数は21、ロニー・クインタレッリは15となった。

またドライバーズランキングは#36#36関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組(au TOM'S GR Supra)が獲得ポイントを41に伸ばして依然としてトップ。2位の#37平川亮/ニック・キャシディ組(KeePer TOM'S GR Supra)が今回7位にとどまり、通算33ポイントとなったため、その差は8ポイントに広がった。

チームランキングもNo.36 TGR TEAM au TOM'sが50ポイント、No.37TGR TEAM KeePer TOM'sが41ポイントと、こちらも9ポイント差に広がっている。

GT300クラスはポールポジションの#31中山友貴(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)が序盤トップに立ってリードを広げると、その後方では#55高木真一(ARTA NSX GT3)、#56藤波清斗(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)、そして#244三宅淳詞(たかのこの湯RC F GT3)をかわして4位に浮上した#52川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が2位争いを展開する。

上位陣は2度目のセーフティーカーラン終了直後に相次いでピットイン。ここで31号車は給油に時間がかかり、大きく順位を落としてしまう。これは第2戦において義務化されたGT300クラスのタイヤ交換が適用除外となり、代わってJAF-GT車両への給油リストリクターが復活した影響によるものだ。31号車はこの影響でトップ争いから脱落し、最終的に7位でフィニッシュしている。

3度目のセーフティーカーの原因となったのは#244久保凜太郎(たかのこの湯RC F GT3)と#21川端伸太朗(Hitotsuyama Audi R8 LMS)の接触だった。2コーナー立ち上がりでアウトから並びかけた#244久保がインで粘る#21川端をグラベルに押し出すような格好になり、21号車の回収のためにSC導入となった。244号車に対しては危険なドライブ行為があったとみなされてドライブスルーペナルティーが課せられている。

いくつかのチームはここまでピットインを引き延ばしていたが、この3度目のSCランをきっかけに全車がピット作業を終えることになる。その結果、タイヤ無交換作戦をとった#5坂口夏月(マッハ車検GTNET MC86マッハ号)がトップに。フルサービスながら素早いピット作業で順位を上げた#11平中克幸(GAINER TANAX GT-R)が2位に浮上してきた。

しかしタイヤに厳しい猛暑のレースでは流石にタイヤ無交換は無理があったか、#5坂口はあっさりと#11平中の先行を許し、その後も徐々に順位を落としていく。その結果、レース後半のトップ争いは#11平中、#56ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)、そして#55大湯都史樹(ARTA NSX GT3)の3人によって展開されることになった。

徐々にリードを広げる#11平中に対し、#56オリベイラは#55大湯の猛攻を退けるだけで手一杯の状態。そこへ#18松浦孝亮(UPGARAGE NSX GT3)、#61井口卓人(SUBARU BRZ R&D SPORT)らも徐々に上位3台に近づいてきて、2位争いは白熱。47周目のデグナーで姿勢を乱した
#56オリベイラに#55大湯が追突してフロント部分を破損して失速を余儀なくされると、このアクシデントに乗じて#18松浦が2台をかわして2位に浮上、この集団を抜け出してリードを広げていく。

#56オリベイラはコースに復帰してなおも後続を押さえにかかるが、#55大湯の負ったダメージは大きく、48周目のS字に入ったところでコースを外れてクルマを降りることになってしまった。#56オリベイラの背後には#61井口、そして#65蒲生尚弥(LEON PYRAMID AMG)が迫る。さらにその後方からは予選11位から追い上げてきた#2柳田真孝(シンティアム・アップル・ロータス)、そして#10石川京侍(TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R)も迫ってきた。

49周目に入るとダンロップ立ち上がりで#65蒲生は#61井口のインに並びかけるが、惜しくもコントロールを失ってバリアに突っ込んでしまう。続いてヘアピン立ち上がりで#61井口が#56オリベイラに並びかけ、両者併走のままスプーンへ。しかしここで2台の間を巧みにすり抜けて#2柳田が一気に3位に躍り出た。4位には#61井口が続く。

5位に後退した#56オリベイラはファイナルラップのヘアピンで#10石川と接触してスピン。なんとかコースには復帰したものの9位でレースを終えた。

こうした後続の混乱を尻目に#11平中は着実にリードを広げ、最後は2位の#18松浦に4.049秒差をつけて#11平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)が今季初勝利を達成。2位には#18小林崇志/松浦孝亮組(UPGARAGE NSX GT3)が続き、第2戦優勝の#2加藤寛規/柳田真孝組(シンティアム・アップル・ロータス)が3位でフィニッシュ。2戦連続の表彰台を獲得した。

ニッサンGT-RがGT500、GT300のダブル優勝を達成するのは2016年5月の第2戦富士以来。この時の優勝はGT500クラスが#1松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)、GT300クラスは#3星野一樹/ヤン・マーデンボロー組(B-MAX NDDP GT-R)だった。

次戦の舞台は栃木県のツインリンクもてぎ。9月13日決勝だ。



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