師走半ばの鈴鹿で開催された鈴鹿選手権第7戦 カートレースIN SUZUKAの中で、カデットオープンクラスの2018シリーズ最終戦が行なわれた。ここにポイントリーダーとして臨んだのは加藤大翔(ワキデンタルクリニック+HKC)。これまでの4戦でふたつの優勝と3度の決勝ポール獲得を果たし、ポイントレースで2番手以下に大差を付けている。
加藤の他にチャンピオン獲得の可能性があるのは、ランキング2番手の迫隆眞(ERS with Hometec)のみだ。加藤はこのレースで1ポイントでも獲得すれば戴冠。対して迫は予選、決勝とも1位が逆転チャンピオンの最低条件だ。
タイムトライアルでは、瀬戸際に立たされた迫がトップタイムをマークして気を吐いた。加藤も負けじと2番手に続き、チャンピオン候補ふたりがトップ2に並んだ。
8周の予選ヒートでは、スタートで加藤がトップに立ち、2周目には中井陽斗(Team EMATY)も迫をかわして2番手に。トップ3の後ろには中井悠斗(TEAM EMATY)が続いて、4台の先頭集団が形成された。加藤、中井陽斗、迫の3選手はたびたび順位を入れ替える。3番手に後退した迫は6周目に加藤をかわして2番手に戻ると、7周目には中井陽斗の攻略にも成功。1位ゴールで決勝のポールを獲得して、逆転チャンピオンの希望を決勝につないだ。僅差の2・3位には中井陽斗と加藤が。4位に中井悠斗が続き、中井ブラザーズが決勝グリッドアウト側の1列目と2列目に並ぶこととなった。
快晴から曇りに変わった空の下、2018シリーズを締めくくる12周の決勝が始まった。スタートでは迫が先頭を守ったが、1周目の最終コーナーで中井陽斗がトップの座を奪取。迫は加藤にもパスされて3番手に後退した。だが、迫は4周目に前の2台を抜き返してトップに復帰し、2番手の中井陽斗との間に0.5秒のギャップを開いた。さらに中井悠斗が3番手に浮上。4番手に下がった加藤は後続集団に飲み込まれ、先頭集団から置き去りにされてしまった。
ところが、レースはこれで終わらなかった。混戦を抜け出したかに思えた迫を、中井陽斗が再び追い詰める。加藤も中井悠斗を抜き返すとセカンドグループを脱し、ハイペースの挽回で前の2台をキャッチ。残り5周でまたも迫、中井陽斗、加藤の先頭集団が出来上がった。ここからは最後の全力勝負だ。
ラップリーダーは、10周目中井陽斗、11周目迫と変遷。そして迎えた最終ラップ、1コーナーで中井陽斗が迫の前に出た。必死に中井陽斗を追う迫だが、もうチャンスは訪れなかった。ウィナーは10歳の中井陽斗。熱戦を制しての初優勝だ。 迫は勝利に0.083秒及ばず2位に。加藤は3位フィニッシュでチャンピオンとなり、高々とナンバー1サインを突き上げた。りー海夏澄(スーパーチップス)が8番グリッドから4位に入賞。田中大翔(堺レーシングwith中村屋)が5位に続き、レース前半に健闘の中井悠斗は6位でチェッカーを受けた。
- 優勝・中井陽斗のコメント
- ぎりぎりで優勝できてほっとしたし、うれしかったです。あまり抜かれないようにしながら、どんどん前に出て行こうと考えながら走りました。初優勝できたのは、お父さんが毎週練習に連れていってくれたおかげだと思います。来年はもう1年カデットをやって、マイクロMAXでも頑張ってグランドファイナル(世界チャンピオン大会)に行きたいです。
- チャンピオン・加藤大翔のコメント
- 去年は1ポイント差でチャンピオンを逃したので、今年は絶対に獲るって気持ちで、それを有言実行できてうれしいです。勝つことも大事だけれど今回はチャンピオン優先で、レース中は絶対にリタイアできないって思っていました。前の2台に離された時はヤバいと思ったけれど、チームのみんなが応援してくれたおかげで追い付けたんだと思います。
Photo: Y'sPHOTO(Yoshiaki YOKOTA)